菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

アンフォゲッタ・ガール  『ホッタラケの島 遥と魔法の鏡』

2009年08月29日 00時02分30秒 | 映画(公開映画)
 
で、ロードショーでは、どうでしょう? 第70回。



「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」







『ホッタラケの島 遥と魔法の鏡』









アニメの先進国である、日本が世界に戦いを挑むためには、3Dアニメへの進出はたぶん欠かせないものだと思う。
それを見届けたくて、鑑賞しに。
もちろん、、あえて、世界でも珍しい2Dの長編を作り続けるのもありだけどね。


この作品では、背景で上手く、2Dと3Dを混ぜて使っていた。


『モンスターVSエイリアン』、『ボルト』と良作を続けて観ていたので、ちょいと不安になりつつも、良作を作ってきた佐藤信介監督に期待してたのです。

結果、佳作で、かなり悪くない出来でした。
十分、日本的ありながら、世界にも通用するレベルになっている。



ただ、言い出すと、ちょっともの足りないんだけどね。
キツネの世界のルールが上手く説明できてないので、男爵への対抗心が良く分からない。
合わせて、盗賊たちの立場も不明。
そのせいで、テオのお仕置きの意味や空飛ぶ意味、皆が協力してくれる意味も薄れちゃってんだよね。

物語的に有機的なつながりも弱めで、ちょいと子供向けから、大人に向けて、無理してるのが透けて見えるのが残念か。
逆に子供はそこを気にしないで、楽しく見れるのかもしれない。

世界のピンチとかも、やりすぎな気がしたけどね。

それと人間が来ちゃいけないはずなのに、仮面しかしないで、しかも、すぐばれるのはどうもいただけないなぁ。
まず肌色の住民がいないんだからさ、そこを隠そうよ。
『モンスターズ・インク』でも、あの子はモンスター風着ぐるみパジャマだったじゃない。

しかも、その上、ミニスカのセーラー服でずっといるから、スカートがひらひらしてて、邪魔くさい。
しょせん3Dキャラのお色気にどう反応しろと?
シータが長めのスカートや膨らんだズボンなのは、やはり的確な判断だったんだな。
(『ラブ&ポップ』で庵野監督がパンチラをほぼすべてCGで黒くしていたのを思い出した)
ああいうのは、狙いのシーンで一部に留めるからいいと思うんだが、モデリング上の問題なのかな?



あと、いろんなアニメの記憶が上手くつながっているのは上手いといっていいんだろうな。
『カリオストロの城』、『ラピュタ』、『トイストーリー』、『モンスターズ・インク』、『ウォーリー』、『メトロポリス』、『パプリカ』、『東京ゴッドファーザーズ』、『マインドゲーム。』などなど。
偶然かもしれないけどね。



それと、ほったらかしのもので出来た世界のアイディアは、他の映画でもけっこう観られます。
アニメだと、『パプリカ』で、捨てられた物のパレードが大々的に描かれますし、パン兄弟の佳作『リサイクル -死界-』では、なんと実写で捨てられたものの世界を見せてくれます。ホラーですが、ファンタジー色が強く、そこそこ怖いですが、オススメな佳作です。
特に、『リサイクル』は、研究対象にはしたと思われます。
『ホッタラケの島』を、それらと比べてみるのも楽しいんじゃないかな。



数年かけて、きっちりと作った味わいには、画面からも出ていて、好感。
人間は俳優が声を、キツネ界は声優が声を当てているバランスもよい。説教くささも少なめで、今夏の邦画の中では、数少ない良心あふれる作品
でした。
こういうのがどんどん出てくるといいよね。
もちろん、実写でも。






















おまけで、ネタバレ。
 
ラストを、おいらの好みで改変。


遥は「忘れない」と言う。
実は、テオは、人間界に戻れば、ここでのことを忘れてしまうことを知っている。
「僕も」と言いながら、テオは、遥を池に突き落として、人間界に戻す。
 
人間界に戻った遥は、やはり忘れている。
(そうでなければ、人間界に来れるテオと再会出来てしまう)
父親からの電話に出る。
遥は、なんでか、素直に謝り、一緒に食事(ハンバーグを選択)をしようと言い出す。
(キツネの世界での記憶がそうさせる)
階段を降りる遥は、上がってくる子供二人(飛行機を忘れていった二人が探しに戻ってきた)とすれ違う。
エンド。

で、エンド・クレジットの途中。
テオが遥の家を訪ねる。(留守中)
鍵(もらう約束していた)を使って、ドアを開ける。
遥の部屋に入り、手鏡を見つけやすいところ(母親の写真のあるアルバムか、仏壇か)に隠す。
すると、そこには、家族3人で笑っている写真(遥はコットンを持っている)がある。
帰るテオの背中に花火が上がる。
食事の帰り道の遥と父の背中でも、花火が上がる。
(ひまわりのような花火=手鏡の裏のデザイン=母の象徴)
「ドーンドーン」と遥が小さくつぶやく。



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