超心理マニアのためのブログ

マット・イシカワによる超能力研究の文献ガイド

テレビ―「やらせ」と「情報操作」

2006-10-29 | 読書ガイド
この話題から離れようと思っていたところで、的確なコメントが来たので、
53番にもう一冊その手の本を。

●渡辺武達『テレビ―「やらせ」と「情報操作」』三省堂選書(1995)

番組制作側の「論理と文法」を学ぶ、テレビ・リテラシーの教科書。
UFOの模型でUFO番組ができるというくだりもある。

ところで、コメントにあったように多少の「演出」はいいではないか、と
いう意見はある。しかし、私はその場合でも「演出」と断るべきと思う。
(理由1)誰かから聞いて演出すると、伝聞が直接証拠のように見える。
(理由2)撮り損ねたものを演出すると、発生頻度を誤って印象づける。
 ⇒ちゃんと撮影できるほど頻繁に起きていることなのだと。

だが、今、大きな問題となっているのは、上の「演出」でなくて「捏造」
なのである。番組制作者が、真実であるとは思っていないか、あるいは
まったく判断がつかないことを、たんに視聴率を獲得するために、真実の
可能性が高いように見せかけているのである。

昨年のことである。テレビ出演(エキストラ)のバイトに行ってきた学生が
「ひどいんですよ」と教えてくれた。街頭にテントを張っての実験・調査
番組で、血液型と食事の仕方との関係を調べるという。ところが、街頭
調査といいながら、参加者はすべてエキストラで、血液型は割り振られ
(少ないAB型に別の血液型の人が回った)、食べ方は「指示」されたと
いうのだ。私も番組を見た(録画放映だったので)が、客観的調査のように
印象づけられていた(血液型判定はやっぱり本物だといいたいらしい)。

ついに科学的方法まで悪用しはじめたか・・・と、私は唖然とした。
業界でルールづくりでもしなければ、映像全体が信頼を失ってしまうだろう。