もるるんのよくばりポケット

いろーんなことに興味がある、ミーハーな働く主婦もるるんの日常や思ったことを書いていこうと思います☆☆

「カスパー」見てきました

2023-04-09 02:14:50 | お芝居

「カスパー」 東京芸術劇場シアター・イースト 2023.03.21 13:00~

直人の「奏劇」に行ったときにもらったフライヤーにあった「カスパー」
「奏劇」と同じくTSPが主催している公演ということで・・・主演は寛一郎くん。
「鎌倉殿の13人」の公暁役での演技が、とても印象に残っていたので、チケットをゲットしました。

寛一郎くんは、あの佐藤浩市さんの息子さんで、三國連太郎さんのお孫さんという、サラブレッドのような方なんだけど、
きっとそう言われるのはちょっと抵抗あるんじゃないかな~という勝手な予想も持ってたりして。

その彼の初舞台にして主演で・・・なかなか難しい芝居でした。

公式のページに

「カスパー・ハウザー。
もしかしたら、一度くらいはこの名前を聞いたことがあるかもしれない。
19世紀のはじめ、生まれてから16年間、世間から隔離され、地下の牢獄に閉じ込められていた孤児。一切の人間的な営みから隔離され、育てられた少年が突然、文明社会の中に投げ込まれる。文明社会に適合するための教育を受けるが、数年後、謎の死を遂げた実在の人物のことである。」

と、ありますが、残念ながら私は知らなかった。
でも、そういう人がいたというのは、、、怖いな~という率直な感想。19世紀の始めだったら、あってもおかしくないんだろうか?
というか、なぜ、そんな状況にこの子はおかれてしまったのだろうか。と、まずそう感じました。


「外界と遮断されたまま成長した謎多き孤児“カスパー”の物語。

I want to be a person like somebody else was once.
ぼくは そういう まえ に ほか の だれか だった こと が ある よう な ひと に なりたい

突然我々の世界に、あるいは時代へ送り込まれてしまった一人の人間。
姿は人間と同じ。たった一つのことば(音)。
「僕はそういう前に他の誰かだったことがあるような人になりたい。」
を繰り返すだけ。これがこの舞台 「カスパー」の始まりです。
言葉と音の洪水を拷問のように浴びせられ、次第にコトバを言葉として認識し、言葉に意味があることを知る。
そして社会で生きていくための言葉やルールを“プロンプター”と呼ばれる存在に教え込まれ、調教されていく。
「ことば」が次第に「意味」を持ちはじめ、そこに意思が芽生えた時、
カスパーは何と出会い、どこへ向かい、そして何を手に入れ、何を失うのか。そして「カスパー」とは何者なのか、いったい何なのか・・・。
立つ・歩く・座る・言葉を使う・・・。
我々が「社会」で生きるために身につけたスキル。我々は自由に自らの意志と選択でこのスキルを使い、社会で暮らしている。
しかし、もしも「社会」が我々を操作するために「調教」されたものだとしたら・・・。」
(公式より)

 

分身のカスパーたち(大駱駝艦の4人の役者さん)に体を支えられながら、よちよちと歩くカスパー。体を支えられていないと立つことも
できない。
そして彼の第一声は
「ぼくは そういう まえ に ほか の だれか だった こと が ある よう な ひと に なりたい」
不明瞭な発音で、正直、何を言っているのかよくわからない。でも、確かに大きな声で叫んだ。
この言葉を繰り返すカスパー

だが、何度も何度も繰り返していくうちに、だんだんとまともに聞こえるようになっていく。
言葉が理解できないカスパーに、3人のプロンプターが、いろいろな言葉を浴びせるように投げかけていく。
何度も何度も言葉やその言葉の意味を、教えていく。

カスパーはだんだんと言葉を理解していく
「痛い」ということがわかり、
「僕は○○ができる」というように、自分のことを「僕は」という主語で表すことができるようになる。
そして「○○しなければならない」という言葉も覚える。

プロンプターの教育によって、カスパーはこの世界で生きるための秩序や方法を身につけていくようだった。

でも、最後はまた
「僕はそういう前に他の誰かだったことがあるような人になりたい」という言葉に戻って。。。


これはなかなか難しい芝居だなあ~という感想がまず。
とくにストーリーがあるわけではなく、プロンプターによって「教育」(「調教?」)されていく
カスパーが、だんだんと言葉を理解し、この社会で生きることを学んでいくことを
観客が見ている。。。観察している?というような感じ。

でも、それが「すごいすごい」という感動ではなく(赤ちゃんが言葉を話せるようになったというのとは違い)
なんか、見ててつらいというか苦しい。。。
それは、プロンプターの威圧的な態度もそうだし、カスパーの分身たちが、彼の体の動きをコントロールしているから
そう思えたのかもしれない。

どうして16年間も地下牢に閉じ込められていたかはわからないらしいが、
突然、この世の中に放り出されて、他人によって教育されるカスパーは、幸せなんだろうか?
人間らしく生きることを強いられて、幸せなんだろうか?と、考えさせられてしまう芝居だった。
理由はわからないけど、すごく見ていて苦しい芝居だった。。。(悪い意味ではないです)


そして主演の寛一郎くんは、
いやあ、このセリフの嵐、覚えるだけでも大変だったろうな~ってしみじみ。
よくこういう作品を初舞台に選んだよね。。。。
でも、声もいいし、すごく存在感があってよかった。
もう芝居はやらないと言ってるらしいけど、もっともっとお芝居も出てほしいなと思える役者さん。
背も高いし、舞台映えする。。。

今回席が最前列だったんだけど、間近で見た寛一郎さんは、表情もだけど、首の傾げ方とか佐藤浩市さんとそっくりで
さすが親子だなと思った。

 

コメント
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