サイエンス好きな男の日記

気が向いたときに、個人的なメモの感覚で書いているブログです。

論理的に主張するには - 何が言えればいいのか -

2007-09-28 22:58:05 | GMS
論理的に主張するために最も考えなければいけないのは、「何が言えれば
相手は納得してくれるのか」という部分です。

クリシンでは枠組みと呼び、その枠に当てはめられたメッセージをキーラインと
呼んでいます。

クラスや勉強会でも、「何が言えればよいのか」の枠組みをどう考えるべきか、
という質問がありました。
結局は、何度もこのような訓練を積んでその都度ベストな枠組みを自分で
考えられるように努力する、という結論になりました。確かにそれはそれで
最終的な目標としては正しいとは思うのですが、そうは言っても最初に
何かしらの指針がないものかと考えてみました。

「枠組みをどう考えるべきか」というイシューを、状態、理由・手段、判断と
いった、”主張”のための切り口で考えてみました。


■状態に関する主張(did? doing?)
 イシューのパターン ⇒ 
   「(人・会社)~したか?」「(人・会社)~しているか?」
 考えるべき枠組み ⇒ 証拠・理由・実現可能性

例)彼は朝食を食べたか?
(状況:彼は出かけてしまってすでに家にはいない。残った家族の会話)

枠組みに基づく材料としては以下のような例が考えられます。
・証拠:(誰だかわからないが)食べかけのハムエッグがある
・動機:学校で定期試験がある
・実現可能性:ハムエッグを彼自身で作ることができる

もし証拠が明白である(例えば、朝食を食べたという書置きがある、など)なら
理由や実現可能性をいう必要はなく、証拠だけで十分となる。つまり、証拠
だけを主張して相手を納得させることができます。


例)彼はコンピュータプログラムのバグを見つけたか。
・証拠:今はプログラムが正常に動いている
・動機:彼がそのプログラムの担当である
・実現可能性:彼はバグをこれまでも何度も発見している

例)A氏は資格試験Bに合格したか。
・証拠:社内で最近資格試験Bに合格した人がいると噂で聞いた
・動機:資格を取って昇給したいとA氏は言っていた
・実現可能性:いつも遅くまでA氏は試験勉強をしていたようだ

例)彼はあの本を持っているか。
・証拠:彼がそれらしい本を持っていた
・動機:彼は以前からその本を読みたいと言っていた
・実現可能性:その本は高価だが、彼は比較的裕福である

注意:これらは「したか否か」を問題としている場合であり、同じ「~したか?」
というイシューでも例えば「なぜ~したか?」という、明らかに理由を探る
ことをイシューとした場合には、上記は当てはまらない。その場合には、
すべて何らかの理由という切り口で考えることが必要。


■理由・手段に関する主張(Why? How?)
 イシューのパターン 
   ⇒ 「なぜ~なのか?」(理由)
 考えるべき枠組み 
⇒ 理由に関して列挙

 イシューのパターン 
   ⇒ 「どのように~するか?」(手段)
 考えるべき枠組み 
⇒ 手段に関して列挙

例)その研究所はなぜすごいといわれるのか?
・理由:歴史が長い
・理由:敷地が広い(あるいは知名度が高い)
・理由:多くの輝かしい業績を挙げている
理由に対してさらに、長い・広い・深い という切り口を利用

例)なぜシステムを受注できたのか。
・理由:価格性能比が高い
・理由:システムの信頼性が高い
・理由:サポートがしっかりしている
理由に対して、カネ・モノ・ヒト という切り口を利用

例)どのようにして売上げを伸ばすのか。
・手段:商品単価を上げる
・手段:商品の購入数を増やす
売上げ=商品単価×購入数 であることから、売上げに対する分解要素を
検討する。

■判断に関連した主張(should?)
 イシューのパターン 
   ⇒ 「~すべきか?」(判断)
 考えるべき枠組み 
⇒ メリット・実現可能性・必然性
 ※最後の必然性とは、なぜそのやり方でなければならないか、ということ

例)A氏の車に乗るべきか。
メリット:移動費用を節約できる。
実現可能性:A氏は自宅まで送ってくれると言っている。
必然性:終電も終わり、タクシーも簡単につかまらない。

例)新たな市場に参入すべきか。
メリット:市場は成長している
実現可能性:参入に対する規制はない
必然性:現在の市場では今後の成長が見込めない

例えば最後の例では、メリットの部分をさらに3Cと呼ばれるフレームワークで
分けて考えることができます。

例)新たな市場に参入すべきか。
メリット:新たな市場における顧客ニーズを把握している(顧客)
メリット:自社の強みで顧客ニーズを満足させられる(自社)
メリット:他社はおそらく顧客ニーズをまだ把握できていない(競合)

メリットだけで実現可能性や必然性は必要ないのか、という問いに対しては、
必要だと思えばそれらも考えたらよいし、いらないと思えばメリットだけでも
よい。その基準は、相手が納得してくれそうかどうか、ということ。つまり、
メリットだけで納得感がでればそれでよいし、不十分だと感じればさらに
追加していけばよい、ということ。

ただ、人(上司?同僚?)に説明するため、項目数が5個も6個もあると、
聞いているほうはちょっとイラついてくるかもしれません。^^;

その意味でもせいぜい3-4項目ぐらいに絞ったほうがいいのでしょう。


■枠組みとフレームワークと切り口の違い

結構あいまいなまま流れてしまった感がありますので自分なりに整理しました。

切り口:
どういった視点で枠組みを考えるか、ということ。
例えば、マーケティング(価格・チャネル・製品・販促)、
年代(10代・20代・)など。

枠組み:
切り口に対する要素。マーケティングであれば、価格・チャネル・製品・販促
というもの。

フレームワーク:
枠組みと同義。

では、先ほどのメリット・実現可能性・必然性は何に相当するのでしょう。
3Cの顧客・自社・競合は何に相当するのでしょう。
それらは枠組み(=フレームワーク)といえます。

ただし、前者は「何が言えればいいのか」に答えることができる「考えるべき
枠組み」ですが、後者は単なる枠組みに近いです。マーケティングの
価格・チャネル・製品・販促も単なる枠組みです。

枠組みとして3Cを考える、といわれることが多いのですが、3Cは単なる枠組み
です。まずは考えるべき枠組みから検討しないと、何を言うべきかを飛ばして
しまうことになり、その結果イシューからずれてしまったりして説得力に
欠けたメッセージになってしまいます。


※ 上記はGMSの授業内容とは全く異なる部分がほとんどです。
  私の独断と偏見ですのでご注意ください。
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米国のサブプライムローンに端を発した世界同時株安

2007-09-28 21:48:21 | 資産運用
2007年8月に起こった、米国のサブプライムローンに端を発した世界同時
株安も、ようやく落ち着きを取り戻しつつあるようです。

7月には18,000円台だった日経平均株価は一時15,500円を割り込み、およそ14%の
下落となりました。また、同時に為替も122円/$から113円/$まで進みました。

そのため、私の資産評価額も1週間で給与の年収相当ぐらい下がり、その後も
株安は止まらず最終的にはベンツのS-Classが買えてしまうくらい
(あるいは今住んでいる中古マンションを買えてしまうぐらい)評価額が
減りました。そのため、株式・債券の比重が高く(つまり流動資産の割合が低い)リスクをとりすぎた運用ではないかと考えるようになりました。

この乱高下のレンジ自体は想定の範囲内でしたが、それによって資産評価額の
変動が年収を超えるほども起こるのはリスクのとりすぎではないか、
という感覚です。言い換えると、今回の評価損の大きさは、株価が
30%ぐらいの下落に相当するぐらいに投資額を押さえておいたほうがいいと
判断しています。

そのため、今後の全体としての方針は、評価額が今以上に増えた場合には、
その分だけ解約して、評価額がこれ以上増えないようにしようと考えています。
特に、海外債券については、今後は円高へ行く可能性が高いと判断しているため、
円安に触れれば積極的に解約する、新興国(特に中国)はバブルでありいつ
はじけてもおかしくないと考えていますので中国株式の基準価額が現状高値に
あるうちに徐々に解約していく、唯一日本株式だけは今回のような急激な
株安時に追加購入したいと思っています。

日本株式といえば、やはりさわかみ投信はいいですね。インデックスファンド
よりも高い利回りを実現してくれそうです。
株安時に積極的に買いを進め、株高時には静観しているのは立派だと思います。
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論理的に主張するには - PSの構築 -

2007-09-28 21:24:58 | GMS
クリシンは合計6回の授業(以下、クラス)があり、それぞれDAY1, DAY2, …,
DAY6と呼ばれます。

DAY1からDAY3の途中までは、「説得力のある主張をするにはどうすればよいか」が
メインテーマです。

そのための手順は以下のとおりです。

1. イシューを押さえる
これは「何を考え論じるべきか」をきっちりと押さえる。
このイシューとは、話題・論点・議題などを意味します。
例えば「顧客からのクレームは必要か」と問われているのに「顧客からの
クレームにはどのようなものがあるか」と誤解してしまったり、「戦略は何か」
と問われているのに「なぜそのような戦略をとったのか」を考えてしまったり
するのは、イシューがずれている、といわれる。

2. メインメッセージをイメージしておく
最終的な主張がどのようなものか、大雑把で良いのでイメージしておき、
最後に主張をまとめるときに、そのイメージからずれていないかを確認する。

3. 何が言えればよいのか(枠組み)を考える
ここがもっとも肝となる部分です。

4. 主張の材料をグループ化する
3で考えた枠に沿って、主張の材料をグループ化します。

5. グループ化した材料を元に、枠組みをより具体的な表現(キーライン)にする
このときに材料のメッセージの7-8割がキーラインに含まれているよう意識する。

6. キーラインから最終的なメインメッセージを作り上げる
このときにキーラインのメッセージの7-8割がメインメッセージに含まれているよう
意識する。

ここまでで一応完成です。

トップのイシューから最下層の材料までがピラミッド上に並べられるため、
その図式をピラミッドストラクチャー(PS)と呼んでいます。

最後に、本当にこれで大丈夫なのか、メインメッセージからトップダウン的に
下にたどっていきます。そのときに、メインメッセージに対して Why? の
回答がキーラインになっているか、さらにキーラインに対して Why? の回答が
グループ化された材料になっているかチェックし、全体として「納得感」が
でていればそれでOKとします。

「納得感」というのが最初はしっくりときませんでした。説得力を持って主張
したいのに、「納得感」というあいまいな基準とが相容れない気がしたのです。

しかし、そもそも「主張」とは正しいことを言うことではなく、主張したい人の
何らかの価値基準や経験に基づいた仮説から、その人が正しいと”思っている”
ことを言うことであり、実際にそれが正しいかどうかはわかりません。
また、100%正しいことを言うということは、主張ではなく単に事実を
述べているに過ぎないのです。

そのようなあいまいが部分がある以上、納得感でそのあいまいな部分を補うことが
必要ですし、この「主張」の目的は、相手が納得してくれさえすればよいので、
少なくとも自分自身で納得感があると思えるような主張でなければ、まして
疑いの感情をいただいているかもしれない相手を納得させることはできないでしょう。

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