キッチン・トランスレーターつれづれ日記

つれづれなるままに日々のよしなしごとを綴ります。本、風景や花や料理、愛犬の写真などをご紹介。

こまった鳥の木

2011-08-06 14:51:40 | 
Tree of Birds
クリエーター情報なし
Houghton Mifflin (Juv)

           ある日、ハリーは交通事故にあった鳥を連れて帰り看病します。鳥の図鑑

           によるとグリーン・タフト・トロピカルという鳥。渡り鳥のようです。サリー

           と名付けて、とてもよいお友達になりました。もうサリーと離れることはで

           きません。ところがある日、窓の外を見ると、葉っぱが落ちているはずの木

           が一本、目の覚めるような緑色に変わっています。サリーの友達がやってき

           たのです。それからというもの、鳥たちはハリーをつけ回し、風が吹こうが、

           雨が降ろうが、言い聞かせようが、脅かそうが、木から離れません。「冬が

           そこまで来ているよ。早く飛んで行かなくちゃ」どんどん寒くなって、鳥たち

           はみんな青くなりました。だけど鳥たちは動きません。サリーは部屋の中か

           ら心配そうに見ています。「分かったよ、ぼくの負けだ」ハリーはとうとう窓

           を開けました。すると、鳥たちは一斉に暖かい部屋に飛び込んできました!

         

           絵本の中の動物たちは擬人化されていることが多く、人間のように話した

           リ、考えたりするのですが、この「こまった鳥の木」(邦題)に出てくるおび

           ただしい数の鳥たちは、あくまでも鳥。鳥らしいやり方で、仲間を取り

           戻そうと、少年に対抗します。鳥の目の表情だけで、怒っている、びっ

           っくりしている、寒がっているなんていうのが分かるのは、作者の並々な

           らぬ力量でしょう。寒くなる前に渡っていかなければならなのに、頑固に

           留まって、緑色の体が青くなるところは笑えます。一つ間違えば、ヒッチ

           コックの「鳥」になりそうな題材なのですが、鳥たちの姿があまりにユー

           モラス」で、「がんばれ!」と応援したくなります。結末も温かい、いい

           絵本です。

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