書名 :チャイルド44(フォーティフォー) 上・下巻
著者名 :トム・ロブ・スミス/〔著〕 , 田口俊樹/訳
出版者 :新潮社
出版年 :2008.9
要旨(BOOK):スターリン体制下のソ連。
国家保安省の敏腕捜査官レオ・デミドフは、あるスパイ容疑者の拘束に成功する。
だが、この機に乗じた狡猾な副官の計略にはまり、妻ともども片田舎の民警へと追放される。そこで発見された惨殺体の状況は、かつて彼が事故と遺族を説得した少年の遺体に酷似していた…。
ソ連に実在した大量殺人犯に着想を得て、世界を震撼させた超新星の鮮烈なデビュー作。
CWA賞受賞。
「このミステリーがすごい!」 2009年版で海外作品第1位です。
この本はロシアで実際にあった事件を着想にしています。
1978年~90年にかけて、52人もの少年少女を殺害したアンドレイ・チカチーロ事件です。
著者はインタビューで、12年間もの長きに渡り殺人を犯し続けることができたのは、”理想の国ソ連に犯罪は存在しない”という国家の偏頗な考えが犯人逮捕の幾多の機会を防げた。”と答えています。
ロシアでは禁書になってるそうです...
本作は犯人の生い立ちや地域など、かなりの部分が実際のチカチーロ事件と同じですが、時期は30年以上前のスターリン体制末期の50年代に設定されています。
「鋼鉄の人」を意味する筆名「スターリン」の時代
完全な失敗に終わった農業政策よる干ばつと飢饉による数百万人の死者...
「人民の敵」とみなした者を粛清と称して弾圧し、さらに無実の人間も含めて多数の人間を虐殺するなどの過酷な抑圧政策...
だから
本書では猟奇な殺人者よりも、体制の粛清に関する描写の方が恐いです...
全編にただよう鋼鉄色の重苦しい恐怖と狂気に満ちた空気...
体調の良くないときに読むと、気分悪くなるかも...
チカチーロ事件を題材としたノフィクションの紹介が役者後書にありましたので、借りてきました。
まだ読みかけですが、こちらの方が恐いかも...
著者:リチャード・ラウリー
発行:文藝春秋
著者:ロバート・カレン
発行:早川書房
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