超心理マニアのためのブログ

マット・イシカワによる超能力研究の文献ガイド

図と地

2011-04-27 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(10-2)
・図と地

感覚器官への豊富な刺激からパターンを知覚する過程
には、図と地の対比・同化の作用があることが知られる。

超心理現象には、心理現象と同様な図と地の関係は
見られないが、空間的な転移や時間的な転移が知られる。
つまり、多くの超心理的感知情報から、何を知覚するか
という選択の過程があるらしいことがわかる。

次に詳しい:
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/4-6.htm


感覚刺激による違い

2011-04-26 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(10-1)
・感覚刺激による違い

プラットら(1939)は、ESPカードの記号の大きさを
大中小と変化させて実験したが、差はなかった。しかし、
大きさを変えた一連の試行の始め部分のスコアは
高かった。これも知覚の要素でなはなく、新奇性という
関心動機の要素に左右されていると言える。

ウッドラフ(1960)は、記号の色を赤と黒の2色で実験
したが、差はなかった。カー(1983)は、色盲者が識別
しやすいパターンと、健常者が識別しやすいパターンを
比べて実験したが、差はなかった。

ショーヴァン(1961)は、4人の子どもたちに、通常の
ESPカードと、マイクロフィルム(顕微鏡で見ないと
記号が見えない)のESPターゲットで比較した。その
結果、マイクロフィルムのほうで有意にミッシングが
おきた。私(シュマイドラー)の考えでは、ヤギと同様
マイクロフィルムでは当たらないはずだという先入観が
この結果を招いたのだと思う。

能力者による実験でも、感覚刺激による違いがない
ことが示される傾向にある。


知覚との関係

2011-04-25 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(10-0)
・知覚との関係

ESPは、感覚外知覚の省略であり、「感覚器官を通さない
超常的な知覚」を意味する。この知覚について、心理学で
知られていることは、そう多くない。知覚とは、脳に集まって
くる大量の感覚情報が、どのように取捨選択され、知覚
される内容になるかという過程をあつかう。つまり、意識と
無意識の研究と深くかかわる。

超心理学でも、知覚に関する実験は多くなく、かぎられた
実験でも、知覚との関連性はほとんど見出されていない。

たとえば、ミッチェルら(1982)の実験では、言葉で言い
当てる言語ターゲットと、正解の箱にボールを入れる運動
ターゲットで、ESPスコアを比較した。作家やダンサーなど、
言語を職業にする人や、運動を職業にする人を集め、
言語能力と運動能力を測定して、どちらの実験で高得点を
得るかを調べた。その結果、ターゲットのタイプによる差は
検出されず、得意な能力による差も検出されなかった。
しかし、唯一、どちらのタイプの実験が好きかによっては、
好きなほうの実験で高得点が得られる傾向があった。
つまり、知覚ではなく、関心動機によって違いが出たという
ことになる。

超心理学における知覚研究は実りがすくないようなのだが、
本章では、4つのトピックに分けて解説する。


遠隔視状態での超心理現象

2011-04-13 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(9-6)
・遠隔視状態での超心理現象

ターグら(1977)が、遠隔地にいる標的者の周辺を透視
し、その状況を描写する手法を開発した。透視する人に
介助者がつき、透視イメージを聞き出すのが特徴である。
その描写から、第3者が、ターゲットとなった地点を
判定する。

以上が標準的手法だが、多くの変形実験が行なわれた。
特定の実験者が特定の被験者で大量の実験を行なうこと
もあった。描写の判定が主観的である問題があったので、
ネルソンら(1986)は、透視の結果から風景の要素を
「山があるか」「水があるか」などの30のチェックリスト
で、客観的に判定する方法を確立し、334試行を行なって
高い有意性をあげた。

シュリッツら(1984)のまとめでは、28の追試のうち
半数が有意になっており、遠隔視は超心理現象を高く
誘導するとみられる。

遠隔視は変性意識状態とは考えられていない。しかし、
あえて本章に入れたのは、遠隔視が、リラックスするとか、
強い暗示があるとか、他の変性意識状態とされる状態に
近いからである。そもそも目的は変性意識状態を研究する
ことではなく、超心理現象が起きやすい状態を探ること
にあるのだ。


夢見状態での超心理現象

2011-04-12 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(9-5)
・夢見状態での超心理現象

夢で超常的現象が起きると古くから信じられている。
夢日記をつけて、正夢をさがすのは、よく行なわれる。

ルイザ・ライン(1981)は、夢にあらわれた自発的
超心理現象と見られる事例を集めた。

ウルマンら(1973)は、夢テレパシー実験を行なった。
実験室で眠って夢を見ている被験者に、画像を念じて、
起こして今見た夢を報告してもらう。夢の内容に画像
の要素が現れているかを、判定者が評価した。彼らは
総計で非常に高い効果をあげたが、他研究室の3つの
追試は、効果が出なかった。実験室で行なうのでなく、
見た夢を手紙で送ってもらう簡易実験は失敗だった。

夢は予知によいなどと思われているが、実際のところ、
夢見状態の超心理現象を支持する実験データは、
あまり集まっていない。


瞑想状態での超心理現象

2011-04-11 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(9-4)
・瞑想状態での超心理現象

瞑想状態は宗教によってさまざまに定められているが、
一般的に身体をリラックスさせ、何かに意識を集中する。
明晰な心理になり、安寧感や恍惚感があるとされる。
そうした状態では、ESPが高まるという教義も多いが
瞑想の目的ではない。

瞑想状態のESP実験も方法上の難しさがある。被験者が
比較対照条件で、瞑想状態になってしまう可能性がある。
被験者が宗教的な理由で、実験を好まないこともある。

だから、瞑想状態が超心理現象を起こしやすいかどうか
はっきりさせるのは難しい。が、1971から1986年までで
15の実験報告があり、そのうち7つで有意な結果が
出ており、かなり見込みがあると考えられている。今後
の研究では、被験者の性格や態度、瞑想訓練法などの
要因を弁別していかねばならない。


ガンツフェルト状態での超心理現象

2011-04-07 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(9-3)
・ガンツフェルト状態での超心理現象

ホノートンら(1974)が、ガンツフェルト状態での超心理実験
方法を開発して以来、ガンツフェルトの超心理得点への寄与
は大きいとされている。ガンツフェルトは、心理学的な感覚
剥奪状態に似ているが、まったく同じではない。どうやら、
軽度なまどろみ状態を誘導しているようだ。そして、それは
たしかに、ひとつの変性意識状態である。

ホノートンらの努力によって、ガンツフェルトの効果は十分
主張された。しかし、そのデータは、超心理仮説を支持する
ものの、証明するには至っていない。ガンツフェルト法は、
すべての人に対して、超心理現象を引き出すものではない
のが難点だ。今後は、さらにガンツフェルト法の技術を向上
させる余地があるだろう。


催眠状態での超心理現象

2011-04-06 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(9-2)
・催眠状態での超心理現象

催眠状態では、痛みの耐性があがるなどの暗示効果が
知られている。暗示は再見状態にある人の、潜在的な
願望や価値観を顕在化させる働きがあるようだ。

ただ、こうした心理的探究は、催眠状態を調べている
のか、それとも、単純に被験者が「催眠術師の言う
ことを聞いている」だけか、判別が難しい。

超心理実験では、シェクター(1984)がまとめたところ
では、20の実験のうち16で催眠状態のほうが得点が
高く、うち7つで有意に高かった。

しかし、このうち15実験では、同一被験者が、催眠状態
と通常状態を、両方実験しているので、催眠状態では
「実験者の言うことを聞いて」能力を発揮し、通常状態
では、能力を発揮しないとしているだけかもしれない。

またすべての実験で実験者がブラインドされていない。
つまり、実験者効果が懸念される。

総じて催眠状態の超心理研究は、心理研究と同様に
暗示効果が見られている。だが、それが真に催眠状態が
超心理現象に高い影響を与えている、と究明するには、
さらに、催眠状態の深さとの相関をとるなど、実験を
かさねねばならない。


トランス状態での超心理現象

2011-04-05 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(9-1)
・トランス状態での超心理現象

トランス状態での現象は、霊媒とされる人々が、その特有の
心理状態になり、さまざまな現象を示している。古いものでは
ライン(1934)が整理して報告している。

パイパー夫人やレオナード夫人などの精神霊媒は、交霊会で
トランス状態になり、会席者の死んだ親戚について、会席者も
知らない事実を語った。

民族儀式でシャーマンが、トランス状態になって探し物を探し
出したり、治療をしたりする例が、報告されている。

能力者として知られるギャレット夫人が語ってくれたことでは、
トランス状態にあると能力が高まるが、慣れてくると必ずしも
その状態になる必要がなく、注意をそらすだけでよいそうだ。

トランス状態は、ある種、身体活動を鎮静化したり、集中力
を高めたりするので、それが超心理現象の発現につながって
いるのだろうか。


変性意識状態との関係

2011-04-04 | 超心理学と心理学
超心理学と心理学(9-0)
・変性意識状態との関係

変性意識状態にあるときに超心理実験を行なうと
一般にスコアが高いとみなされている。

本章では、トランス状態、催眠状態、ガンツフェルト
状態、瞑想状態、夢見状態、遠隔視状態などに
ついて、それぞれ解説する。

ただし、変性意識状態とは何かは、十分に明らか
でないことに、注意が必要である。そもそも、変性
してない通常意識が明瞭ではない。変性意識状態と
される諸状態は、それぞれ完全に別の状態なのか、
それらに「変性」と呼ぶにふさわしい共通部分が
あるのかも、よくわかっていない。