昨日の事である。
8時過ぎに庫裏のお風呂に出掛けた。
お風呂は気持がいい。湯船の中で軽いストレッチ。
庫裏を出た所で、犬の鳴き声が聞こえる。
耳を澄ませてみると、我が家のヘーカンが鳴いている。
また、猫に吠えているのだろう、と思いながら家に戻った。
玄関を入ってあれっ?と思った。
ヘーカンが窓の外に向けて吠え続けている。
変な人でもいるのか、それとも動物か。
わたしは懐中電灯で窓の外を照らした。
そしたら、「わたし」とおばあちゃんの声。
「何してるの?」
「落ちたのよ」
「えー?」
慌てて、裏から回っておばあちゃんの部屋の窓の下に行った。
おばあちゃんは鉢植えの3段作りの台の上に坐っていた。
「どうしたん」
「落ちたのよ」
どうやらおばあちゃんは落ちた時に腰を打ったらしい。
半纏を着ていたけれど、薄手のズボンに薄い靴下を履いていた。
「歩ける?」
「腰が痛いのよ」
わたしはおばあちゃんを支えながら、裏の入り口まで連れて行った。
南側の窓は山の坂のような所に家を作ってあるので、高くて到底おばあちゃんを上がらせる事は出来ない。
おばあちゃんを椅子に座らせて、靴下を脱がせ、足をお湯で洗った。
腰にバンテリンのジェルを塗り、何とかベッドに寝かせた。
何処になにがあるか、もはやおばあちゃんは把握出来なくなっているので、
部屋中から、ベッドの上まで衣類が散らばっている。
又しても、わたしの出番がやってきた。
珍しい事に、わたしは夜中の一時半に目覚めた。
オシッコに起こさなければ行けないんじゃないか、と思ったのである。
そっと、おばあちゃんの様子を見に行ったけれど、
おばあちゃんはぐっすり寝ている。
さすがにそのまま起きてしまうには早過ぎる。
あれこれ、介護について考える。先日、保健婦さんがおばあちゃんの消息を確かめに来た。
デイサービスに行かない、病院にも行かない、検査も受けない。
それなのにおばあちゃんは、介護保険、高齢者医療保険も払っているのである。
「表彰して欲しいですよ」と、言いたい。
あの時、色々相談しておけば良かった、と思ったりもした。
神経が高ぶっているので、落語を聞きながらまた寝ようと思った。
次に目覚めたのは6時半。
起きだしておばあちゃんの部屋に行く。
もう起こしてしまえ、と思って
「おばあちゃん」と呼んだら、いつもの椅子に坐っていた。
ちょっとホッとした。
着替えさせて、エアーサロンパスを腰の辺に吹いたら、
また寝る、と言う。
ベッドに、買って用意してあるオシッコシーツを敷き、寝かせた。
ちょっと、燃えて来た。この部屋綺麗に片付けるぞ、と思うのである。
一応、おばあちゃんを尊重して、遠慮している訳で、もうこうなりゃやるしかないでしょ。
おばあちゃんの精神のタフさで、我等は、ほんとに助かっている。
最後まで自分で生きる、って中々難しそうだけど、そうありたい、と強く願っている。
さて、今回も見事に復帰してくれるでしょうか。
ともかく、片付けるぞー!