超心理マニアのためのブログ

マット・イシカワによる超能力研究の文献ガイド

場の記憶が実験の再現性に与える影響

2007-06-30 | 論文ガイド
<PA2006(20)>

米ニューメキシコより
●ブライアン・ウィリアムズ&ウィリアム・ロル
「場の記憶が実験の再現性に与える影響」

ポルターガイスト研究で有名なロル(読書ガイド49)は、
物理的な場が記憶を担うという原理で、超心理現象を考察
している。この論文では、超心理実験が繰り返されるうちに
再現性が低下していくプロセスを、実験室の場の記憶で説明
できる可能性を議論している。

※実験を繰り返すうちに情報が混ざって識別しにくくなる
 ということか。

北米原住民のまじないパウワウ時の乱数変化

2007-06-29 | 論文ガイド
<PA2006(19)>

米ニューメキシコ大学より
●ブライアン・ウィリアムズ
「北米原住民のまじないパウワウ時の乱数変化」

第22回全米パウワウ大会で乱数変化を測定した。
2日の会期中にわたり測定したが、変化は見られなかった。

※変化がみられず、残念である。
 この論文では、蛭川&石川の「ねぶた祭り」での測定
 <PA2004(32)>が引用されている。

超能力発揮の遠隔補助

2007-06-28 | 論文ガイド
<PA2006(18)>

エジンバラ大学より。
●キャロライン・ワット&クリスティン・フレーザー&
 アレクサンドラ・ホプキンソン 「超能力発揮の遠隔補助」

かねてより、瞑想の遠隔補助の実験が行なわれてきた。この実験
では、ロウソクに意識を集中する瞑想家の意識集中を、補助者が
遠隔から補助したりしなかったりするタイミングと、瞑想家が意識
集中が続くか途切れるかのタイミングが相関すると報告されている。

今回の実験では、ESPゲームにおける超能力発揮を遠隔補助する。
72人で実験したところ、補助によるESPスコアの増加はみられ
なかった。しかし、女性は非補助時よりも補助時にスコアが高く、
男性はぎゃくに補助時よりも非補助時にスコアが高い(p=0.02)。
女性が男性よりも補助することを望むことと関係があるかもしれない。

ただ、過去の類似した3実験でこのような男女差があったかどうかを
分析したところ、安定した結果は得られなかった。

エクソシストの対象となった憑依現象の調査

2007-06-26 | 論文ガイド
<PA2006(17)>

メキシコより。
●セルジオ・アントニオ・ルエダ
 「エクソシストの対象となった憑依現象の調査」

1949年にワシントンDC近郊のマウント・レーニエで報告された
「エクソシスト」の対象となった憑依事例を詳細に記録の調査をした。
このような事例は、悪魔の仕業と誇張や歪曲されるのがつねだが、
医学的・生理学的な現象、現象の演出、ポルターガイスト現象の
可能性も含めて分析したところ、医学的・生理学的な現象であると
するのがもっとも妥当という結論になった。

夢テレパシー実験での送り手の影響(2)

2007-06-25 | 論文ガイド
<PA2006(16)>

イギリスのノーサンプトン大学より。
●クリス・ロエ&サイモン・シャーウッド&ルイ・ファレル&ルイ・サヴァ
 &イアン・バーカー 「夢テレパシー実験での送り手の影響(2)」

<PA2005(23)>の続き:
参加者は夢日記をつけて、夢のなかで自宅からターゲットを遠隔透視する。
ターゲットの部屋には送り手がいない場合といる場合があるが、参加者に
送り手がいるかいないを言っておきながら、コインを投げて「いるかいないか」
をあとで決定する場合がある。

40人に対して行なったが、送り手がいる場合が30%、いない場合が35%で
どちらも有意なスコアだった。送り手がいない場合のほうが当たりやす
かったが、その場合、ビデオを夜間長時間流し続けたためかもしれない。
また送り手がいると思っているときと、いないと思っているときの差は
みられなかった。

ガンツフェルトの受け手が乱数発生器(2)

2007-06-24 | 論文ガイド
<PA2006(15)>

イギリスのノーザンプトンの大学より。
●クリス・ロエ&ニコラ・ホルト
 「ガンツフェルトの受け手が乱数発生器(2)」

<PA2005(6)>の続き:
ガンツフェルト実験で、受け手を人間でなく、応答文のストックから
乱数によってランダムに選定する自動システムを受け手とした。
この乱数を、(A)乱数表を使う場合、(B)ソフトによる擬似乱数
の場合、(C)真正物理乱数の場合の条件設定し、また、送り手の
人間の性格を調べ、それぞれ実験した。さまざまな測定変数で分散
分析した。

全体の有意な正答率は得られなかったが、送り手の性格の安定性と
乱数発生機構の変動性が相関した。性格の安定性が高い人は、(B)
と(C)で高スコア、低い人はぎゃくに(A)で高スコアであった。
また、分散分析で、念じ方とフィードバックの間に有意な交互作用が
あった。送念に楽しく取り組む人は、即時フィードバックで高い
スコア、遅れたフィードバックで低いスコアであった。

皮膚電気伝導度に現れる遠隔的影響

2007-06-22 | 論文ガイド
<PA2006(14)>

ノエティックサイエンス研のラディンら8名の共同研究。
●「皮膚電気伝導度に現れる遠隔的影響」

2つの部屋に送り手と受け手を隔離して、ランダムに決まる
10秒間、受け手の皮膚電気伝導度に遠隔的影響を与えようと、
送り手が努力する。

36組の送り手と受け手のペアについて実験した。
(1)受け手が癌患者で、送り手は3か月間遠隔的影響の訓練を
  受けた者(12組)。
(2)受け手が癌患者で、送り手はこれから遠隔的影響の訓練を
  受ける者(10組)。
(3)双方とも通常の健常者の比較群(14組)。

実験の結果、該当の10秒間にあたる皮膚電気伝導度の上昇が
有意に見られた(z=3.9, p=0.00009)。(1)-(3)の違いは
有意にはなかったが、(3)、(2)、(1)の順に上昇のピーク
は大きくなっていった。

脳波に見られる予感効果

2007-06-21 | 論文ガイド
<PA2006(13)>

ノエティックサイエンス研のラディンと、
アムステルダム大学のローバックの共同研究。
●「脳波に見られる予感効果」

ボタンを押して4秒後に、ライトが点灯するかしないかがランダムに
決められる課題において、脳波(SCP)を測定したところ、
13名の女性では、ライト点灯の直前に、点灯しないときよりも
有意(z=2.72)に電位の上昇が見られた。7名の男性では、
ライト点灯の直前に、点灯しないときよりもやや電位の下降
(z=-1.64)が見られた。(男性の場合、点灯刺激に対していったん
電位が下降する傾向があるようだ)




間奏曲(23)正統超心理学がランディに挑戦すると

2007-06-20 | 間奏曲
昨日のつづき、

やはり「能力者」が挑戦するのは問題が大きいので、
一般人を相手にする超心理実験でランディに挑戦すると
したらどうなるかを考えてみた。

一番簡素な超心理実験は、遠隔凝視実験であり、2つの
離れた部屋に受け手と送り手をいれ、前者の部屋には
受け手の顔を写すカメラを、後者の部屋にはその映像を
映すモニタをおく。送り手はランダムな二者択一の信号の
タイミングでモニタの受け手を凝視するかしないかを繰り返す。
受け手は各タイミングで見つめられているか否かを答える。

シェルドレイクらの視線探知実験と同様な超心理が働くと
仮定すると、この修正推定真値は、偶然50%に対して
54.5%とされている(ラディンの本より)。そうすると、
5000回の実験をやると、99%以上1000分の1未満の
有意性が得られる。

この一連の実験は、1分1試行を50試行で1ラン、1日に
2ラン行なって50日かかる。受け手と送り手、受け手側の
実験者、送り手側の実験者、両者を照合する立会い人を雇って
5人で謝金・交通費1日4万円かかると試算し、総計200万円
である。あと、機材と場所代が少々、必要だ。

100万ドルを獲得できるとすれば有利な投資に思える。 だが、
おのおの実験に奇術師が立ち会わなければならないとなったら、
人件費がはねあがるだろうなあ。

テレビ番組にならないのも明らかである。

間奏曲(22)湧き上がってきた疑問

2007-06-19 | 間奏曲
昨日のつづき

奇術師ランディは、なんで偶然でも当たってしまう確率
が結構ある課題(1/388.5)で、了解したのだろうか。

ランディのオフィスの映像が流されたが、これまでの
100万ドル挑戦者は、あのファイルの山からして、
500件はくだらない。この確率では、偶然でも「能力者」
がそのうち数名出てしまう、おそまつな設定に思える。

いくつか仮説を考えてみた。

(1)ランディはそろそろ「能力者」が出てもいいと
思っている。・・・これまでの経緯から考えにくい。

(2)ランディが確率計算を間違っている。・・・
テレビ局の表示は正しいのでそれも考えにくい。

(3)ランディは20枚中10枚を当てることを挑戦条件と
した(これなら理解できる)が、あまりにも当たらなかった
ので、テレビ局が事後的に条件を5枚に引き下げて
「演出」した。

(4)ランディには当たらない確信があった。つまり
出演者はサクラで、回答はあらかじめ指示してあった。
挑戦者はアメリカ人であり、対戦をやるために、ランディ
とともに(?)わざわざ来日という点もひっかかる。

間奏曲(21)まともな番組でした

2007-06-18 | 間奏曲
前々回の間奏曲で示した番組が上映されましたが、
ほぼ前回の間奏曲で示したような合意事項のもとに
奇術師vs超能力者の構図で行なわれていました。

偶然でも当たってしまう確率が結構ある課題(1/388.5)
になっており、奇術師ランディに若干不利とも言え、
全体としてはフェアな構図でありました。

番組側もそうならそのように言えばいいのに・・・
なぜ伏せているのだろうか疑問でした。⇒(19)

結局、奇術師側が勝ちました。ランディは依然として
強力ですね。超心理学はこのようなことを説明する
理論を確立せねばならないでしょう。

実はあるのですが、言い訳にしか聞こえないでしょうか。
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/5-1.htm

ワークショップでの乱数の特異的変化

2007-06-17 | 論文ガイド
<PA2006(12)>

ノエティックサイエンス研のラディンと、
モンロー研のアットワーターの共同研究。
●「ワークショップでの乱数の特異的変化」

モンロー研では、6日間のワークショップの中で、1日12時間も
バイノラールリズムを参加者全員で共同体験するコースが行なわれる。
(ゲートウエイ・ヴォイエージのコースである)

12のワークショップの間、モンロー研に設置した2種類の乱数発生器
は、z=3.27で有意な偏りを示した。数百mから数kmはなれたところに
設置した比較対照の乱数発生器はz=-6.47で、きわめて特異的な偏りの
減少が見られた。これまでの傾向性を裏付けた結果である。

サイコマンテウム

2007-06-16 | 論文ガイド
<PA2006(11)>

アルゼンチンのブエノスアイレスより。
●パラ&ヴィラヌーヴァ 「サイコマンテウム」

レイモンド・ムーディは、鏡を見つめることで誘導されるサイコマンテウム
という心霊の発揮されやすい精神状態を提案した。

130人についてサイコマンテウムをおこなった場合と、行なわない場合で
超能力実験の結果を比較したところ、前者はp=0.02のスコアが見られた。
両者のあいだに有意な差異はみられなかった。


特異的期待効果

2007-06-15 | 論文ガイド
<PA2006(10)>

スイスのチューリッヒより。
●ジョン・パーマー 「特異的期待効果」

コンピュータの画面に上下左右の4方向の矢印が出るのを次々と
当てるタスク。指定するとすぐにフィードバックが出で、100回
が1セットになっている。被験者は、ランダムな1セットを行なった
あとに、秘密の仕掛けのある2セットを行なう。このセットでは、
前に出現した矢印の方向に対して、それぞれ右(左)90度回転が
左(右)90度回転よりも出やすくなっている。

その回転方向を察知したような応答の回数を調べて指標にしたところ、
セットの前半部では懐疑論者が高く、後半部では逆に信奉者が高かった。
この指標は、予感実験にも通じる「特異的期待効果」とみなせる。
後半部では合理的な推論でつきとめられたと考えられるので、前半部で
高い懐疑論者のほうがPSIを発揮したと考えられる。ヒツジ=ヤギ
効果とは一見反対の結果となった。

※ジョン・パーマーは、この夏カナダで開かれるPA2007の
大会長をつとめる。

間奏曲(20)超能力検証番組の作り方

2007-06-13 | 間奏曲
昨日のつづき。
批判しているばかりではなんだから、企画を考えてみた。

<奇術師Aと能力者Bとの対決番組>
判定者Cを導入し、まずBが能力発揮の実験状況をCに提案する。
CはAにその実験状況を示し、この状況で能力発揮できたら
超能力と認められるかと問う。
Aが認める場合、その実験状況でBに能力発揮してもらう。

Aが認めない場合、CはAにどのようなトリックが可能か示してもらう。
それが妥当ならば、さらにAにどのような対処をすれば、トリックが
不可能な実験状況になるか提案してもらう。

CはBに、前の実験状況ではトリックが可能であるので、新しくAが
提案した実験状況で能力発揮が可能か問う。
Bが能力発揮可能な場合、その実験状況でBに能力発揮してもらう。

Bがそれではダメだという場合、CはBに、どのような変更をすれば
能力発揮が可能かを問い、別な実験状況を提案してもらう。
(⇒最初に戻る)

AとBで実験状況の合意ができて能力発揮に至った場合、能力発揮
できたら、能力者Bの勝ち、できなかったら奇術師Aの勝ち。

AとBで実験状況の合意ができなかった場合、番組制作はできない。
(ほとんどこれに至るだろうから、やっぱりダメかな)