詩と写真 *ミオ*

歩きながらちょっとした考えごとをするのが好きです。
日々に空いたポケットのような。そんな記録。

カナシバリ星人

2016年01月23日 | 雑記
 東京暮らしの悲しさで、通勤には時間がかかり、一昨年の四月に東京に越してきてから朝は五時五十分に起きるようになりました。私にとって五時台に起きるなんてこれまではあり得ないことだった!そんなわけで、私は半年くらい無職だったので夫と一緒に起きるものの、朝ごはんの支度(といっても果物を切るくらい……)をして、夫を見送った後、こっそり二度寝をしていました。でも何時間も寝てしまったら一日がもったいないし、働いてないからって一人でのんびりしてちゃ悪い、と思って、七時とか七時半に目覚ましをかけて寝るわけです。
 これで起きるのがまたつらいんです。目覚ましをあとちょっと、あとちょっと、と三十分刻みで延長していったり……していると……。奴が、来る!
ビビビビビビ。ビビ。カ・ナ・シ・バ・リ・星人。
 
 この家に越してきてから最初にやってきたのは夫でした。いつものように夫を送り出し、再び布団に入って眠る。眠りながらも、早く起きなくちゃ起きなくちゃ。夢うつつに格闘していると……。布団のまわりや上をそっと人が歩く気配がする。その雰囲気で夫だとわかる。何か忘れ物で戻ってきたのかな。でもこんな時間に家にいたらとっくに遅刻だろうし、慌てていないなんておかしいし。夫に何かあったのだろうか、と思い始める。起き上がって確かめようとするけれど体が、動かない。無気味な気持ちになってくる。起きなくちゃ起きなくちゃ……。
 またある日のこと。やって来たのは両親。目が覚めると私は実家にいた。いや、夫と住んでいる今の自分の家にいるはずなのに、何か様子が違う。足元のほうのリビングとつながっているドアのところを見ている。すぐ横の本棚代わりのカラーボックスや、その上のCDラジカセも見える。いつも通りの部屋の様子だ。でも、まるで実家にいるかのように、部屋の向こうから足音や台所で水を出す音、父と母の話し声が聞える。私は昨日、実家には帰らなかったはずなのに、なぜ実家なんだろう?実家なのかな?いや、違う。すると今話している両親は?いないはずの母が起こしに来たら、どうしよう!必死に起きようとするけれど、体を、動かせない。
 それからしばらく経ち、やって来たのは、ついに、自分!部屋の中を誰かが歩いている気配がして、それがなぜだか自分なのだとわかるのです。あり得ないことです。あり得ないと思うからちょっと怖い。起き上がって確かめたいけれど、体が動かない。自分のときが一番無気味でした。一番、あり得ないから(なのかな?)。

 目が覚めている時に見ていたまったく同じ様子(暗さ、明るさ、光の具合まで)の部屋で寝ていて金縛りが起きるので、そのときは現実だと思っているのですが、実際は半睡の状態だということは自分でも後でパチッと完全に目が覚めるので、わかります。起きよう起きようとして起きられなかったのが夢の中だったとわかるのです。その時、私は目を開けているのかいないのか、夢ならば、私はきっと目をつむっているのでしょうけれど、どうなんでしょう?もしかしたら半分は起きていて、だから目も開けているのかも。そうだとしたら、それが一番ブキミだよ!!

 周りに人がいる気配がする、というのもなんだか奇妙です。カナシバリ星人たちはみんな、私を起さない配慮なのか(困ったことに)、そ~っと歩く。布団や畳の上をそっとそっと踏んでいる感触があるのです。これは幻覚みたいなものなのでしょうか。私の感想ではですね、これは、記憶の再生なのではないかと思うのです。こういうシチュエーションならこういう状況がいかにもありそうだ、ということを予測して、先行して再現する。それは動物的な本能なのかもしれないですよね、まわりに敵がいるかもしれない、だからもしかしたらこういう状況が起こるかもしれない、という予測をさっと立てる癖がついている、とか。それでカナシバってちゃ、意味ないじゃん!という感じではあるのですが。うーん。だからその危機感までが本能、ということなのかなぁ。それで私の場合は、起きなくちゃあ(“あ”は眠りながら闘っているところを再現)という焦り(=危機感)が半覚醒状態をつくり、幻覚(もどき)を起こすのだろうなぁと思うのです。そしてそんな状態になっても、寝続ける私って……。

 ところで先日、他の人よりも長めの正月休みをもらっていた私はまたまた星人を呼んでしまいました。夫は仕事だったので、一緒に起きて、見送ったあと、
「夫よ、すまない!!おやすみなさーい」
布団にもぐりこみ、すやすや。志は高く、七時半に目覚ましをかける。が、起きられるわけもなく……、久しぶりにきました!カナシバリ星人。
 布団のまわりをそっと歩く人の気配。私の場合はいつも親しい人のようです。優しい雰囲気が漂っています。途中でなんかおかしいな、起き上がらなきゃ、確かめなきゃ、と思う(確かめることで解決するらしいのだ)。それで、今回は誰だったかというと……残念ながら忘れちゃいました!たぶん自分みたいな感じ、だったような気がします。金縛りに遭いながらも起きられない私は引き続きうとうと。「起きなければぁ~せっかくのお休みがおわるー」ともがき続け、ともかく何かして目を覚まそうと思ったのか、枕元の携帯を手に取り、半分寝ながら「睡眠時間」と検索。「ロングスリーパーとショートスリーパーの性格の違い」という記事を見つけ「ロングスリーパーは芸術家タイプなどの人に多く、研究職や文章を書く仕事が向いているとされている」という文章をこれまた半分寝ながら読んで、
「よかっ・た……」
ガクッ。グォー。
携帯を手に持ったまま再び眠りに落ちていったのでした。

全然関係ないけれど、高松の頃に撮った写真。どこだったかな……。屋島かな。


半睡状態の街、なんて言ったら怒られるか。天気のことです天気の。




カナシバリ星人(写真はイメージです)


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