平成も28年、今年は奈良で年を越し、お正月を過ごしています。
おかげでつけっぱなしのテレビでは、普段見ることのない、漫才
番組やら、こってこての新喜劇を朝から晩まで浴びるように見て
います。なかなかに濃い世界です。でも外に出て、古の奈良を訪
れると、古代の静謐な世界に身を置くことのできるのが奈良です。
興福寺の五重の塔はますます格調高く、
南円堂は2000年の昔に変わらず凛としたたたずまいです。
興福寺から鹿と戯れつつ奈良公園を抜けると東大寺。
壮大な南大門が出迎えてくれます。今回は大仏様にはお目にか
からずに、奈良公園を南にぶらぶら春日野を抜けて春日大社へ。
途中にある手向山八幡宮。由緒正しい東大寺の守護神社で、紅葉
の名所です。「このたびは幣もとりあへず手向山紅葉の錦神のま
にまに」という古今和歌集の菅原道真の歌があります。ちょっと
歩くといにしえの典雅な文化に出会える、素晴らしい土地です。
春日大社は言わずと知れた藤原の氏神様です。茨城県の鹿島神宮
から神様をお呼びしたので、鹿が神使です。それで周囲に鹿がいっ
ぱいいるんですね。
今年は20年に一度の大改修、式年造替の年だそうです。
春日大社から奈良町の方へ回り、元興寺を訪れました。その昔は
興福寺と並ぶ大寺であったのが、衰退はなはだしく、荒廃を極め
ました。今も国宝の極楽堂などありますが、世の変転というのは
計り知れないものがあります。
その後夕暮れの猿沢の池畔にたたずみ、昔を偲びました。小さな
人工池ですが、奈良時代、帝の寵愛を失った采女が身を投げたな
ど、伝説にも事欠かない美しい池です。
静かで心満たされる奈良散策でした。