名前で損をしている花の一つが「どくだみ」でしょうか。ちょうど今頃
白い十字のきれいな花が咲きます。十薬とも言われ、十種の薬効が
ある薬草なのに、悪臭が災いしていますね。どくだみ茶もありますが。
近所に大型スーパー「ライフ」がもうすぐ開店するのですが、その前
の道沿いにびっしり生えていたのが、すっかり刈り取られてしまい
ました。雑草(なんていう名前の植物はないと、前の天皇陛下はお
っしゃったそうですが)の運命や、哀れ!でもこんな素敵な句の主
人公になっている草でもあります。
どくだみや真昼の闇に白十字 川端 茅舎
「かたばみ」もまた、どこにでも咲いています。はびこっていると
言ってもいいくらい。だから、こんな風に詠まれたりしています。
かわいらしい花なのに。
かたばみの花大足が踏んで過ぐ 河野 友人
でも一番名前で損をしている草花は「おおいぬのふぐり」。実の形
が犬の陰嚢(ふぐり)に似ているから、ついた名前なんですってね。
どういうセンスをしていたんでしょうね、こんな名前をつけた人は。
洋名は「ほしのひとみ」と言うんだそうです。次の句はその洋名の
方からの連想ですね。きれいな句です。
いぬふぐり星のまたたく如くなり 高浜 虚子