ペドロランド日記

スペインの国際村「ペドロランド」を中心にフランスとイギリスに発信地を移しながら、日々の出来事を綴っています。

フランスで家を買う

2006-02-09 15:33:20 | 旅行
今日のスペインは気温20度

モンポンには午後2時少し前に着いた。車の窓の応急措置をしようと、ホームセンターに行くが2時まで開かない。フランスの店は平日午前12時から午後2時までたっぷり2時間昼休みをとるところが多い。銀行とのアポが2時からあるので、あきらめた。

窓ガラスがないという無防備な状態に車があるため、ふたりで車を離れることができない。そこで、夫が銀行に行っている間、わたしが車に残ると言うと、ファブリスが自分の車をすぐ横に停めるから、暖かい自分の車の中で待つようにと言う。

夫が銀行に行っている間、暖房のきいた車中でファブリスと話をする。「昼食とった?」と聞かれた。やはり彼の1日は食事を中心に動いているようだ。「とる暇がなかった」と答えたが、二人で同時に車を空けるわけには行かないので、5コースの食事は無理なのだ。

午後3時にファブリスとともに、公証人(弁護士)の事務所に行く。ここで初めて家の売り手の兄妹に会う。スペインで公証人の事務所に行ったときには、ちゃんとした格好をしてくるようにと特に注意されたので、二人ともわりとカジュアルな格好をしているのにはちょっと驚いた。もっとも、スペインでは、きちんと釘を刺しておかないと、Tシャツにショートパンツ・サンダル履きで公証人役場にやって来かねないイギリス人がいるからかもしれない。

例によって例のごとく、大量の書類に大量のサインをする。書類1ページずつにサインをするという習慣があるのは、フランスだけではないだろうか?弁護士が英語とフランス語で契約書の説明をしてくれる。

家の所有権はわたしと夫との間で50%ずつ。トンティンという形式だそうだ。この言葉を聞くと、夫と顔を見合わせてしまった。アガサ・クリスティーのミス・マープルものの話の中で、トンティンが大きな鍵を握る殺人事件を思い出したのだ。相続人のうちの1人が死ぬと、そのほかの人たちの取り分が増えるというトンティン形式を狙って、次々に相続人を殺して行くという話だった。

この場合、夫かわたしのどちらかが死ぬと、家は100%もう一人のものとなる。スペインの場合、残った人が死んだ人の持分を買い取るという形になるので、連れ合いに死なれると税金を払わないといけない。が、このトンティン方式だと、当事者にはそのような税金はかからないらしい。しかし、2人がともに死んだ後、第3者が相続した場合、60%とという途方もないキャピタルゲイン税がかかるので、1人が死んだ時点で売ったほうが得策であるということだ。

もう1つこのときわかったことは、この家は汲み取り式ではないということだ。でも、下水道本管にはつながっていない。ということは、庭のどこかに汚水が溜まっているということなのだろうか?うかつに庭は掘らないほうがいいかもしれない。

こうして契約書にサインが終わった後、公証人役場の前で延々と売り手と話をしているファブリスを後にして、ホームセンターに行く。10分ほどするとホームセンターの駐車場にファブリスが車でやってきて、電気・ガスの銀行口座引き落としの手続きをするために、事務所に来るように言われた。「じゃあ、5分後に事務所でね」と言って別れ、買い物を終えた夫とホームセンターの駐車場を出ようとすると、ファブリスはまだ駐車場内にいた。客の一人に知った人がいたと見えて、5分間ずっと話し込んでいたらしい。

自分はいつもどこかにある時刻に着くために走り回っていると先にファブリスがこぼしていたが、自分を忙しくしているのは自分自身だということに彼は気がついているのだろうか?おしゃべりをやめれば、もっと余裕のある人生をおくれるのに。

最後に、フランスで家を買おうという方に警告を。フランスは公証人(弁護士)の料金がめちゃくちゃ高いです。これは家の価格に比例し、国が定めた料率に従って課されるので、どこの公証人に行けば安いというものでもなく、どうしようもないことですが、覚悟しておきましょう。わたしたちの場合、9000ユーロ(約127万円)も払いました。イギリスだったら、300ポンド(約6万円)くらいだったでしょう。とうわけで、いくら家がお買い得と思えても、最終的な支払金額には公証人の手数料が加わることを考慮に入れておいたほうがいいです。また、住宅ローンを借りると、これを家の権利書類に登記するための公証人の手数料がさらにかかることも、住宅ローンを検討するときに注意したほうがいいかもしれません。

早速手にした鍵を持って、買ったばかりの家に行く。家具はほとんど持ち去られていた。居間の椅子とコーヒーテーブルは残るのかと思っていただけに残念。古い水色の戸棚とガラクタ類(埃だらけのりんご酒なんかもあった)とかほしくないものは残っていた。照明器具はすべて取り外されていて、壁や天井から電線がぶらさがっているのみだ。台所はそのまま。水道の蛇口さえ持っていく人がいると聞くフランスにしては、ラッキーだったかもしれない。もっとも、落ち着いた暁には真っ先に改装したい部分なのだが。

庭には、ごく最近掘り返された思われるところが3箇所あった。気になって、12月に撮った写真と見比べると、この場所にあったのは3本のバラの木のようだった。記念植樹かなんか、特別な思い出の木だったのだろうか?

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