超心理マニアのためのブログ

マット・イシカワによる超能力研究の文献ガイド

「超心理学ハンドブック」の輪読

2007-03-31 | 超心理アーカイブ
<JSPPニュースレター3号>
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jspp2/japanese/archives/NewsLetter/NL03.pdf

ESPテストと性格の関連について実験報告があるが、実験の規模やスコア
が書かれてなく、評価できない。残念である。

月例会で、前年に発刊された「超心理学ハンドブック」(英文)を輪読して
いる様子がわかる。その一端、心身問題に関する議論が報告されている。

この時点の月例会はすでに123回を数えているが、第1回は1964年に
始まっている。次のページに初期の月例会の履歴がある。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jspp2/japanese/activities/mm_history.html


落下傘降下前後でのESPテストのスコア変化

2007-03-30 | 超心理アーカイブ
<JSPPニュースレター2号>
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jspp2/japanese/archives/NewsLetter/NL02.pdf

手書きが達筆で読みにくい・・・1977年のPAのレヴューあり。

大谷先生(現学会会長)の行なった、落下傘降下前後のESPテスト。
不安傾向の低い9名のスコアが、落下傘降下前より後で低下した(5%有意)。


潜水艦の中のESPターゲット透視実験

2007-03-29 | 超心理アーカイブ
2004年の超心理学協会(PA)国際会議論文集の紹介が終りました。
2005年分に入る前に日本超心理学会の「資料館」を紹介しましょう。

<JSPPニュースレター1号>
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jspp2/japanese/archives/NewsLetter/NL01.pdf

1978年発行のもの。手書きで時代を感じさせる。

大谷先生(現学会会長)の行なった、潜水艦の中のESPターゲットを地上から
透視する実験が報告されている。防衛大学校の心理の先生だったので、
こういう実験ができたのですね。

96名が20850回行ない、うち3957回しか当たらなかった(偶然期待値
は5択なので4170回)。これはきわめて強いミッシングp=0.0002で
ある。ミッシング要因が分析されるとおもしろいところだ。


目撃記憶の改訂と超常信奉

2007-03-28 | 論文ガイド
<PA2004(47)>

イギリスのロンドン大学より。
●クリッシー・ウィルソン&クリストファー・フレンチ
 「目撃記憶の改訂と超常信奉」

目撃記憶が他者の証言によって歪曲されることが認知心理学で知られている。
超常信奉者が、他者のニセの超常現象目撃証言によって自分も見たという
記憶が作られるかもしれない。その傾向性が超常信奉者が否定者より高い
という仮説を実験で検証する企画を立てた。小規模なパイロットテストを
行ない、現段階ではまだ有意ではないが、若干その傾向が見られている。

遠く離れた被験者間の事象誘発脳波の同期効果

2007-03-27 | 論文ガイド
<PA2004(46)>

ドイツのIGPP(心理学と精神衛生との境界領域研究所)より。
●ワッカーマン&ムラーダス&ピューツ
 「遠く離れた被験者間の事象誘発脳波の同期効果」

シールドルームに分離した被験者の脳波を測定し、片方の人に
チェッカーボードの点滅を1秒間無作為に見せる。他方の人は
目を閉じてリラックスする。それぞれ人の脳波をとり、点滅を
見せた時刻と他の時刻の脳波をそれぞれ重ね合わせて分析する。
実験方法と分析方法の表明であった。

自動ガンツフェルト実験での実験者効果

2007-03-26 | 論文ガイド
<PA2004(45)>

イギリスのリバプールの大学より。
●マシュー・スミス&ルイ・サヴァ
 「自動ガンツフェルト実験での実験者効果」

16人に8試行ずつ自動ガンツフェルト実験を行なって
実験者と超心理信奉を独立変数にとって成績の分散分析
をする、という実験計画の表明である。


主観的超常体験の情報源の特定

2007-03-25 | 論文ガイド
<PA2004(44)>

ライン研究センターより。
●クリスティーン・シモンズ「主観的超常体験の情報源の特定」

遠隔視やガンツフェルト実験などで、被験者がいろいろ報告するが、
当たっているときも、当たっていないときもある。もし、報告内容
から、明らかな空想を除去できれば、信頼性は飛躍的に上がる。

たとえば、外的な知覚を通した描写と、内的な想像による描写は
質的に異なるだろう。夢の内容の描写と、覚醒時の思考も区別でき
るだろう。そのように報告をテキスト分析することで、真の超常体験
を確率高く抽出できる可能性がある。その方向で研究企画している。

感情の遠隔影響時の皮膚電気応答変化

2007-03-24 | 論文ガイド
<PA2004(43)>

エジンバラ大学より。
●ピーター・ラマカー「感情の遠隔影響時の皮膚電気応答変化」

送り手と受け手の双方の皮膚電気応答を測定しながら、送り手に
感情的な画像や、単なる風景画を見せる。画像の違いによる
受け手の応答の変化や、送り手と受け手で同期した応答の変化
など、これまでの研究(あまり安定した傾向は見られてない)と
対比して検討する方向である。まだ結果はでてない途中報告。

事象誘発脳波を使った予知的馴化実験法

2007-03-23 | 論文ガイド
<PA2004(42)>

アメリカより。
●ドン&マクドノー&ワレン
 「事象誘発脳波を使った予知的馴化実験法」

ノーマン・ドンらは誘発電位の研究者であるので、ダリル・ベムの
開発した予知的馴化とあわせた実験法を提案している。

ベムの場合、2つのターゲット画像を並べて呈示するが、それを
150msずつ2秒間の間隔をおいて、続けて呈示するようにする。
そのあいだ脳波をとって、将来の呈示画像と同じ画像と違う画像で
呈示の瞬間の誘発電位の(累積値の)差異をみる。

http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/2-5.htm

ヒーリングに伴う電磁場測定

2007-03-22 | 論文ガイド
<PA2004(41)>

アメリカ、デューク大学の工学部より。
●ウィリアム・ジョインズら5名
 「ヒーリングに伴う電磁場測定」

ヒーラーに箱のなかへエネルギーを投射してもらい、
電圧と電荷、磁場、電磁放射を測定した。
パイロットテストでひとりのヒーラーから施術時に電荷
の発生と減衰、それと同時に光の発生が見られた。
次回は本格的な対照実験を計画している。

※この論文は詳しいことが書いてない。
 活動報告にとどまっている。

エヴァ・ヘルストロームの夢とヴィジョン

2007-03-21 | 論文ガイド
<PA2004(40)>

フィールドワークで有名なあの方。
●スタンリー・クリップナー
 「エヴァ・ヘルストロームの夢とヴィジョン」

エヴァ(1898-1986)はストックホルムで活躍した能力者であり、
スウェーデンの超心理学研究学会の発足を支援した。特異的体験、
とくに予知夢や催眠状態のヴィジョンを見るので有名。超心理学者の
調査もたびたび受けている。

1970年に、クリップナーのところに、21の夢と45のヴィジョン
を書き留めたノートが送られてきた。このノートには、予知の内容と
その後の「検証」としての新聞の切り抜きなどが貼ってあった。この
ノートだけで信憑性を主張するのは難しいが、いくつかの特徴を述べる。

タロットカード占いの評価

2007-03-20 | 論文ガイド
<PA2004(39)>

イギリスのロンドン大学から。
●イタイ・イヴツァン&クリストファー・フレンチ
 「タロットカード占いの評価」

占いされる人に、本当の占いとウソの占いを見せて、どの程度当たって
いるかを、評価してもらう実験をした。もし懐疑論者が言うように、
バーナム効果で占いが当たっていると考えられるのであれば、信じて
いる人は、信じていない人よりも、本当の占いとウソの占いともに
評点が高いだろう。

占いされる人は30人、占いされる人は占い師の事前の指示どおり、
タロットカードを並べてから部屋を出て行く、実験者がとなりにウソの
カード配置を乱数で作る。占い師が入ってきて、両方をリーディング
する。その両方を占いされる人が評定する。結果は、信じる人が
確かに高い評定をしたので、バーナム効果が支持された。信じる人は
ウソの占いのほうがニセの占いよりもやや高い評価だった。信じない
人は、逆の傾向だった。

バーナム効果:
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/6-6.htm

創造性と主観的超常体験、変性意識状態との関係

2007-03-19 | 論文ガイド
<PA2004(38)>

イギリスのノーサンプトン大学から。
●ホルト&デラノイ&ロエ
 「創造性と主観的超常体験、変性意識状態との関係」

この40年間に27の創造性と超心理の関係を調べた実験がある。
それによると、芸術家は超心理スコアが高い傾向が強く出ている。
しかし、それは外向性や信念、自信や内省、実験者効果などの
他の要因も考えられる。創造性のテストによると芸術家が必ずしも
高くないこともある。

本論文では、創造性と主観的超常体験をふまえ、変性意識状態と
の関係を調査した。これはケネディ&カンタマニ&パーマー(1994)
の、芸術家の創造性は主観的超常体験に関係が深いとの知見を
さらに拡大した結果となっている。



予知的回避と予知的デジャヴ

2007-03-18 | 論文ガイド
<PA2004(37)>

アメリカのコーネル大学から。
●ダリル・ベム「予知的回避と予知的デジャヴ」

これは<PA2003(1)>の発展であり、内容の要約は次にある。
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/jspp/MM0505.htm

また予感実験の一種ととらえられる。
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/3-4.htm


超常信奉と宗教性、認知能力との関係調査

2007-03-17 | 論文ガイド
<PA2004(36)>

台湾から。
●タム&シャー「超常信奉と宗教性、認知能力との関係調査」

これまで欧米でよく行なわれてきた超常信奉と宗教性との関係調査を
台湾で行なった。加えて認知能力テストとの相関をみた。

40人の大学生について調査したところ、超常信奉調査と宗教性調査は
かさなりあう部分も多いが、異なる調査票になっていることがわかった。
宗教心のあつさと認知能力には有意な負の相関が得られた。

※これまでの調査研究から推測されることは、認知能力の低い人がそれ
 に対応して宗教を信じるようになっている一方、超能力などの超心理
 現象については認知能力とは無関係に一定の割合(ギャラップの調査
 では一般人の約6割)で容認されている。