スイミー―ちいさなかしこいさかなのはなし | |
谷川 俊太郎 | |
好学社 |
レオ・レオニの「スイミー」は小学校の教科書にもう何十年も前から載っているし、
私のような年配だと子どもの教科書を覗いて知っているので、たいていの日本人
が知っている絵本ということになるかもしれません。赤い小魚たちで大きな魚を作
り、その目になって、みんなをひっぱっていく、ちいさな、かしこい黒い魚スイミー。
海中の様子や生き物たちが、水彩の押し絵のような技法で、とてもかわいらしく
表現されています。たくさんあるレオニの絵本は、それぞれに表現の仕方が違い、
お話も教訓的であったりもしますが、この「スイミー」の翻訳者谷川俊太郎が言う
ように、どの絵本にも根底にポエジーがあって、地球上の様々な美しい世界に
案内されているような気持ちになり、思わず引き込まれてしまいます。
これはスイミーとは違って水色の魚です。目はスイミーのように黒いですが。
宮城まり子さんのねむの木学園の子どもたちが描いた絵のカレンダーを毎
年買っていますが、これはその7月の絵です。みんな同じ方向を向いて、団
結している感じもいいですね。涼やかな絵です。
こう暑いと、涼しい景色を見たいと思いますが、山間部の生まれなのでどうしても
森や高原に心が動き、海はどうもねと思います。じりじりと熱い太陽が照りつける
砂浜を考えただけでも汗が出てくるようです。そんな私に理想的な場所がありま
した。千葉房総千倉の海岸美術館です。海岸美術館という名前なのに涼しい山
の中にあります。浅井慎平さんの素敵な海の絵や上の写真のような海のオブジ
ェがあって、庭も青々としていて、真夏の暑い盛りに行ったのですが、心も体も気
持ち良く、涼しくなりました。