超心理マニアのためのブログ

マット・イシカワによる超能力研究の文献ガイド

乱数発生の心物連関作用モデル

2007-04-30 | 論文ガイド
<PA2005(12)>

ノエティックサイエンス研究所より。
●ディーン・ラディン
 「乱数発生の心物連関作用モデル」

乱数発生器の心物連関作用を説明する時間遷移因果モデルを
マルコフ連鎖で表現する方法を検討する。

ボタンを押したときにある乱数ビットが、所定の値になった
ときに、それは(1)念力でその値になった場合と、(2)予知で
その値が出るタイミングをはかってボタンを押した場合の、
2通りが考えられる。

マルコフ連鎖モデルが長くなると、そのモデルに合致する
一連の系列が偶然発生する可能性が低下するので、両者を
識別できる可能性が生じる。

パイロット実験の範囲では、目的論的な過去遡及的因果モデル
のほう、つまり(2)のほうが、よい説明を与えることがわかった。

http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/5-4.htm


ガンツフェルト実験のヴァリエーション

2007-04-29 | 論文ガイド
<PA2005(11)>

ドイツのIGPPより。
●ピーター・ピューツ&マシアス・ゲスラー&ジリ・ワッカーマン
 「ガンツフェルト実験のヴァリエーション」

ガンツフェルト実験の新規企画に向けたパイロット実験。

注目している点は、
・超能力を信じていない被験者に「不可能なテレパシー」を
 強要しても、現象が起きるか。
・受け手が想像を絶え間なくしゃべるのは、言語発話による
 雑念が起きやすいので、発話を減らして成績が向上するか。
・ターゲットはダイナミックな映像が効果高いとする研究と、
 簡潔で情報量が少ないものがよいとする研究で矛盾がある
 ようなので、それをクリアにする。

現状ではとくに顕著な結果はでていない。


赤血球の破壊にヒーリングが与える影響

2007-04-28 | 論文ガイド
<PA2005(10)>

ライン研究センターなどより。
●ジョン・パーマー&スティーヴン・バウマン&クリスティン・シモンズ
 「赤血球の破壊にヒーリングが与える影響」

20人のヒーラーと40人の一般人について、赤血球の試料に施術して
破壊(溶血)を遅らせてもらう。各参加者には、質問調査をする。
また、半分の実験は試料への磁場を遮蔽して行なう。

施術による変化は全体として有意にはみられなかった。ヒーラーと一般人
の違いもなかった。磁場の処理による違いもなかった。高年齢の一般人は
破壊を早めてしまうのに対し、若い一般人は破壊を遅らせる傾向があった。
磁場を遮蔽したときの破壊の遅れは、境界性が低い被験者で強く見られた。


乱数発生器への念力~偽フィードバックの効果

2007-04-27 | 論文ガイド
<PA2005(9)>

南アフリカより。
●ヘルマン・クルイッセら5名
 「乱数発生器への念力~偽フィードバックの効果」

物理乱数発生器の出力累積を、念力で上昇させたり、
下降させたりすることを教示する。実際の画面には、
真の正しい累積値を出す場合と、偽の奨励を加えて、
教示方向に片寄った累積値を出す場合で比較する。

偽フィードバックを加えた方が、真の値も片寄り
やすい傾向が、期待通りに見られた。

※能力発揮を奨励するという意味ではポジティブだが、
 被験者を欺くという点ではネガティブな設定であり、
 結果が不安定になるおそれがある。

瞑想家同士の脳派同調

2007-04-26 | 論文ガイド
<PA2005(8)>

アメリカのワシントン州より。
●レイラ・コザック&リアンナ・スタンディッシュ&クラーク・ジョンソン
 &トッド・リチャーズ&ブレント・シュチュワート
 「瞑想家同士の脳派同調」

16人の瞑想家に30日間、毎日2回一緒に瞑想訓練してもらい、実験を
行なう。10メートル離れたシールドルーム2つに、送り手と受け手を
それぞれ隔離して脳波をとる。送り手には、視覚刺激は1秒ごとに反転
するチェッカーボードをランダムの時刻に呈示したり消したりする。
各被験者は、送り手と受け手を交代して担当する。

16人のうち、4人が刺激呈示時に1%有意な同期を示した。同じペアで
再実験したが再現はしなかった。なお1人は刺激消去時に有意な同期
を示した。

環境敏感性の質問紙調査

2007-04-25 | 論文ガイド
<PA2005(7)>

アメリカのヴァージニアより。
●マイケル・ジャワー「環境敏感性の質問紙調査」

憑依体験をしやすい人の傾向性を見極めることを目的に、
環境敏感性の質問紙調査を行なった。超心理系の雑誌読者から
112人の協力を得て、アンケートの回答が得られた。そのうち
62人が環境敏感性の分類され、その特徴は次の点に要約された。

女性の第一子、独身、両腕利き、内向的で想像にふけると自己査定、
幼少期にトラウマ経験の記憶があり、電気製品を故障させると認識
している者。


ガンツフェルトの受け手が乱数発生器

2007-04-24 | 論文ガイド
<PA2005(6)>

イギリスのノーザンプトンの大学より。
●ニコラ・ホルト&クリス・ロエ
 「ガンツフェルトの受け手が乱数発生器」

ガンツフェルト実験では、受け手でなく、送り手の超心理能力で
成功する可能性がある。そこで、受け手を人間でなく、応答文の
ストックから乱数によってランダムに選定する自動システムを
受け手とした。この乱数を、乱数表を使う場合、ソフトによる
擬似乱数の場合、真正物理乱数の場合に分けてそれぞれ実験した。

どの場合も、有意にならなかった。
※なんか直観的に、この実験はうまくいきそうにない気がするが。

生態心理学の観点からの超心理研究

2007-04-23 | 論文ガイド
<PA2005(5)>

アリゾナ州立大学より。
●イゴーリ・ドルゴフ「生態心理学の観点からの超心理研究」

ギブソンの生態学的心理学の観点からの検討。

たとえば変性意識状態の知覚は、現実が歪められているのでなく、
生態学的に素直な知覚と言えるのではないか。

超心理現象は、客観的な視点から見れば奇妙であっても、世界に
生きる人間中心の視点から見れば、奇妙でない可能性がある。

※新しい心理学の構築の試みである。

ガンツフェルトの成功要因

2007-04-22 | 論文ガイド
<PA2005(4)>

ライン研究センターの心理学者。
●ジェームズ・カーペンター「ガンツフェルトの成功要因」

241人の芸術家と、342人の一般人でガンツフェルト実験をした
結果を、それらの人々の体験や性格などの要因で成功か失敗かを
予測する重回帰式を作成した。将来の実験の成功率を高める知見である。

実験の成功に寄与すると思われる要因は:
・実験中に肯定的または中立的な、身体的・感情的体験をしていること
・自己超越、感情親密性などに対する想像暗示性が高いこと

実験の失敗に寄与すると思われる要因は:
・饒舌さ、認知的・知性的取組み、不安および不安回避
・芸術家については、状況への不快な適応の示唆

予知的忌避

2007-04-21 | 論文ガイド
<PA2005(3)>

コーネル大学の社会心理学者。
●ダリル・ベム「予知的忌避」

すでに<PA2004(37)>の発表にあったように、あまり
刺激的でない画像でも、将来の呈示(750msX10回)によって、
退屈することを予感し、そちらの画像を忌避する傾向が予想される。

140人の女性と60人の男性について24試行ずつ行なったところ、
全体では偶然期待値であったが、興奮性が低いか、退屈抵抗性が
低い被験者にかぎって集計すると、将来呈示画像が選好される割合
が47.3%(つまり忌避されやすい傾向)で有意(p=0.006)であった。

低興奮性被験者は、否定的な画像で忌避傾向性が強く出て、低退屈
抵抗性被験者は、肯定的な画像で強く出ており、予知的忌避仮説が
よく支持されたことになる。


ヒヨコと藻のPK

2007-04-20 | 論文ガイド
<PA2005(2)>

南アフリカより。
●ドナルド・ベッドフォードら5名
 「ヒヨコと藻のPK」

ヒヨコが明るいところを好むことを確認した後、ヒヨコの入った箱の
照明を物理乱数発生器によって、2分の1の確率で点滅を制御する。
仮説1:ヒヨコがPKで乱数発生器の点灯指示を増やすことができる。

同様に藻の入った箱の照明を物理乱数発生器によって、点滅を制御する。
仮説2:藻がPKで乱数発生器の点灯指示を増やすことができる。

実験の結果、仮説1も2も統計的に支持されなかった。

※ヒヨコはまだしも、藻のPKは、過去のデータからして無理があろう。
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/3-6.htm

身体化の現象学

2007-04-19 | 論文ガイド
2005年のPA(超心理学協会)の大会は、カリフォルニアの
ノエティックサイエンス(認識科学)研究所で開催された。
ここは宇宙飛行士ミッチェルが創立したニューエイジ系の研究所
であり、ラディンやシュリッツが研究員をつとめている。
http://www.noetic.org/

<PA2005(1)>

西ジョージア大学の心理学者。
●クリストファー・アーンストゥーズ
 「身体化の現象学」

メルロ=ポンティーの言葉を引きながら、身体を拡張した概念
「ロング・ボディ」について論じる。そして超心理の関係にふれる。

※うーん、よくわからん。

日本超心理学会第12回大会の報告

2007-04-18 | 超心理アーカイブ
<JSPPニュースレター20号>
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jspp2/japanese/archives/NewsLetter/NL20.pdf

1979年12月号で日本超心理学会第12回大会の報告が掲載されている。
中野サンプラザで行なわれており、いくつかの興味深い報告がされている。

たとえば、ESP実験の途中で妨害刺激を入れると、直後の試行の成績が落ち、
直前の試行の成績は上がったという。終わりに近づくと成績が向上することは
かねてより指摘されており、時間的なターゲットの焦点化がやりやすくなる
ためと考えられているので、同じ影響かもしれない。

この大会で、第2代の会長に大谷宗司先生が選任されている。現在も会長を
されているので、もう30年近く続けられていることとなる。

※ニュースレターの紹介はここでいったん区切って、明日からはPA2005年
 の発表論文の紹介をする。

スーザン・ブラックモアの活躍

2007-04-17 | 超心理アーカイブ
<JSPPニュースレター19号>
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jspp2/japanese/archives/NewsLetter/NL19.pdf

この号では、第3回のSPR(心霊研究協会)の国際会議が紹介されている。
イギリスのスーザン・ブラックモアが精力的に活躍されている様子が見てとれる。
彼女は当時は、超心理学の肯定論者としてよく知られていたが、ESP実験に
良い結果が得られず、その後、否定論者に転じるのである。

http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/1-3.htm
また、読書ガイドの37番を参照されたい。

ガードナー・マーフィーの生涯

2007-04-16 | 超心理アーカイブ
<JSPPニュースレター18号>
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jspp2/japanese/archives/NewsLetter/NL18.pdf

この報告では、ガードナー・マーフィーの訃報があり、彼の生涯が記載
されている。彼はニューヨーク市立大学で超心理学研究室をかまえ、
羊・山羊効果で有名なガートルード・シュマイドラーを育てた。

読書ガイドの59番参照。