サイエンス好きな男の日記

気が向いたときに、個人的なメモの感覚で書いているブログです。

博士余りを解消するには

2007-07-16 14:57:00 | 日記
「博士余り」解消へ「20%ルール」!?物理学会が提言(読売新聞) - goo ニュース

「博士余り」を解消するために、仕事時間の20%を自由に使って好きな研究をすることの提言を物理学会が行ったらしい。ただ、googleで同様に行われている、やる気を引き出すことを目的とするのではなく、企業など幅広い分野で活躍させ、企業への研究職を支援することが目的らしい。

ここでの「博士余り」とは、「博士号を取得したがパーマネントな研究職につけず、いわゆるポスドクといった身分での研究者が多数いる」ことを言っているのだろう。つまり「ポスドク問題」である。

しかしこれで本当にポスドク問題が解消するのだろうか。そもそも、ポスドク問題を解消するためになされるべき施策としてこれが正しいのだろうか。私の友人でも、このような人が多数いる。博士号を取得した後、用意されているポストと同数の研究者が、大学・研究所に残り、それ以外は企業に就職できればよいのだが、実際にはそのようなバランスが取れていない。

ポスドク問題を解消するためには、
  1. 大学院生を増やさない
  2. 博士号を取得した学生を企業に就職させる
  3. 大学・研究所のポストを増やす
などに分けられる。

「大学院生を増やさない」ためには、もっと大学での企業就職活動に大学は力を入れるべきである。さらに、もっと大学院への入学については、単に成績だけでなく研究者としての適正など、多くの観点で学生を評価して、入学者数を絞ることが重要である。企業としては、博士号を取得した27歳もしくはそれ以上の学生よりも、やはり学部卒の22歳程度の学生のほうがいい。(企業での研究職は別だが)

「博士号を取得した学生を企業に就職させる」ためには、企業との共同研究など、単に20%の時間を自由に使う、といった本人の活動にゆだねるような施策ではなく、もっと大学あるいはスタッフが積極的に産学連携を意識した活動をしていくことが重要である。また、企業にとって重要な研究とは何か、それを行うための研究環境構築も必要である。自由に使うと言ったあいまいな表現ではなく、目的ややるべきことを明確にしておくことが重要である。

「大学・研究所のポストを増やす」ためには、研究の重要性をもっと国や企業にアピールし、ポストを増やすための予算確保に努めることが重要である。企業では膨大な予算を研究開発に充てている。製薬企業では、利益の2割程度を割いているケースが多い。しかし、大学・研究所との共同研究を行うことで、研究開発費の一部が大学・研究所へと流れることで、人件費の確保が可能となり、ポストを増やすことができる。他にも産業と密接に関連した研究は多数ある。企業がそのような魅力を大学・研究所に感じるためには、そのための研究をスタッフが積極に行うとともに、もっと企業に対して研究成果をアピールしていくことが重要である。

すでにこのような対策は多少なりとも採られているかもしれないが、依然としてポスドク問題が解消されていない現状を踏まえると、まだまだその対応が不十分なのではないか。仕事の時間を20%自由な研究とすることを提言する前に、まだまだやるべきことがいろいろと残っているように思われる。
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