きょう、あたたかいよ
えっと、ここははしのうえだよね
あ゛
でんしゃ…
でもまー、へーきなんですけど ♪
毎年この季節とてもたのしみにしている、近くの川沿いにある木。
今日はどうしてもその花が少し欲しくて、その川沿いに行ってみる…
そろそろ咲いてるかな? 咲いてるよねって探すのだけれど見つからない。あんな大木だったのだから見つかるはずなのに、無い。
嘘みたいに、無い。
代わりにあったのは切り倒されたばかりの木の山。切り口が新しく、生々しい。
大きな大きな力強い、大好きな木がいつでもそこに在るという不変だと思ってたことが、そうではなかった。
その切り倒された木の枝でまだ生きていた残りの花を摘んで、祖母の遺影の前に供えました。
先日、百歳の祖母がとうとう亡くなったのです。ちょうどその木が切り倒されたのと同じ頃かな。
息子夫婦と住んでいたおばあちゃんは、自分専用の小さな台所を持っていて、いつでも何か煮炊きし、その季節季節で保存食を作り、ちんまりと丁寧に暮らしていました。お正月などいとこ達が賑やかに大勢集まるのだけれど、私だけあっちの台所でぽつんと二人おばあちゃんと朝ごはんを食べる、という少々勝手だったかもしれないことをしていた小学生の頃の私。
「これ食ぁべ。ヤクルト飲ぉみ。ぶどうもあるよ」って色々すすめてくれて嬉しかったのかもしれないけれど、やっぱり心から真っ直ぐに優しかったおばあちゃんのそばが居心地良かったのだろうな。いつも静かに優しくしてくれました。大人になってもずっと心に残り続ける温かい感覚。
前に出ず、何に対しても多くを欲しがらず、あるものを大事に扱い、その中でやりくりする…本当の意味で女性らしい、知恵のある生き方。どんな不条理なことがあったときでも荒立てず静かに耐える… この時代を生きてきた人特有の強さなんだろうか?
花の柔らかさと木の根強さ…ちょうどこのミモザの木のような。