物部の森

日常感じたこと、趣味のこと、仕事のこと・・・等々
日記風に書いてます。

【書籍】共喰い

2012年02月25日 | Weblog
 『共喰い』(田中慎弥著)を読む。

 性行為中に女性に暴力を振るうことで快感を覚える父親。そして自分自身にも父と同じ性癖が潜んでいることに悩みながらも、その衝動を抑え切れない高校生の主人公。性と暴力の描写が生々しい陰鬱な世界観である。物語にはこの二人を囲む4人の女性が登場する。彼女たちに母性の深さを感じる。最後、主人公の母親は別居する夫(すなわち彼の父親)を殺す。母親は刑に服し、主人公は一人取り残される。やるせない終わり方だが、女性たちの受容性のおかげで、読後感は思いの他悪くない。
 作者の経歴や芥川賞受賞時のインタビューの様子から、こういう小説を書くタイプの人には見えなかったので意外である。
コメント
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