mitakeつれづれなる抄

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ナンバリングの小字

2015年09月15日 | 地理・地名
 昨日に続き、小字名の話。地図サイトMpionは、小字と字界が載っているので、日頃愛用していると書きました。
 そのマピオンの地図と元は明治15年の資料から。

 稲沢市祖父江町森上(旧・中島郡祖父江町大字森上)の中にある小字は全て「本郷(ほんごう)」で本郷にに続いて数字が付く不思議な字名。
 いうなればナンバリングの字名です。
 マピオンの地図から。本郷一~九が見えます。


 中島郡祖父江町の稲沢市編入により、町名表記が一部変更され、「祖父江町森上」が大字相当で、中島郡祖父江町の時代は「大字森上」でした。その下の「本郷○」が小字相当で、中島郡祖父江町時代は「字本郷○」でした。

 これ、他所の方から見れば本郷○丁目のごとく、丁目表示の省略形に解釈されますし、実際そういう解釈されたと思われる表記がありますが、これ、数字までが正式な字名です。
 なぜこのような数字が付いたのかは、角川の資料(角川日本地名大辞典)では言及できませんが(旧村落単位なので)、少なくとも明治時代にナンバリングされた字名がありました。

 明治初期に全国の地名(早い話が小字)を政府が調べようと、各府県に指示を出しました。
 その愛知県分が、愛知県郡町村字名調という名で整理されました。
 全国からの資料が集まったところで、大正の関東地震(関東大震災)で全て焼けてしまいました。
 しかしながら、愛知県の分、愛知県郡町村字名調は副本があったことから、無事後世につなげられました。
 今はこの副本は手に入れられず、復刻という形で、「愛知県地名集覽」という書名で出版されています。
 そこに中島郡森上村の小字として、本郷壱から本郷拾壱までの11の小字名が掲載されています。

 明治15年資料では本郷一から本郷十一まであったようですが、今は本郷十と本郷十一は無いようですね。単に私が見落としただけかもしれませんが。
 これがいつからなのか、江戸時代からなのか、明治6年の地租改正によるものなのかは、全く分かりません。
 が、ナンバリングされた面白い小字名ということで、ブログ記事にしてみました。

 ナンバリングの地名表記は、明治以降の地名付与に時々あるもので、数字の他、イ・ロ・ハ・・・のイロハ順、子・丑・寅・・・の十二支などがあり、新田開発で生まれた土地によく見られます。

 なおこの森上本郷○の本郷以下は恐らくは通常は現れない(表されない)と思います。
 それとなくコメントを期待していますが、祖父江町は、地租改正で地番の番号数字を振った際に、小字毎ではなく、大字毎に地番の数字を振ったようで、大字名+何番地で場所が特定できることから、小字は日常は用いられないと伺っています。

 このような大字毎に地番を振るのは「一村通し」といい、小字ごとに地番を振るのは「字別付番」と呼ばれる方式。
 岐阜県や長野県では、前者「一村通し」が基本で、小字名は滅多に出てきませんし、本当に小字名を廃止したところもあります。
 愛知県は小字があるところでは、大抵「字別付番」が基本です。

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2 コメント

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Unknown (ponta)
2015-09-16 10:07:12
本郷の事は余り良く知りませんが、昔は大字森上字本郷と云った様な気がします。
本郷十と本郷十一は今も有ります。十一は全部アイコクの用地です。
本郷○○の下、小字に当たる地名は住宅地図では有りません。
地番の振り方は大字単位とは思いますが、うちと同じ番地が他の小字に有ります。其の上枝番まで同じですから、どの様に地番を振った物か?
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見落とし (kisomitake)
2015-09-17 00:11:13
コメント、ありがとうございます。

本郷拾と拾壱、ほんとだ、ありました。
この切り取った地図の範囲外、北西の方向に、森上が延びていますね。そこでした。
これは地理ヲタとして大恥。

同じ番地の数字が他にあれば、小字ごとに番号を振られた、「字別付番」ですね。
一村通しですと、時々とんでもないインフレナンバーの番地が出てきます。
五桁数字の番地。

100程度で収まっていれば、「字別付番」と考えてよさそうです。
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