太陽光発電の実績のアップデートです。
所有している太陽光発電設備は以下の通りです。
- 熊本県球磨郡(2013.11.1~、システム容量 49KW、傾斜角10度、南向き) 2,000万円(税込)売電単価40円(税抜)
- 山梨県北杜市小淵沢(2016.1.19~、システム容量49.5KW、傾斜角20度、南南東向き) 2,470万円(税込)売電単価40円(税抜)*2基
Ep (※3) |
2014 |
2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 平均 | |
熊本県 球磨郡 |
56.6 |
59.3 |
56.5 | 57.3 | 61.4 | 59.8 | 57.3 | 59.7 | 58.8 |
山梨県 |
65.3 |
|
75.1 (※2) |
82.1 | 80.4 | 79.1 | 78.1 | 79.9 (※2) |
(※1) 熊本県球磨郡では、発電開始日2013/11/1
(※2) 山梨県北杜市は、発電開始日2016/1/19。平均は2017-2020から算出
(※3) 見込については、業者によって損失係数の見積もりが変わるため、NEDOのデータをもとに
Ep = 月平均日射量 * システム容量 * 日数 * 0.85 (損失係数) として算出した値としています。
ちなみに、北杜市は全国トップレベルの日射量です。(以下、NEDOの日射量データベースより。北杜市は中央の黄色エリア内。)
見込値(Ep)
これまでの平均日射量は、球磨郡では見込値に対して+3.9%の上振れ、北杜市では見込値に対して+22.3%の上振れでした。
太陽光発電システムの実質利回り
発電量の平均値から見積もった年平均利回りは以下の通り。 (消費税10%で試算)
- 熊本県球磨郡
(売電料金 - メンテナンス費用 - 固定資産税) / 購入価格 = (58.8MWh*44 - 11,000*12 - 112,700)/ 2,000万円 = 11.7%
(アプラスで融資を受けていたため、保険にも自動的に加入済み) - 山梨県北杜市
(売電料金 - メンテナンス費用 - 固定資産税 - 保険) / 購入価格 = (79.9MWh*44 - 11,000*12 - 188,000 - 45,000)/ 2,470万円 = 12.8%
上記はいわゆる実質利回りと呼ばれているもので、投資判断で使われる内部収益率とは異なりますが、イメージはつかみやすいですね。
非常に荒っぽい議論にはなりますが、20年後に発電システムの価値がない、と仮定すると、100% / 20年 = 5% となります。したがって、毎年5%の価値が棄損していくと考えると、先ほどの利回りから5%を差し引いた結果、それぞれの利回りは 6.7%および7.8%となります。
また、上記2か所の発電システムは同規模ですが、金額としては北杜市のほうが1割ほど高額であり、さらに償却資産税や保険の費用も高額でした。それにもかかわらず、北杜市の年平均利回りが高いのは、月平均日射量が北杜市のほうが高いことに加え、実際にはその平均日射量からの上振れも北杜市が高かったことが主な原因です。
なお、気になる点としては、北杜市の年間発電量が年々減少していることです。これについては、後日、詳述したいと思います。
太陽光発電システムの収支
太陽光発電システムは20年間の売電単価が保証された、先が読みやすい投資です。
不動産のように、入退去や家賃減額のリスクもなく、収益性に影響を与えるほどの気候変動もほとんどありません。
比較的大きなリスクとしては設備機器の不具合ぐらいだと思います。
以下では、売電買取期間終了までの間にどれほどのキャッシュが得られるか、これまでの実績も含めざっくりと試算してみます。
20年間の収支(熊本県球磨郡):
- 売電金額:4,913万円
- 実績)2013/11 - 2020/12 : 1,808万円
- 見込)2021/1 - 2033/10 : 55MWh(※) * 44円/kWh * 12.83年 = 3,105万円
- 経費:532万円
- 固定資産税:168万円(土地の固定資産税:11万円、設備の償却資産税:157万円)
- メンテナンス費用:264万円(月額11,000円)
- パネル撤去費用:100万円
- 購入額:2,000万円(土地代込み)
(※)今後の年間平均発電量はこれまでの平均の95%と仮定
表面利回りは、4,913/2,000/20年= 13.3%
経費を引いた実質利回りは、(4913 - 532)/2,000/20年 = 10.9% です。
ただ、不動産は最後に土地・建物を売却することができますが、太陽光の場合は土地しか残りません。
仮に、購入時と同じ金額で土地が売却できたとしても、たかが知れています。そのため、購入額2000万円は20年後には価値がなくなるため、上記利回りから5%(=100%/20年)を差し引いて考えなくてはいけません。
すると、さほど高い利回りではないことがわかります。
19年間の収支(山梨県北杜市):(連系開始から実際に発電を行うまでにタイムラグがあったため、買取期間は19年弱になっています。)
- 売電金額:6,212万円
- 実績)2016/1 - 2020/12 : 1,724万円
- 見込)2021/1 - 2034/8 : 75MWh(※) * 44円/kWh * 13.6年 = 4,488万円
- 経費:634万円
- 固定資産税:197万円(土地の固定資産税:34万円、設備の償却資産税:163万円)
- メンテナンス費用:251万円(月額11,000円)
- 火災保険:86万円
- パネル撤去費用:100万円
- 購入額:2,470万円(土地代込み)
(※)年間平均発電量はこれまでの平均の95%と仮定
表面利回りは、6,212/2,470/19年= 13.2%
経費を引いた実質利回りは、(6,212 - 634)/2,470/19年 = 11.9% です。
これも同様に上記利回りから5.3%(=100%/19年)を差し引いて考えなくてはいけません。
結局、太陽光発電の最終的な実質利回りとしては税引前で5~7%ぐらいであることがわかります。
ただ、戸建投資などの不動産投資にあるような入退去の不安・手間はありませんし、入退去に伴う原状回復費、空室期間の無収入といったこともなく、常に安定してこの利回りでの収入が得られるのは大きいと思います。
また、不具合が発生しやすい機器としてはパワコンだそうです。製品保証は10年なので、仮に10年後に9台のパワコンすべてが故障し新品に交換することになった場合、300万ほど費用が掛かります。ただ、それでも、実質利回りは、(6,212 - 634 - 300)/2,470/19年 = 11.2% です。ただ、これは最悪のケースであり、通常は故障個所の部品交換などで対応可能だそうで、その場合はパワコン1台当たり5~6万円程度とのことでした。
太陽光発電はミドルリスク・ミドルリターンの投資だと思います。
まとめ
- 最終的な実質利回りは税引前で5~7%ぐらい。
- 太陽光発電システムの実質利回りから5%くらい差し引いて、本当の意味での実質的な利回りを考えるべき。
- 不動産投資に比べて運営の手間はかからず安心して運用できるのも大きなメリット
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