論理的に主張するために最も考えなければいけないのは、「何が言えれば
相手は納得してくれるのか」という部分です。
クリシンでは枠組みと呼び、その枠に当てはめられたメッセージをキーラインと
呼んでいます。
クラスや勉強会でも、「何が言えればよいのか」の枠組みをどう考えるべきか、
という質問がありました。
結局は、何度もこのような訓練を積んでその都度ベストな枠組みを自分で
考えられるように努力する、という結論になりました。確かにそれはそれで
最終的な目標としては正しいとは思うのですが、そうは言っても最初に
何かしらの指針がないものかと考えてみました。
「枠組みをどう考えるべきか」というイシューを、状態、理由・手段、判断と
いった、”主張”のための切り口で考えてみました。
■状態に関する主張(did? doing?)
イシューのパターン ⇒
「(人・会社)~したか?」「(人・会社)~しているか?」
考えるべき枠組み ⇒ 証拠・理由・実現可能性
例)彼は朝食を食べたか?
(状況:彼は出かけてしまってすでに家にはいない。残った家族の会話)
枠組みに基づく材料としては以下のような例が考えられます。
・証拠:(誰だかわからないが)食べかけのハムエッグがある
・動機:学校で定期試験がある
・実現可能性:ハムエッグを彼自身で作ることができる
もし証拠が明白である(例えば、朝食を食べたという書置きがある、など)なら
理由や実現可能性をいう必要はなく、証拠だけで十分となる。つまり、証拠
だけを主張して相手を納得させることができます。
例)彼はコンピュータプログラムのバグを見つけたか。
・証拠:今はプログラムが正常に動いている
・動機:彼がそのプログラムの担当である
・実現可能性:彼はバグをこれまでも何度も発見している
例)A氏は資格試験Bに合格したか。
・証拠:社内で最近資格試験Bに合格した人がいると噂で聞いた
・動機:資格を取って昇給したいとA氏は言っていた
・実現可能性:いつも遅くまでA氏は試験勉強をしていたようだ
例)彼はあの本を持っているか。
・証拠:彼がそれらしい本を持っていた
・動機:彼は以前からその本を読みたいと言っていた
・実現可能性:その本は高価だが、彼は比較的裕福である
注意:これらは「したか否か」を問題としている場合であり、同じ「~したか?」
というイシューでも例えば「なぜ~したか?」という、明らかに理由を探る
ことをイシューとした場合には、上記は当てはまらない。その場合には、
すべて何らかの理由という切り口で考えることが必要。
■理由・手段に関する主張(Why? How?)
イシューのパターン
⇒ 「なぜ~なのか?」(理由)
考えるべき枠組み
⇒ 理由に関して列挙
イシューのパターン
⇒ 「どのように~するか?」(手段)
考えるべき枠組み
⇒ 手段に関して列挙
例)その研究所はなぜすごいといわれるのか?
・理由:歴史が長い
・理由:敷地が広い(あるいは知名度が高い)
・理由:多くの輝かしい業績を挙げている
理由に対してさらに、長い・広い・深い という切り口を利用
例)なぜシステムを受注できたのか。
・理由:価格性能比が高い
・理由:システムの信頼性が高い
・理由:サポートがしっかりしている
理由に対して、カネ・モノ・ヒト という切り口を利用
例)どのようにして売上げを伸ばすのか。
・手段:商品単価を上げる
・手段:商品の購入数を増やす
売上げ=商品単価×購入数 であることから、売上げに対する分解要素を
検討する。
■判断に関連した主張(should?)
イシューのパターン
⇒ 「~すべきか?」(判断)
考えるべき枠組み
⇒ メリット・実現可能性・必然性
※最後の必然性とは、なぜそのやり方でなければならないか、ということ
例)A氏の車に乗るべきか。
メリット:移動費用を節約できる。
実現可能性:A氏は自宅まで送ってくれると言っている。
必然性:終電も終わり、タクシーも簡単につかまらない。
例)新たな市場に参入すべきか。
メリット:市場は成長している
実現可能性:参入に対する規制はない
必然性:現在の市場では今後の成長が見込めない
例えば最後の例では、メリットの部分をさらに3Cと呼ばれるフレームワークで
分けて考えることができます。
例)新たな市場に参入すべきか。
メリット:新たな市場における顧客ニーズを把握している(顧客)
メリット:自社の強みで顧客ニーズを満足させられる(自社)
メリット:他社はおそらく顧客ニーズをまだ把握できていない(競合)
メリットだけで実現可能性や必然性は必要ないのか、という問いに対しては、
必要だと思えばそれらも考えたらよいし、いらないと思えばメリットだけでも
よい。その基準は、相手が納得してくれそうかどうか、ということ。つまり、
メリットだけで納得感がでればそれでよいし、不十分だと感じればさらに
追加していけばよい、ということ。
ただ、人(上司?同僚?)に説明するため、項目数が5個も6個もあると、
聞いているほうはちょっとイラついてくるかもしれません。^^;
その意味でもせいぜい3-4項目ぐらいに絞ったほうがいいのでしょう。
■枠組みとフレームワークと切り口の違い
結構あいまいなまま流れてしまった感がありますので自分なりに整理しました。
切り口:
どういった視点で枠組みを考えるか、ということ。
例えば、マーケティング(価格・チャネル・製品・販促)、
年代(10代・20代・)など。
枠組み:
切り口に対する要素。マーケティングであれば、価格・チャネル・製品・販促
というもの。
フレームワーク:
枠組みと同義。
では、先ほどのメリット・実現可能性・必然性は何に相当するのでしょう。
3Cの顧客・自社・競合は何に相当するのでしょう。
それらは枠組み(=フレームワーク)といえます。
ただし、前者は「何が言えればいいのか」に答えることができる「考えるべき
枠組み」ですが、後者は単なる枠組みに近いです。マーケティングの
価格・チャネル・製品・販促も単なる枠組みです。
枠組みとして3Cを考える、といわれることが多いのですが、3Cは単なる枠組み
です。まずは考えるべき枠組みから検討しないと、何を言うべきかを飛ばして
しまうことになり、その結果イシューからずれてしまったりして説得力に
欠けたメッセージになってしまいます。
※ 上記はGMSの授業内容とは全く異なる部分がほとんどです。
私の独断と偏見ですのでご注意ください。
相手は納得してくれるのか」という部分です。
クリシンでは枠組みと呼び、その枠に当てはめられたメッセージをキーラインと
呼んでいます。
クラスや勉強会でも、「何が言えればよいのか」の枠組みをどう考えるべきか、
という質問がありました。
結局は、何度もこのような訓練を積んでその都度ベストな枠組みを自分で
考えられるように努力する、という結論になりました。確かにそれはそれで
最終的な目標としては正しいとは思うのですが、そうは言っても最初に
何かしらの指針がないものかと考えてみました。
「枠組みをどう考えるべきか」というイシューを、状態、理由・手段、判断と
いった、”主張”のための切り口で考えてみました。
■状態に関する主張(did? doing?)
イシューのパターン ⇒
「(人・会社)~したか?」「(人・会社)~しているか?」
考えるべき枠組み ⇒ 証拠・理由・実現可能性
例)彼は朝食を食べたか?
(状況:彼は出かけてしまってすでに家にはいない。残った家族の会話)
枠組みに基づく材料としては以下のような例が考えられます。
・証拠:(誰だかわからないが)食べかけのハムエッグがある
・動機:学校で定期試験がある
・実現可能性:ハムエッグを彼自身で作ることができる
もし証拠が明白である(例えば、朝食を食べたという書置きがある、など)なら
理由や実現可能性をいう必要はなく、証拠だけで十分となる。つまり、証拠
だけを主張して相手を納得させることができます。
例)彼はコンピュータプログラムのバグを見つけたか。
・証拠:今はプログラムが正常に動いている
・動機:彼がそのプログラムの担当である
・実現可能性:彼はバグをこれまでも何度も発見している
例)A氏は資格試験Bに合格したか。
・証拠:社内で最近資格試験Bに合格した人がいると噂で聞いた
・動機:資格を取って昇給したいとA氏は言っていた
・実現可能性:いつも遅くまでA氏は試験勉強をしていたようだ
例)彼はあの本を持っているか。
・証拠:彼がそれらしい本を持っていた
・動機:彼は以前からその本を読みたいと言っていた
・実現可能性:その本は高価だが、彼は比較的裕福である
注意:これらは「したか否か」を問題としている場合であり、同じ「~したか?」
というイシューでも例えば「なぜ~したか?」という、明らかに理由を探る
ことをイシューとした場合には、上記は当てはまらない。その場合には、
すべて何らかの理由という切り口で考えることが必要。
■理由・手段に関する主張(Why? How?)
イシューのパターン
⇒ 「なぜ~なのか?」(理由)
考えるべき枠組み
⇒ 理由に関して列挙
イシューのパターン
⇒ 「どのように~するか?」(手段)
考えるべき枠組み
⇒ 手段に関して列挙
例)その研究所はなぜすごいといわれるのか?
・理由:歴史が長い
・理由:敷地が広い(あるいは知名度が高い)
・理由:多くの輝かしい業績を挙げている
理由に対してさらに、長い・広い・深い という切り口を利用
例)なぜシステムを受注できたのか。
・理由:価格性能比が高い
・理由:システムの信頼性が高い
・理由:サポートがしっかりしている
理由に対して、カネ・モノ・ヒト という切り口を利用
例)どのようにして売上げを伸ばすのか。
・手段:商品単価を上げる
・手段:商品の購入数を増やす
売上げ=商品単価×購入数 であることから、売上げに対する分解要素を
検討する。
■判断に関連した主張(should?)
イシューのパターン
⇒ 「~すべきか?」(判断)
考えるべき枠組み
⇒ メリット・実現可能性・必然性
※最後の必然性とは、なぜそのやり方でなければならないか、ということ
例)A氏の車に乗るべきか。
メリット:移動費用を節約できる。
実現可能性:A氏は自宅まで送ってくれると言っている。
必然性:終電も終わり、タクシーも簡単につかまらない。
例)新たな市場に参入すべきか。
メリット:市場は成長している
実現可能性:参入に対する規制はない
必然性:現在の市場では今後の成長が見込めない
例えば最後の例では、メリットの部分をさらに3Cと呼ばれるフレームワークで
分けて考えることができます。
例)新たな市場に参入すべきか。
メリット:新たな市場における顧客ニーズを把握している(顧客)
メリット:自社の強みで顧客ニーズを満足させられる(自社)
メリット:他社はおそらく顧客ニーズをまだ把握できていない(競合)
メリットだけで実現可能性や必然性は必要ないのか、という問いに対しては、
必要だと思えばそれらも考えたらよいし、いらないと思えばメリットだけでも
よい。その基準は、相手が納得してくれそうかどうか、ということ。つまり、
メリットだけで納得感がでればそれでよいし、不十分だと感じればさらに
追加していけばよい、ということ。
ただ、人(上司?同僚?)に説明するため、項目数が5個も6個もあると、
聞いているほうはちょっとイラついてくるかもしれません。^^;
その意味でもせいぜい3-4項目ぐらいに絞ったほうがいいのでしょう。
■枠組みとフレームワークと切り口の違い
結構あいまいなまま流れてしまった感がありますので自分なりに整理しました。
切り口:
どういった視点で枠組みを考えるか、ということ。
例えば、マーケティング(価格・チャネル・製品・販促)、
年代(10代・20代・)など。
枠組み:
切り口に対する要素。マーケティングであれば、価格・チャネル・製品・販促
というもの。
フレームワーク:
枠組みと同義。
では、先ほどのメリット・実現可能性・必然性は何に相当するのでしょう。
3Cの顧客・自社・競合は何に相当するのでしょう。
それらは枠組み(=フレームワーク)といえます。
ただし、前者は「何が言えればいいのか」に答えることができる「考えるべき
枠組み」ですが、後者は単なる枠組みに近いです。マーケティングの
価格・チャネル・製品・販促も単なる枠組みです。
枠組みとして3Cを考える、といわれることが多いのですが、3Cは単なる枠組み
です。まずは考えるべき枠組みから検討しないと、何を言うべきかを飛ばして
しまうことになり、その結果イシューからずれてしまったりして説得力に
欠けたメッセージになってしまいます。
※ 上記はGMSの授業内容とは全く異なる部分がほとんどです。
私の独断と偏見ですのでご注意ください。
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