佐世保便り

2008年7月に佐世保に移住。
海あり山あり基地あり。そしてダム問題あり。
感動や素朴な疑問など誰かに伝えたくて…

野生馬のいる岬 宮崎

2009-01-17 | 

最終日の最終目的地、都井岬にやってきました。

Wikipediaによると、<野生の馬が棲息することで知られ、「岬馬およびその繁殖地」として国の天然記念物に指定されている。この野生馬は江戸時代に高鍋藩が軍用馬飼育のため、放牧を始めたものが、後に半野生化したものである>とのこと。



でも、この写真、なんとなく暗いでしょう?

天気のせい? それもあります。
カメラマンの腕のせい? それも大いにあります。
でも、それだけじゃあないんです。

この日の都井岬は、岬全体が暗~い雰囲気でした。
まず、観光客の姿がほとんど見あたりません。
駒止めの門」と名付けられた料金所(通行料ではなく、ここの野生馬を保護管理している「都井御崎牧組合」への寄付金を納めるところ)を過ぎ、岬の突端にある都井岬灯台まで行く間、この広い敷地で、他の観光客に出会ったのは2組だけ。。

道路の左右には時々元ホテルや、元レストラン・売店など、錆びて薄汚くなった建物が見える。まるで廃墟のよう・・・。

どうしてこんな状態になってしまったんだろう?
同じ日南海岸にある観光地なのに・・・
かつては青島同様、宮崎を代表する観光名所でハネムーンのコースでもあったのに・・・



心なしか馬たちも寂しそう…?



日本在来種が野生で存在するのはここだけということです。
確かに一般に見る馬と違って、少し小さめ。背丈も足の長さも。

一心に草を食んでいる親子連れ(?)の姿を見ていたら、小さい方の馬が自分から近づいてきました。
途中の看板には、「野生馬なので近寄り過ぎないよう十分気をつけて下さい。咬んだり蹴ったりすることがあります」と書かれていたので少々ビビったけれど、とてもそのようには見えない。
草を引っこ抜いて差し出すと、ムシャムシャと食べてくれた。
(ちなみに夫が2回ほど差し出したときは、そっぽむいて食べませんでしたが)



近くで見ると、とてもかわいい目をしています。

草は枯れ草ではなく、その下に隠れている緑の茎や葉をむしり取るようにして食べているのです。すぐそばにいると、バリバリというものすごい咀嚼音がきこえます。相当硬い茎も食べているようです。

5,6頭の馬がすぐ間近まで来てくれましたが、皆おとなしくて、近くの草をひとしきり食べると、またゆっくり移動していきました。


家に戻ってから少し調べてみたのですが・・・
この御崎馬たちの歴史も、人間によっていろいろ翻弄されてきたようです。

江戸時代、軍用馬を育てるために作られた高鍋藩所有の「牧」は、明治になって宮崎県の管轄になりましたが、県は経営難で、この「牧」を杉林の土地つきで民間へ売却します。
都井村に住む155人の人々が「都井岬牧組合」を作り、馬も土地も共有物として守り育てました。

人々は林業と牧畜の両立をめざしましたが、次第に杉の植林のほうに力を入れるようになりました。
植林地が増えれば草原が減ります。その結果、馬も激減。50~60年代には50頭までに減少
しかし、1953年、御崎馬が国の天然記念物となり、1968年、御崎馬保存会が発足。
少しずつ増え続け、現在は115頭にまで回復したということです。


観光地としては寂れたように見えますが、牧組合やボランティアの人々の熱意により、野生馬たちは温かく大切に観察保護されているようです。
また、草原が青々と萌えるシーズンには観光客も訪れ、ボランティアのガイドに耳を傾けている写真もたくさんありました。
よかった・・・。
観光客が増えすぎて、馬たちの静かな生活が乱されては困るけど、「駒止めの門」で観光客が渡す寄付金が「牧」の大切な運営費になっているようですから。




ここ佐多岬は、野生馬だけでなく、最北端のソテツの自生地としても貴重な場所です。

馬もソテツも、自然の恵みを知る宮崎の人々の優しさに守られて、ずっとずっとこの岬で元気に生き続けてほしいと思います。

 

 

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