時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

チュニジアの日本人殺害の背景(日本メディアが伝えてこなかったこと)

2015-03-20 00:29:49 | リビア・ウクライナ・南米・中東
チュニジアで日本人が数名、殺害されました。実に痛ましい事件です。


この事件について、日本では「なぜ中東で唯一、民主化が上手くいったチュニジアで事件が?」と
疑問を投げかけている馬鹿野郎どもがわりと本気でいます。


彼らメディア関係者は決して情報を知ることができない位置にいたわけではなかった。
これを「馬鹿野郎」と言わず、どう表現すれば良いのでしょう?



簡潔に説明すると、チュニジアでは民衆が蜂起した後も、
軍が国を支配するという構図は全くそのまま変わりませんでした。



ベンアリー抜きの軍事政権。これはエジプトでも同様です。
そして、現在、アメリカが両軍のバックに立ち、支援を行っていること。これもまた事実です。



そもそも、アラブの春というのは自然発生的に起きた事件ではありませんでした。


確かに、きっかけはチュニジアの青年の抗議の自殺ではありましたが、それ以前から、
現地の若者に対してアメリカのシンクタンクが民衆蜂起のテクをレッスンしていたのです。

つまり、導火線に火さえつけば直ちに爆発するような爆弾が
あらかじめ、アメリカを中心とするIMF・欧米連合によって作られていたというわけです。


また、両国にはムスリム同胞団という過激派が存在し、特にエジプトにおいては、
このテログループとの戦いを通じて次第にムバラクの独裁的傾向が深まっていったのですが、
この同胞団を支援したのが他ならぬアメリカ合衆国でした。


チュニジアにせよエジプトにせよ、アラブの春によって誕生したのが
ムスリム同胞団による政権だったというのは偶然ではありません。



古くはシオドア・ローズベルトの時代から続く、現地の反体制派を支援し、
政権を転覆させ、アメリカに有利な保護国を作るというシナリオに基づいたものです。



ですから、アラブの春というのは、実際には欧米の再植民地化だったわけで、
暮らしが良くなるわけでも民主化が進むわけでもなかったのです。



どうして、このことを中東研究者もメディアも言わないのだろう、
実際には現地の状況は良くなっていないのになぜ民主的な革命とまでベタ褒めするのだろう。

そう私は思っていました。特にNATOが爆撃によって文字通り消滅させたリビアに対しては。



今回の事件は、チュニジア=民主化されたという歪んだイメージを刷り込ませた結果、
起きるべきして起きた事件だと私は思います。もっと危険な状況にあると危機感を抱くべきでした。

政府も企業も。末筆ですが、亡くなった方々のご冥福をお祈り申し上げます。