帳簿をつける際に、これまでは税込方式だったのですが、最近いろいろと調べると税抜方式のほうがやや得らしいことがわかり、税抜方式への書き換えを始めています。
私の場合はまだExcelで帳簿や貸借対照表、損益計算書を作成しているのですが、消費税が入ってくると、しかも税抜方式となると、市販の会計ソフトへの移行をしたほうがいいのかなとも思うのですが、もう少し頑張ってみます。
さて、これまでの税込方式から税抜方式へ修正する際に問題となるのが、これまでの税込価格から税抜価格と消費税への分離作業です。(ちなみに、この税込価格は、税抜価格+消費税(端数切捨て処理済み)なので、自然数です。)消費税8%なので、例えば税込10,800円ならスムーズなのですが、税込10,000円とかになると端数の処理が厄介になります。消費税の計算では、端数は切り捨ててよいと国税庁のページにあったため、まずは税込価格を 1.08 で割って、その端数は切り上げて税抜価格とし、税込価格と税抜価格の差を消費税として計算していたのですが、ちょっと気になりました。
税抜価格から端数切り捨て処理で求めた消費税と、逆に、税込価格から端数切り上げ処理で求めた消費税は同じ額になるのか。
はっきりしなかったので、いったん上記の方法で税抜価格と消費税を計算し、再度税抜価格に 0.08 をかけて、その端数を切り捨てたら、すでに計算した消費税と一致するのか確かめていました。。。。が、やはり面倒。
ということで、以下の問題を考えてみることにします。
【問題】
税込価格を1.08で割り、その端数を切り捨てることによって求めた金額は、税抜価格と言えるのか。ただし、消費税は、税抜価格に対して 0.08 をかけて、1円未満の端数を切り捨てた金額とする。
【検討】
税抜価格を c (cost)、税込価格を p(price) とします。どちらも整数です。また、[ ] はガウス記号(小数点以下切捨て)を表します。
c + [0.08 c] = p より 1.08c - 1 < p ≦ 1.08c ・・・①
① を逆に c について解くと、p/1.08 ≦ c < p/1.08 + 1/1.08 ・・・②
c は整数なので、②を満たす c は最大でも1つしか存在しません。したがって、p/1.08 以上であり、かつ、その範囲内の最小の整数が c だといえます。
言い方を変えると、税込価格を 1.08 で割り、その小数部を切り上げれば、それが税抜価格であるといえます。
当初の疑問に答えることができました。
しかし、ここで別の疑問がわいてきました。②を満たす c は最大でも1つしか存在しません。場合によっては、1つも存在しないことがあるかもしれません。
どのような場合に、存在しないのでしょうか。例えば、p = 13 の場合です。このとき、②は 12.03... ≦ c < 12.96... となり、この条件を満たす整数 c は存在しません。ということは、税込価格13円という商品は存在しません。
税抜価格12円なら 12 * 1.08 = 12.96 なので税込価格 12円となり、税抜価格13円なら 13 * 1.08 = 14.04 なので税込価格 14円となり、その間の税込価格13円という場合がありません。
ということで、以下の問題を考えてみることにします。
【問題】
税込価格にはなり得ない金額を求めなさい。
【検討】
これは言い換えると、②を満たす整数 c が存在しない条件を見つけることになります。
p/1.08 = m + δ ・・・ ③ とし、整数部 m と小数部 δ に分離した場合、
この条件は、δが0よりも大きいこと、かつ、δ+1/1.08 が1以下であること ・・・④ となります。
④の条件より、1/1.08 < δ + 1/1.08 ≦ 1 ・・・⑤
⑤に③を代入してδを消去すると、1/1.08 < p/1.08 -m + 1/1.08 ≦ 1 ・・・⑥
⑥の両辺に1.08をかけて 1 < p - 1.08 m + 1 ≦ 1.08
さらに両辺に 0.08m -1 を加えると 0.08m < p - m ≦ 0.08(m+1)
ゆえに m < 12.5 (p - m) ≦ m+1 ・・・⑦
p-m = 2n (n:自然数)の場合: ・・・⑧
⑦は m < 25n ≦ m+1 となるため、25n = m +1 ・・・⑨
⑧と⑨より、p = m+2n = 27n -1 ・・・⑩
p-m = 2n-1(n:自然数)の場合: ・・・⑪
⑦は m < 25n - 12.5 ≦ m +1 となり、m について解くと
25n-13.5 ≦ m < 25n-12.5 より、 m = 25n - 13 ・・・⑫
⑪と⑫より、p = m + 2n - 1 = 27n - 14 ・・・⑬
⑩および⑬から、p = 27n -1 または 27n-14 (n:自然数)です。
よって、税込金額にはなりえない金額は 27n-1 または 27n-14 (n:自然数)
上記を具体的に計算すると、13, 26, 40, 53, ... となります。試しに、税抜価格を49円とすると税込価格は52円、税抜価格を50円とすると税込価格は54円となり、税込価格53円はあり得ないことになります。
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