で、ロードショーでは、どうでしょう? 第2045回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『スパークス・ブラザーズ』
異端の兄弟ロック・デュオ、スパークスことメイル兄弟の誕生から現在までを描く音楽ドキュメンタリー。
監督は、『ベイビー・ドライバー』、『ラストナイト・イン・ソーホー』のエドガー・ライト。
内容。
謎多きバンド "スパークス" の50年におよぶキャリアと彼らの創作に対する哲学を、本人へのインタビューと貴重なアーカイヴ映像で紐解く。
ベックやフリーといったミュージシャンに加え、俳優や作家をはじめとするスパークスを愛する数多くの著名人が登場し、その魅力を存分に語る。
出演。
ロン・メイル (兄) /スパークス
ラッセル・メイル (弟) /スパークス
ベック
フリー /レッド・ホット・チリ・ペッパーズ
ヴィンス・クラーク
フレッド・アーミセン
ジョルジオ・モロダー
ジェーン・ウィードリン /ゴーゴーズ
ジェイソン・シュワルツマン
マイク・マイヤーズ
パットン・オズワルト
トッド・ラングレン
“ウィアード・アル”・ヤンコヴィック
ジョナサン・ロス
スティーヴ・ジョーンズ
ジョン・テイラー /デュラン・デュラン
ロジャー・テイラー /デュラン・デュラン
サーストン・ムーア
ロディ・ボッタム /フェイス・ノー・モア
ニール・ゲイマン
マーク・ゲイティス
ニック・ローズ
エドガー・ライト
ビョーク (本人音声のみ)
サイモン・ペッグ (ジョン・レノンの声)
ニック・フロスト (リンゴ・スターの声)
スタッフ。
製作:ニラ・パーク、エドガー・ライト、ジョージ・ヘンケン、ローラ・リチャードソン
撮影:ジェイク・ポロンスキー
編集:ポール・トレウォーサ
『スパークス・ブラザーズ』を鑑賞。
異端の兄弟ロック・デュオ、スパークスことメイル兄弟の誕生から現在までを描く音楽ドキュメンタリー。
長生き(結成50年)バンドで異色かつパイオニア的音作りで多くのミュージシャンからリスペクトを集めるスパークスのバンドキャリアを網羅する内容。
これは最高のバンドのドキュメンタリーであると言える出来。だって、凄まじい数のインタビューとアーカイブで彼らの曲を流し続けてくれる。影響元の曲も流れる。誕生から結成まで、全キャリアを順番に。25枚のアルバムのほとんどを順番に紹介。あんまスキャンダルがないバンドでもあるということもあるが、そこもちゃんと扱ってる。
しかも、彼ら自身のプロデュースでないので、ファン目線というのがいいのよ。
だから、彼らのファンになって欲しいというファン向けでありながら、スパークスを知らない人がファンになるような内容。ドラマティックで濃厚で人生のおかしみもハーモニー。
大ファンであるエドガー・ライトは愛情をたっぷりにファンとして、最高の映画にする思いでつくっているのが伝わる。
面白エピソード、いままのメンバーのほとんどが登場するだけでなく、代表的なファンにもインタビューし、エドガー・ライト自身もファンの一人として登場する。そこに、アニメに、時代のカルチャー、映画や、ファンたちのエピソードまで、好きなドリンクとか彼らの好きにも突っ込んでいく。
好きにあふれた、こんな音楽ドキュメンタリーが見たかった。
おいらの中で、『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』に並び立つバンドドキュメンタリー映画。そういえば、あれは兄弟じゃないけど、ちょっと似ているとこあるね。
なにより、彼らの音楽の独自性が時代を飛び越えてくる。
映画好きとしては、ジャック・タチやティム・バートンとの映画作りのエピソードも。『アネット』のことも出てきますよ。これを見た後で、『アネット』を見ると、感慨が違うだろうなぁ。でも、おいらはこっちを後に見たかったのよね。ええ、そこまでじゃないけど、アルバム5枚持ってるミニファンなので。
現在、アルバムのDX版が出たりしてます。
コメディアンが惚れ込むユーモアがバシバシと届き、笑いながら、音楽とミュージシャン人生に浸る。
なんでしたら、スパークスの『ディスタウン』『№1ソング・イン・ヘブン』とか聞いていけば事足りますので。
継続の難しさをニヤリと口角につるす髭作。
おまけ。
原題は、『THE SPARKS BROTHERS』。
『スパークス兄弟』。
2021年の作品。
製作国:イギリス / アメリカ
上映時間:141分
映倫:G
配給:パルコ ユニバーサル映画
デュラン・デュランには、3人のテイラー(アンディ・テイラーは脱退)がいるが、3人に血縁関係はない。
映画ドキュメンタリーでは『デ・パルマ』、作家ドキュメンタリーでは『みんなのしらないセンダック』もこのタイプですね。
ややネタバレ。
もしかして、高橋幸宏もロン・メイルを意識してたのかしら。