超心理マニアのためのブログ

マット・イシカワによる超能力研究の文献ガイド

直観的疾患診断の厳密な実験

2007-01-31 | 論文ガイド
<PA2003(25)>

ライン研究センターからの論文。
●ジョン・パーマーら7人の共著「直観的疾患診断の厳密な実験」

際立った疾患を有する8人と、超心理体験を頻繁に報告する8人を集め、
患者4人と診断者4人からなるグループ2つで、実験を行なった。

各グループでは患者4人の名前がそれぞれ入った4つの封筒を「写真に
とり」、診断者はその写真を見ながら、各患者の疾患を「透視」する。
その言語報告を記録し、のちに第3者の判定者が、その4つの言語報告と
患者の4つのカルテが(組合せは16通りある)、どれほど合致している
か点数化する。実験者がその後、各言語報告が、4つのカルテのうちで
正解のカルテに対して何位の点数をとっているか調べる。

その結果、計32個のデータに対して、偶然平均順位は2.5位のところ、
平均2.44位(8人のうち最良診断者は1.8位、最悪診断者は3.8位)
で、まったく有意でない結果だった。

各診断者に対して感受性尺度HSPをとって成績と相関を調べたが、それも
有意な関係が見られなかった。

※ちょっと実験設定が厳密すぎたのではないだろうか。


臨死体験は夢か現実か

2007-01-30 | 論文ガイド
<PA2003(24)>

臨死体験研究財団(NDERF)の調査。
●ジョディ・ロング「臨死体験は夢か現実か」

NDERFのWEBサイトでアンケートを行なった。
650人中312人に臨死体験が報告された(サンプルの偏り注意)。
そのうちの73.6%は、臨死体験は現実感が高く夢とは言えない、
と報告している。

http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/7-2.htm
また、読書ガイドの77-80番をご覧ください。

意識による状態ベクトルの収縮―量子観測理論を支持する実験

2007-01-29 | 論文ガイド
<PA2003(23)>

量子理論と超心理学の接点の論文。この説明の理解には物理学の
知識が必要です。

●ディック・ビールマン&エヴァン・ハリス・ウォーカー
 「意識による状態ベクトルの収縮―量子観測理論を支持する実験」

ウォーカーの量子観測理論(1971年)では、量子的な重合せ状態は、
観測機器と観測者の意識によってはじめて状態が確定するとされる。

1977年にその趣旨にのっとった実験がホールによって行なわれた。
それは重ね合わされた量子状態を測定する第1の測定器と、数ミリ秒
遅延したあと、またそれを測定する第2の測定器からなる実験系で、
第1の測定器の数値を人間が見たり見なかったりする場合に、それを
知らない第2の測定器を観測する人間が、第1の測定器が見られたか
見られなかったかが分かるという実験であった。それが可能な理論的
理由は、もし第1の測定器が見つめられていたら、その意識によって
状態が収縮した信号が第2測定器に至り、第1の測定器が見つめられ
ていなければ、状態が重ね合わされたままの信号が第2測定器に至る。
第2測定器を見つめる人間の意識は、すでに状態が収縮した信号か、
または状態を自らの意識で収縮させるかの違いが知覚できるはずだ。

ホールの実験がうまくいくと、テレパシーのような現象が見られるはず
だった。しかし、実験結果は否定的であった。そこで今回、実験を2点
改良した。(1)第1の測定器に対する第2の測定器の遅れを1秒に
のばした。というのは、リベットなどの最近の意識研究では、意識が
働くまでに0.5秒ほどの時間を要することが判明している。ならば、
ホールの実験では、第1の測定器を見つめていても、状態の収縮まで
時間がかかるので、第2の測定器には依然として重ね合わされた状態
ままの信号が至っている。(2)第2測定器を見る人間の脳波を記録
して、差異を検出する。というのは、第2測定器を見る人間は、信号の
違いを知覚していても、それが潜在意識レベルで働き、それを発話報告
できない可能性がある。

今回の改良実験をしたところ、10箇所のうち2箇所の脳波に5%有意、
1箇所に0.05%有意の差異が検出された。改良実験は成功し、量子
観測理論を支持するデータを提供した。



日本で報告されたポルターガイスト事例の電磁気学的調査

2007-01-28 | 論文ガイド
<PA2003(22)>

日本の超心理学者の論文。

●小久保秀之&山本幹男
 「日本で報告されたポルターガイスト事例の電磁気学的調査」

2000年に岐阜県富加町でのポルターガイスト事例について
電磁気学的特徴を現地調査した。特異的な測定数値は得られな
かったが、奇妙な現象が見られた。

※うーん、あとはご本人にコメントいただきたいところ。

スペイン語圏における超心理体験と明晰夢の関係調査

2007-01-27 | 論文ガイド
<PA2003(21)>

ニューヨークの超心理学財団からの論文。

●カルロス・アルヴァラード&ナンシー・ジングローン
 「スペイン語圏における超心理体験と明晰夢の関係調査」

これまでの研究では、超心理体験を報告する人は、さまざまな
種類の体験を報告しやすい、また夢を報告する頻度や明晰夢
の頻度も多い、という関係が報告されてきた。本研究は、その
傾向性をスペイン語圏で、追調査しようとするものである。

スペイン語の超常現象雑誌の読者492人(その9割以上は
スペイン人)に調査したところ、夢を報告する頻度は、憑依と
体脱体験以外のすべての超心理体験と有意な相関があった。
明晰夢の頻度は、覚醒時ESPとオーラ視以外のすべての
超心理体験と有意な相関があった。(すべてボンフェローニの
補正で0.1%を有意水準にとっている)

本研究は、これまでの研究を大枠うらづけた。超心理体験は、
体験者の空想傾向、熱中度、解離度、催眠感受性、超境界性*
と関連している。つまり概して、心理学的体験が多い人は
超心理学的体験も多いのである。

(*)トランス・リミナリティ:超心理学者のマイケル・タルボーン
が提唱した概念で、意識と無意識の間の移りやすさを表わす。
神秘体験や創造性、超常信奉と関連がある。

いわゆる交霊会における霊媒と会席者間の会話分析

2007-01-26 | 論文ガイド
<PA2003(20)>

ふたたび英国ヨーク大学の社会学者の質的分析法の論文。

●ロビン・ウォーフィット「いわゆる交霊会における
 霊媒と会席者間の会話分析」

前項につづき会話分析の意義を例示している。

占いと同じで、超常的なお告げは、霊媒の言語を通して行なわれる
ので、その内容の分析が重要。会席者から何らかの情報を引き出し
ている可能性(コールド・リーディング)もチェックする必要がある。

なかには、会席者が手がかりを与えてしまっていることが判明する
事例もある。

ガンツフェルト実験における実験者・被験者間の会話分析

2007-01-25 | 論文ガイド
<PA2003(19)>

英国ヨーク大学の社会学者の質的分析法の論文。
●ロビン・ウォーフィット「ガンツフェルト実験における
 実験者・被験者間の会話分析」

ガンツフェルト実験で、被験者が自由に心に浮かぶイメージを
語るときに、聞き手になっている実験者との会話を分析する
手法を議論している。

ガンツフェルトでは、被験者が来所するときから帰るときまでの
会話全体が重要な研究対象になる。単なる会話記録では、ターン
テイキングのプロセスなど、非言語的なやりとりが失われてしまう
ので、それらを含めた記述法を使うことを提案する。

エジンバラ大学での実験を分析したところ、実験者が「you said」
と言いながら、被験者の発言内容を確認するプロセスが、さらなる
イメージの詳細報告を引き出している傾向が見られた。

心身二元論と、超物理現象の量子観測理論

2007-01-24 | 論文ガイド
<PA2003(18)>

理論物理学者の論文、この人は2001年にPA学会賞を獲得している。
●エヴァン・ハリス・ウォーカー「心身二元論と、超物理現象の量子観測理論」

心身二元論が哲学のなかで異端視される理由を整理し、それでもなお、量子論と
相対論と標準モデルからなる現代物理学の基盤から、心身二元論が必要であり、
二元論が科学的事実でもあることが証明できることを示す。

次のステップである:
1)意識は実在する何かである
2)物理学は物理性を構成するものを定義できる
3)測定が鍵であり、もし何かが物理的に測定不可能であれば、それは物理的
 実在ではない。
4)意識は測定不可能である
5)それゆえ、意識は実在するのに、物理的実在ではない

また、ホイト・エッジやブロードの議論の問題点を指摘している。

テレパシーがなければ、なぜ思考は自分のものとわかるのか

2007-01-23 | 論文ガイド
<PA2003(17)>

もうひとつ英国のエジンバラ大学から。
●フィオナ・スタインカンプ
 「テレパシーがなければ、なぜ思考は自分のものとわかるのか」

フィオナは哲学者らしい。

人々の思考はコミュニケーションを通して形成されるので、誰かの思考は
必ずしもその人独自のものではない。にもかかわらず、我々は独自性を、
その思考が「自分のものである」と認識するのは不思議である。

テレパシーは、複数人にわたる共有思考のはずだが、複数人に統合化
された視点をもたない。つまり、思考が最初は状況から分離して現れ、
のちにその状況は別な人の視点であると認識し、その状況を共有する。
これは通常のコミュニケーションが、共有した状況から出発して、話者が
それぞれ独自の視点の思考を形成するのと、ちょうど逆であるように思う。

思考の私秘性は当然のようにとらえられているが、この情報の障壁こそ
が問われるべき問題である。そもそも思考とは局在化しているものでは
なく、網の目のように分布しているものではないか。テレパシーと通常の
コミュニケーションは密接に関連しており、通常のコミュニケーションの
成立にテレパシーの要素がかかわっているのではないか。

※重要な指摘を含んでいるように思う。

予知は未来を見ているのか

2007-01-22 | 論文ガイド
<PA2003(16)>

ふたたび英国のエジンバラ大学から。
●フィオナ・スタインカンプ「予知は未来を見ているのか」

4つの絵葉書大のターゲット候補から1つを当てる超心理実験で、
ターゲットの決定は、将来の市場平均株価の数値から乱数表を
参照して決める「予知」の実験設定で行なった。

実験室での実験に加え、郵送やインターネットを介した実験も
行なったが、634試行で偶然平均(それもやや否定的)の水準
にとどまる結果であった。

ガンツフェルト実験における送り手の役割

2007-01-21 | 論文ガイド
<PA2003(15)>

もうひとつ英国のノーザンプトン大学から。
●ロエ&シャーウッド&ホルト「ガンツフェルト実験における送り手の役割」

コンピュータによってターゲットが自動表示されるガンツフェルト実験において、
送り手が必要か否かを調べる。実験は受け手と送り手がペアになって
始められるが、コンピュータが「送り手なしモード」を選択すると、送り手は
ドッグレースの実験参加など、他の仕事を与えられる。この場合、受け手は
送り手がいると期待して、透視の実験を行なうことになる。

どの組合せでも有意な結果は得られなかった。・・・

※どうも仮説と実験デザインが一致しないような実験に思われる。

ESPとPKは統一した現象か――実験から探る

2007-01-20 | 論文ガイド
<PA2003(14)>

英国のエジンバラ大学およびノーザンプトン大学から。
●ロエ&ダーヴィ&スティーヴンス
 「ESPとPKは統一した現象か――実験から探る」

40人の被験者に対し、コンピュータ上のドッグレースゲームに、
いくつかの条件で参加してもらう。

1グループには、「これは透視の実験で、すでにコンピュータ内で
終っているレースの結果を当てる課題だ」と教示する。犬の番号を
予想したら、画面には、すでに決まっているレースがリプレイされる。
ところが、ランダムに偽のレースがあり、それは終っているレース
でなく、新しいレースであり、被験者が指定した犬の番号が、あら
かじめ決まっている番号の犬と交換され、リアルタイム表示される。
これは透視に見せかけた念力実験である。

もう1グループには、「これは念力の実験で、これから始めるレース
の特定の犬が一着になるよう念じてもらう課題だ」と教示する。一着に
するよう努力する犬の番号は、被験者がスペースキーを押すと自動
的に乱数で決められて画面に出る。ところが、ランダムに偽のレース
があり、それは実は終っているレースである。つまり、被験者がスペース
バーを押すときに出る数字が1着の犬であればよいので、透視に見せ
かけた念力の実験である。

また被験者の半分には、コンピュータがときには偽のレースを行なうと
教えてあり、残り半分には、それを教えないで、実行した。教えた群の
成績は、教えなかった郡の成績より有意に低かった(p=0.01)。

その後、科学探究誌(Journal of Scientific Exploration)の2006年
夏号に、本論文の改訂版が掲載されている。

霊媒や霊感の強い人の解離性と精神衛生

2007-01-19 | 論文ガイド
<PA2003(13)>

●ラス・ラインセル「霊媒や霊感の強い人の解離性と精神衛生」

霊媒は解離性人格障害などの精神疾患と関係があると精神科では
考えられるが、証拠は十分にない。そこで、18人の自称霊媒と
14人の霊感の強い人と、11人の対照者を調査した。

この3群で精神衛生上の差異は得られなかったが、霊媒と霊感の
強い人は、対照群より離人的傾向と熱中傾向が有意に高かった。
霊媒は対照群よりも、パシンガーの複合的部分てんかん徴候が
有意に高かった。

※使われた尺度/テストは以下の4つ
MHI-17: Mental Health Inventory
DSS: Depersonalization Severity Scale
SDQ-20: Somatoform Dissociation Questionnaire
Triangle Personality Inventory
↑これはパーマーが次の2つから項目を選抜して作成したものである。
・Tellegen's Absorption Scale
・Persinger's CPES scale

隔離された被験者間の脳波の同調

2007-01-18 | 論文ガイド
<PA2003(12)>

またもうひとつラディンの論文。
●ラディン「隔離された被験者間の脳波の同調」

シールドルームにそれぞれ隔離した送り手と受け手の脳波を個別
に記録する。受け手の表情をカメラで撮影し、送り手の部屋に送り、
画面に表示する。この表示は、コンピュータによってランダムな
タイミングでON/OFFされる。送り手は、その画面を見ながら
所定時間をすごし、受けては目をつぶって安静状態ですごす。

ON/OFFのタイミングの送り手の脳波の変化と、同様な脳波の
変化が同時期(50ms内)に受け手の脳波に見えるかを調べたところ、
13組の被験者で、622データp=0.0005でたいへん有意であった。



培養細胞へのヒーリングと乱数測定

2007-01-17 | 論文ガイド
<PA2003(11)>

もうひとつラディンの論文。
●ラディン&タフト&ヨーント「培養細胞へのヒーリングと乱数測定」

ヒト脳培養細胞へのヒーリング効果を三重盲検法で行なった。またその間
乱数発生器を走らせ、乱数の偏りが起きないか調べた。

実験はシールドルームで行なわれ、実験群の培養液に浄霊家4名が施術し、
対照群の培養液と比較する。乱数発生器は、その部屋のなかに2台、外に
1台設置した。それぞれはメーカの異なる製品である。

乱数発生器はどれも実験期間中に大きな偏りをみせ、合計でZ=5付近に
至る極めて有意な偏りを示した(p=0.0003)。また有意な培養細胞増加
が見られた(p=0.02)。

以上の実験はラディンが出張中に、マニュアルに沿って行なわれ、どの培養
液が実験群でどれが対照群か、どの実験者もわからない状態でデータが
記録されている。