キッチン・トランスレーターつれづれ日記

つれづれなるままに日々のよしなしごとを綴ります。本、風景や花や料理、愛犬の写真などをご紹介。

夕顔

2016-09-21 15:58:24 | 季節の花々
             

             金子みすゞの詩は、童謡らしくやさしい言葉の中に、何か深い、温かい

             ものがあって、ホロリとさせられることが多いのですが、この『夕顔』の

             詩がまさにそう。下を向いて咲く夕顔の寂しさに、胸がじんとなります。

                 お空の星が夕顔に、さびしかないの、とききました。

                 おちちのいろの夕顔は、さびしかないわ、といいました。

                 お空の星はそれっきり、すましてキラキラひかります。

                 さびしくなった夕顔は、だんだん下をむきました。

                        金子みすゞ童謡集『わたしと小鳥とすずと』より『夕顔』

             

             源氏物語でも、垣根に咲く夕顔に目を留めた源氏がその家の住人、

             つまり「夕顔の君」と文をやり取りすることから関係が始まります。

             儚げながら可憐、美人薄命を絵に描いたような女人にピッタリの

             花です。紫式部さんの力量ですね。

                   

             雨に濡れてうつむいた花の様は更にさびしげですが、これの実は瓢箪

             の一種で、干ぴょうの原料です。干瓢巻を食べながら「夕顔の君」を思

             い出すなんて、なかなか面白い感覚です。源氏は干ぴょうなんて食べ

             たでしょうか?平安時代にはまだなかったかも。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする