goo blog サービス終了のお知らせ 

超心理マニアのためのブログ

マット・イシカワによる超能力研究の文献ガイド

人工直観装置のその後

2010-06-27 | 論文ガイド
<PA2009(13)>

カナダの独立研究者
●マーク・ジルバーマン
 「人工直観装置のその後」

3つ数字を当てるロトを3時間前に人工直観装置で予想し、
損得を計算し続けているが、2009年3月時点で1440ドルの
利益が出ている。偶然期待値は336ドルの損失であり、
p=0.036となる。

※1年前よりも低下した模様。
<PA2008(19)>

http://www.intuitiontest.com/


写真媒体による特異画像の評価

2010-06-26 | 論文ガイド
<PA2009(12)>

米とスウェーデンより
●ヴェントゥーラ&テルフネ
 「写真媒体による特異画像の評価」

白黒写真、カラー写真、赤外線写真、ポラロイド写真、電子写真
のそれぞれについて、特異画像が撮れるとされる場所で撮影した
実験画像と、そうでない場所で撮影した対照画像で特異性を比較
評価した。

その結果、実験画像は対照画像より特異性が高かった。撮影者に
よる違いはなかった。特異画像のうち、黒点は赤外線写真と電子
写真に多く、光跡は白黒写真とポラロイド写真に多く、影はカラー
写真に多く、霧状のもやは赤外線写真に多かった。

幽霊屋敷の調査の際に参考になるだろう。


連想遠隔視実験の提案

2010-06-24 | 論文ガイド
<PA2009(11)>

米国テキサス大学
●ポール・スミス
 「連想遠隔視実験の提案」

手軽な実験で確実な成果をあげ、懐疑論者を説得できる連想遠隔視
を提案する。特徴のある1対のターゲット(物体や場所や写真、将来の
イベントなど)を用意し、遠隔視のやり方で応答を記録し、ジャッジが
どちらかを決定し、成否を判断する。

偶然50%のところ、52%から80%の正答率をあげられ、試行実験
では、最初に偶然比5000、次に偶然比90000をあげた。

※SAICの改良遠隔視実験のターゲット数を2つに減らしただけのように
 思え、とくに新味は感じられない。
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/3-3.htm


薬効のキネシオ(Oリング)による診断の妥当性

2010-06-20 | 論文ガイド
<PA2009(10)>

米国より
●スティーヴン・シュバルツ&アッツ&スポティスウッド
 &シェイド&トゥリー&モリス&ナックマン
 「薬効のキネシオによる診断の妥当性」

キネシオ(日本ではOリングとして知られる)は、薬を握ったときに
その薬の効果が筋肉の弱まりによって判別できる技術で、統合医療
のコミュニティではよく行なわれている。

51名の被験者がそれぞれ3つの試行を行なった。初めの試行では
キネシオ師に筋肉の弱まり具合を調べてもらい、次の試行では別の
キネシオ師に調べてもらい、最後は被験者が自分で器具をどれだけ
開けられるかで自己判断した。

各試行では、不透明の袋に水入り瓶が入ったもののうちひとつを握る
が、その水に毒物が加わっている瓶が半数ある。どの瓶に毒物がある
のかは、被験者もキネシオ師も、実験者もわからない状態で実験する。

分析結果では、どのキネシオ師判断も自己判断も期待値にとどまった。
唯一女性(2人)のキネシオ師が、被験者が女性より男性のときに
高ヒットをあげた。

キネシオは、診断に有用なレベルの効果をあげていないと言える。


宇宙線パターンに現れるヒーリング効果

2010-06-19 | 論文ガイド
<PA2009(9)>

米国アリゾナ大学
●ゲイリー・シュバルツ&ボキュッツィ
 「宇宙線パターンに現れるヒーリング効果」

CCDカメラをマイナス77に冷却して暗闇で測定すると、宇宙ガンマ線
のバーストが見られる。通常の撮影ではこれはノイズとして消去する
ような処理がなされている。この現象を積極的に利用して、ヒーリング
パワーを検知することに成功した。

信号をFFT(フーリエ変換)したスペクトルで、ヒーリング施術群では
高周波信号が、対照群に比べて有意に高く現れた。


量子波束収縮への意識寄与実験

2010-06-17 | 論文ガイド
<PA2009(8)>

米国カリフォルニアより
●ラディン&ウエンドランド&リッケンバック
 「量子波束収縮への意識寄与実験」

量子物理学で有名な光子の2重スリット実験を行ない、
干渉によって発生する縞模様の程度を高感度カメラで
測定する。「観測」が起きると縞模様が消滅することが
知られているのであるが、もし「意識」が観測に必要で
あるとすれば、人間がこの実験を見つめているかいない
かで、縞模様の濃さに差が出るはずである。

第1実験:12人の被験者が、40回の実験を行なった。
各回では、15秒実験系を見つめ、15秒見つめなかった。
両者で縞模様の差異は統計的にp=0.005で有意であった。
また被験者なしで同数回の実験を行なったが、予想通り
差異はp=0.734で有意でなかった。

第2実験:5人の被験者が、20回の実験を行なった。
各回では、目を閉じた状態で30秒実験系の音を聞かせ、
30秒は何も聞かせなかった。両者で縞模様の差異は
p=0.017で有意であった。

両実験を通じて60回のうち、43回は「意識的観測」を
したほうが縞模様が小さかったので、上の差異は安定して
見られたと考えられる。また瞑想経験がある被験者6名の
実験11回に限っていえば、うち10回に予想した差異が
見られた。

http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/5-6.htm


現象学的特異心理学のための主観記述法

2010-06-16 | 論文ガイド
<PA2009(7)>

米国シアトルの神経精神科医
●ヴァーノン・ネッペ
 「現象学的特異心理学のための主観記述法」

特異的体験や主観的体験を記述する方法を提案する。
SEATTLE A to Z と呼ぶ26項目の評価軸からなる。
10軸は、報告人物の特徴記述。
7軸は、生物心理社会的特徴記述。
9軸は、専門家による現象解釈。

超心理実験はよく再現性が無いと言われるが、現象学
的状況が再現されてないからだと推測できる。本記述
方法を使うことで、現象学的に再現されているかどうか
が確認でき、再現性が向上するにちがいない。

http://www.pni.org/research/anomalous/


還元主義的な神経科学解釈の危険性

2010-06-15 | 論文ガイド
<PA2009(6)>

米国シアトルより
●ヴァーノン・ネッペ
 「還元主義的な神経科学解釈の危険性」

脳研究技術の発展により、脳機能を測定した超心理実験の報告が
たびたび見られるようになってきた。しかし、脳の特定部位が超心理
現象を引き起こすというような、還元主義的な説明が行なわれるので
あれば、超心理学研究の方向を誤らせるであろう。

特異的体験や主観的体験は、脳の機能部位の特定との間には説明
上の大きな溝がある。それは哲学的な議論となっているので、慎重に
扱う必要がある。そもそも体験が脳に閉じているのは奇妙である。

脳科学の知見を取り入れながらも、現象学的方法をとる研究路線に
見込みがある。

http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/6-3.htm


遠隔視線探知と予感実験における無意識的応答

2010-06-12 | 論文ガイド
<PA2009(5)>

米国ノースウエスタン大学心理学部
●モスブリッジ&グラボウェッキー&スズキ
 「遠隔視線探知と予感実験における無意識的応答」

20名の学部生に次の3つの実験を行ない、その間の心拍と
皮膚電気伝導を測定した。

1)カメラを介して20秒間の前半10秒かまたは後半10秒
 のどちらかで誰かが見つめているので、見つめられている
 のは前半か後半かを当てる。正解のフィードバックあり。
2)上の対照実験:上とまったく同じことを要求するのだが、
 じつは前半も後半も誰も見つめていない。「正解」のフィード
 バックはあるのだが、架空のものである。
3)4つの図柄のうち、将来ターゲットになる図柄を当てる
 予感実験。正解のフィードバックあり。

結果:(意識的過程である)回答は偶然期待値にとどまった。
(無意識過程である)前半の10秒の心拍間隔が、見つめられて
いるときが見つめられてないときに比べて有意に長く、後半の
10秒の心拍間隔は、見つめられているときが見つめられてない
ときに比べて有意に短かった。対照実験ではこの差は無かった。
予感実験でも、ターゲットが決まる前に正答と誤答時の、心拍の
部分的差異が見られたが、1回前の回答の影響が及んでいるの
かもしれない。


関節炎患者への遠隔ヒーリング実験

2010-06-11 | 論文ガイド
<PA2009(4)>

英国エジンバラ大学超心理学研究室
●イースター&ワット
 「関節炎患者への遠隔ヒーリング実験」

関節炎患者60名に6名のヒーラー(4名は全米スピリチュアル
・ヒーラー会員で、2名は認証レイキ・マスター)が一定期間
週1回以上の遠隔ヒーリングを行なった。半数の患者は、いつ
ヒーリングがなされているか知らされていた。

患者は全般健康度(GHQ)、痛み、超常信奉、性格検査などに
ついて回答し、ヒーリングの効果があったかどうかを調べた。

分析の結果、ヒーリングの前後で向上効果は見られなかった。
ヒーリングを知らされている患者群は健康度が向上している
傾向が見られたが、このデータ量からは統計的に有意な水準
には至っていなかった。


超心理の先行判断理論の展開

2010-06-10 | 論文ガイド
<PA2009(3)>

ライン研究センター
●ジム・カーペンター
 「超心理の先行判断理論の展開」

2004年の超心理学論文誌JPに「Psi as First Sight」の理論を
発表して以来、理論の洗練化を行なっているが、これもその一環。

超心理は、生体が備えている無意識的な過程であり、生体は生き
抜くうえで、日常的にこの過程を利用している。超心理は世界全般
を非局所的に評価する先行判断過程であり、意識や目標指向的
体験を生成する。この無意識の過程には以下の特徴がある。

現象的特徴:生化学よりも人格的意味の観点で理解できる。
人格的特徴:意識過程より人格や意志が希薄であるわけではない。
遍在的特徴:感覚情報に先行して能動的に世界の普遍的評価をする。
統合的特徴:超心理情報も心理情報も一緒に統合処理される。
予期的特徴:体験の内容と環境に応じた行動を最適に発見する。
総和的特徴:多くの意味を全体論的に重ね合わせる。
双極的特徴:上の総和では意味の親和/相反性によって加減される。
志向的特徴:特定の潜在的意味を抽出する。
反転的特徴:上の志向姿勢は対象によって一貫性を失うことがある。
終末的特徴:理由もなく一貫性を失うことがある。
遺漏的特徴:この無意識であるはずのものが期待的連想に現れる。
境界的特徴:意識的興味によってこの超心理情報が利用できる。


実験室のESP効果の実践的応用

2010-06-09 | 論文ガイド
<PA2009(2)>

ライン研究センター
●ジム・カーペンター
 「実験室のESP効果の実践的応用」

ESP実験の結果から間接的に経済指標の変動を予知する
実験を試験的に行なった。

被験者にあらかじめ気分と超常信奉を聞いたうえで、透視
実験を行なってもらう。一連のESPターゲットは、過去の経済
指標変動に対応させたものであるが、最後のひとつは将来の
指標変動に対応させたものであり、ターゲットはまだ確定して
おらずこの部分は予知になる。透視のコールと、気分と超常信奉
の回答結果を独立変数として、過去の指標変動を従属変数として
重回帰分析を行ない回帰式を作成する。その回帰式に予知の
コールをあてはめて将来の変動を予測する。この手順を同一
ターゲットで、多くの被験者に対して行ない、将来変動の予測を
平均(多数決投票)し、最終予測とする。

実験を2回行なったところ、最初は12の指標変動のうち11の
予測が合致し、きわめて有意な予測となった。次は12中7つが
合致し平均以上であるが、有意ではなかった。

※気分がのらない時や、超常現象を疑う人は、反対の予測をする
 ミッシング傾向が知られているので、その要素を分析で引き出して
 予測に使う、たくみな方法である。

ジム・カーペンター
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/6-2.htm

無意識の選好形成におけるESPの寄与実験

2010-06-06 | 論文ガイド
<PA2009(1)>

米英合同
●カーペンター&シモンズムーア&ムーア
 「無意識の選好形成におけるESPの寄与実験」

認知心理学では、単に刺激を繰返し呈示するだけで、その刺激
の選好度合いが向上すること(単純呈示効果)が知られる。

本実験では、被験者にターゲット画像をサブリミナルで単純
呈示した場合、透視状態で単純呈示した場合(画像をブロック
に貼って紙で覆って机に置いておく)のターゲット画像の選好
度合いの向上を、次の2条件で測定した。

(A群)暖かく開放的な雰囲気の条件
(B群)孤独で警戒的な雰囲気の条件

結果:残念ながらサブリミナル呈示も、ESP呈示も、選好度合い
は偶然平均よりも顕著に高くはなかった。しかし、予測したように、
A群はB群よりも選好度合いが(とくにESP呈示で)高かった。


間奏曲(58)用語解説終了

2010-06-05 | 間奏曲
ようやく2年ごしの用語解説が終了しました。

明日からは2009年度の超心理学協会(PA)大会の
講演要旨を紹介します。8月にアメリカのシアトルで
開催されました。出典は超心理学論文誌(JP)Vol.73
(2009)です。

本年度のPA大会は7月にパリで開催されます。


Zetetic ゼテティック

2010-06-04 | 用語解説Q-Z
<ソルボーンの用語解説(Z-2)>

Zetetic ゼテティック
マルセロ・トルッツィが、正当な懐疑に対してあてた用語で、
「究明」を意味するギリシャ語で、古代ギリシアの哲学者
ピュロンにちなんでいる。何事も証拠が十分でない場合には
あたまから否定するのではなく、判断を留保すべきである
とした精神を表現している。

※かつてトルッツィが編集した雑誌の名前でもある。
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/1-4.htm