白黒

2008-06-23 | from m/b
2008-6/22
「晩春」を観ました。
普通ならば数秒で過ぎていきそうなシーンが、じっくりと丁寧に時間たっぷりに写されていて、しみじみと感じる時間を与えてくれます。お茶室での着物、北鎌倉駅周囲の緑、主人公の上品な五分袖のセーター、七里ガ浜の海… その全て白黒の映像が不思議と鮮やかで眩しいのです。存在感たっぷりの原節子さんが演じると、ただ足を崩して畳に座るだけでも色香があり、わがままは瑞々しさとなり、嫉妬さえも美しいものになってくる…
結婚を控えて揺れる娘に父親が、深い愛情をもって(努めて淡々と)「それが人間生活の歴史の順序というものなんだよ」と語っていました。ストーリーの持つ温かさと鋭さ、人の細やかな心理描写…小津安二郎の映画はいつもさわやかなものが心に残ります。

(画像は、毎朝のパンに塗る用のバターと蜂蜜を瓶の中で練り合わせているところ。琥珀色が美しい)

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