超心理マニアのためのブログ

マット・イシカワによる超能力研究の文献ガイド

外向性指標とESPスコアの相関

2007-11-30 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(6-7)>

第6章:フィオナ・スタインカンプによる強制選択実験のメタ分析
(7)外向性指標とESPスコアの相関

ラインの調査以降では、58年にマンガンが心理変数のESPスコア
との相関を調査し、外向性の高さとESPスコアの高さに相関を得て
いる。が、外向性指標にいろいろのタイプがあり、論議がある。

シュマイドラーは、退屈な実験では外向性が高いとESPスコアが
低い例があることを指摘した。パーマーは、使われていた外向性指標
が別の指標と相関が高く、外向性指標を説明に使うことを疑問視した。
98年ホノートンらは、メタ分析により外向性指標を擬似相関と考えた。
実験後に調査したものにのみ相関があったからである。


催眠でESPスコアが上昇するか

2007-11-29 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(6-6)>

第6章:フィオナ・スタインカンプによる強制選択実験のメタ分析
(6)催眠でESPスコアが上昇するか

ラインがまとめた1940年までの分では、催眠感受性の高さや
自己催眠を行なうことによるESPスコアの上昇はなかった。

94年のスタンフォードらのメタ分析では、催眠時の合計スコアは
きわめて有意であったが、対照群とのスコア比較は実験者によって
大きくばらつき、有意性は検出されなかった。催眠状態か否かが
実験者にわかっており、実験者期待効果が排除されていなかった
問題、被験者が催眠に効果があると思うことによる問題も指摘され、
厳密な実験設定でこの問題に取り組まれたことはまだない。


長いESP実験ではスコアが低下する

2007-11-28 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(6-5)>

第6章:フィオナ・スタインカンプによる強制選択実験のメタ分析
(5)長いESP実験ではスコアが低下する

ラインがまとめた1940年までの分では、一連のESP実験で
試行回数を多くしている場合、平均スコアが低い傾向が見られた。

89年にはナッシュが、その相関を明示したうえ、さらに、一連の
実験内の試行についても、より後ろの試行では成功確率が低下
する傾向もあると、あわせて指摘した。長い実験では疲れてくる
ためだろうか。

しかし、こうした傾向については、途中打ち切りや、報告バイアス
による擬似効果である可能性も指摘される。

ESPスコアと性別、報酬など

2007-11-27 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(6-4)>

第6章:フィオナ・スタインカンプによる強制選択実験のメタ分析
(4)ESPスコアと性別、報酬など

ラインがまとめた1940年までの分と、78年のパーマーのレヴュー
の比較では、性別とESPスコアが相関しないこと、実験者と被験者
の関係が重要であること、来客が来るとスコアが低下すること、が
一致している。

一方で、ラインがまとめた分では、金銭的報酬がESPを引き出す
ように見られたが、その後のパーマーの分析では、効果が見られない
結果になっている。


ESPスコアは精神疾患と相関しない

2007-11-25 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(6-3)>

第6章:フィオナ・スタインカンプによる強制選択実験のメタ分析
(3)ESPスコアは精神疾患と相関しない

古くは精神疾患があると健常人よりもESPスコアが高いと予想された
が、ラインがまとめた1940年までの分では、相関が見られなかった。

この結果は、75年のロゴの研究、78年のパーマーの研究でも支持
された。しかし、そもそも精神疾患があると強制選択実験を辛抱強く
行なえないという可能性も指摘されている。


ESPスコアにターゲットの距離は影響しないと見られる

2007-11-24 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(6-2)>

第6章:フィオナ・スタインカンプによる強制選択実験のメタ分析
(2)ESPスコアにターゲットの距離は影響しないと見られたが

ラインがまとめた1940年までの分では、ターゲットがどのくらい
遠くにあるかは、ESPスコアに影響しないと見られた。が、65年に
オシスが、遠距離ターゲットの諸実験について、距離に応じて集計
したところ、遠距離になるほど減衰が見られた。ところが、これらは
実験条件が同一でないという問題をはらんでいた。

(参考)『量子の宇宙でからみあう心たち』p.258

78年にパーマーは、遠距離でスコアが出なかった実験は、心理学的
条件設定がまずかったという可能性を指摘し、同時に厳密な実験では、
距離による差はないと主張した。距離による影響は、あるにしても
それは物理的距離ではなく、心理的な距離感によるものと考えられる。
さらに、厳密な実験が期待されるところである。


ESPスコアに知能は影響しないと見られたが

2007-11-23 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(6-1)>

第6章:フィオナ・スタインカンプによる強制選択実験のメタ分析
(1)ESPスコアに知能は影響しないと見られたが

ラインがまとめた1940年までの分では、ESPスコアに知能は影響
しないと見られたが、58年にマンガンが、高得点のESPスコアと
知能が正相関すると報告した。78年にパーマーも同様の結果を得た。
しかし彼は、高知能の被験者は、高得点が得られるよう、状況に
対応して性格を調整できるためではないかと主張している。

現代的な知能の定義をもとに、改めてより厳密に調べるべきである。


強制選択ESP実験のメタ分析

2007-11-22 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(6-0)>

第6章:フィオナ・スタインカンプによる強制選択実験のメタ分析

すでに、新刊書紹介・からみあう心たち(15)で示したように、
スタインカンプは、ラインがまとめた1980-1940の60年間の
強制選択ESP実験の結果報告についてメタ分析し、注目すべき
結果を得ている。

(参考)『量子の宇宙でからみあう心たち』p.129

1)コールとターゲットを別々に記録するようになってから、効果
 サイズが0.04から0.02レベルまで低下している。これは記録ミス
 があったことが伺えるが、それだけでは説明できない効果が残る
 ことも同時に示している。

2)後期の高品質の実験のほとんどはラインによって行なわれて
 おり、結果の一般化可能性は高くない。

3)この期間の強制選択実験は厳密化の過程にあり、完全自動化
 した厳密実験は最後の1実験であった(それも極めて有意)。


ボール引きESP実験

2007-11-21 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(5)>

第5章:ズイトベルト・エアテルによるボール引き実験

これまでの強制選択実験は次の問題があった:
・長時間、多大な努力を必要とする
・動機づけに欠ける(飽きやすいということ)
・効果はわずかしか検出されない
・効果はだんだん下降する
・良い結果が出ても疑われる
・性質の究明につながりにくい

そこで新しい「ボール引き」テストを考案実施した。この方法は、
袋に1-5の番号を書いたピンポン玉を各10個ずつ入れ、
被験者は番号を推測した後、袋からその玉を引き出すように
念じて1個取り出す。記録したあと、その玉を戻し、続ける。
60回を一連の試行として、それを6回行なう。

エアテルは321人の被験者に対して3000回のボール引き
実験を行ない、Z値が12、効果サイズ0.04の高スコアを得た。

※ESPカードよりピンポン玉は、飽きないかもしれない。
 が、情報漏えいや、かき混ぜの不良など懸念事項は多い。
 自分でターゲットを決める点も、事前に引いた番号は回避
 されやすい問題がある。この点については分析があるが、
 諸問題の解決につながるほどは、よい方法には思えない。


超心理と変性意識研究

2007-11-20 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(4)>

第4章:エイドリアン・パーカーによる変性意識研究

変性意識研究を解説し、ガンツフェルトの改良実験などを提案。

結論では次の点を強調:
・超境界性尺度などで被験者を選択するとよい。
・ESPやPKはどれも同様な状況で起きるので、根源は一緒。
・超心理は自己の無意識部分のプロセスである。
・変性意識へのシフトで超心理情報の意識への流入が起きる。
 (それ以外の場合は、記憶を介している)

超心理の確実な性質は:
・実験者効果の存在
・ミッシングとヒッティングがあること
・逃避的な様相を呈すること


間奏曲(30)乱数が大統領の支持率と同期?

2007-11-19 | 間奏曲
地球意識プロジェクトの乱数発生データのバンセルによる
最新分析によると、9・11のテロ以降、全乱数の偏りは
低下傾向にあるそうだ。
http://noosphere.princeton.edu/pab/longtrend/

その傾向が、なんと大統領支持率と同期しているとか。
http://noosphere.princeton.edu/pab/longtrend/poll.gcp.html

こじつけのように思えるが、次期大統領の改選に伴って
その偏りが上昇すれば、おもしろい。

地球意識プロジェクトの解説:
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/3-7.htm


間奏曲(29)ヒーラーの能力査定

2007-11-18 | 間奏曲
本日、千葉の国際総合研究機構を訪問した。
きゅうりを使って、ヒーラーの治療能力が判定できるのだそうだ。
B級は初心者、A級はベテラン、S級はスーパー級ヒーラーと
3段階に分けられている。

なかでもおもしろかったのは、慎重なヒーラーより、そそっかしい
ヒーラーのほうが成績がいい傾向があるということだ。慎重に
あれこれ考えると、潜在意識の働きを抑圧してしまうのだろうか。

http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/jspp/MM0710.htm


超心理学のトランスパーソナルな将来展開

2007-11-17 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(3-3)>

第3章:ウィリアム・ブロードによる将来展開の提案
(3)超心理学のトランスパーソナルな将来展開

超心理学は将来、研究対象をグラフが言うような超越体験にまで
拡張し、超能力の実在や性質だけでなく、その意味を解明の究極
目的とするようになるだろう。

現象にかかわる心理的、社会的、意味的文脈の検討がすすむ。
実験者効果に加えて実験場所効果もあるかもしれない。意味的
差異の指標をとるレイノルズの手法が有効か。いずれにしても
超心理学は、科学的方法を超えて方法が展開し「超常現象研究」
という広い枠組に到達するだろう。

現象の「とらえにくさ」を軽減するには、現象が何によってブロック
されるかを究明すること、役に立つ実用的応用を開発することが
求められる。


超心理学の過去の成果を再検討してみよう

2007-11-15 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(3-2)>

第3章:ウィリアム・ブロードによる将来展開の提案
(2)超心理学の過去の成果を再検討してみよう

100年をこえる超心理学の歴史のなかには、貴重な議論が
多数埋もれている。自然科学では5年経ったら古くて使えない
議論と見られる向きもあるが、超心理学のような分野では、
埋もれている議論を発掘することで、超心理現象の理解への
ヒントを得ることが、むしろ期待できるのである。

最近の実験の結果から推測されていることも、過去の知見と
重ね合わせてみると、思わぬ理論的展開があるのではないか。


超心理学の研究領域を拡大して考えよう

2007-11-14 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(3-1)>

第3章:ウィリアム・ブロードによる将来展開の提案
(1)超心理学の研究領域を拡大して考えよう

心霊研究が超心理学になるにあたって、研究テーマが4種、
つまりテレパシー、透視、予知、念力に限定された。この限定
は研究の促進につながったのだろうか。実験的な枠組みが
自発的な現象を消滅させているのかもしれない。

心霊研究は、思念伝達や千里眼に加え、人格の統合失調、
天賦の才、睡眠、催眠、霊視、自動現象、トランス状態、憑依、
恍惚、無意識の現れなどが対象となっていた。もう一度
このような広い文脈のなかで、諸現象を位置づけてみたい。

http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/6-1.htm