超心理マニアのためのブログ

マット・イシカワによる超能力研究の文献ガイド

間奏曲(36)無意識と無形物質の両義性

2008-01-31 | 間奏曲
メイヤー『心の科学~戻ってきたハープ』(講談社)の続きの続き

9章:祈りとヒーリング
不妊治療を受けた女性の妊娠率が受けなかった女性の約2倍。
祈りは遠隔で行なわれるので、プラセーボ効果が防止されている。

10章:夢およびガンツフェルト実験
ホノートンらの一連の実験と懐疑論争。無意識過程の意識化。
うまくいくときの「引き込み」のフィーリングを議論している。

11章:予感実験
ラディンやベムの一連の実験。無意識に現れる超心理。

12章:乱数実験と量子モデル
プリンストンのプロジェクトを中心に紹介。
無意識と無形物質を特異現象が結びつけるという図解あり。


間奏曲(35)証拠を否定する米国政府の公式報告

2008-01-30 | 間奏曲
メイヤー『心の科学~戻ってきたハープ』(講談社)の続き

5章:
能力が発揮される心理状態を、一心不乱、ありのままを見る、
リアリティと一体化、と要約している。

6-7章:
超心理学の研究データが「科学者」によって不当に抹殺され
ている現状を述べている。とくに163ページ記載の米国政府
NRCのイカサマ報告書の実態暴露は圧巻。
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/1-4.htm

8章:
通常の科学を認識する眼と、超心理現象を認識する眼が別々
に(われわれのうちに)存在しているのでは、と指摘する。



間奏曲(34)ダウジングで盗まれたハープが見つかった!?

2008-01-29 | 間奏曲
先週出版されたメイヤー『心の科学~戻ってきたハープ』(講談社)
はおもしろい。

1章:
盗まれたハープがダウジングで見つかった、という自分の体験で
苦悩し、超心理学の研究につき当たり、その実績に驚く科学者の
報告である。
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/2-6.htm

2-4章:
仲間に話を聞いて回ると、臨床の場でテレパシー様の体験をした
カウンセラーが意外に多いのを知る。そうした人の多くは社会で
受け入れられないと思い、体験を隠していることもわかる。


意味論的場が意志による進化を実現する

2008-01-28 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(10-5)>

第10章:ハーディが心物問題に意識の観点から取組む
(5)意味論的場が意志による進化を実現する

人は、目的を達成するために願ったり欲したりして、結果的に
それを実現し、生き抜いている。この仕組みが超心理的にも
働いているとするのが、スタンフォードのPMIR理論である。
http://www.kisc.meiji.ac.jp/~metapsi/psi/5-3.htm

意味論場理論によると、思考とは意味のネットワークの変化で
あり、意志とは課題達成に向けたネットワークの駆動力である。
シンクロニシティやセレンディピティも同種の現象の現れだ。

この観点から生物進化を考えると、意志をもつことで種の進化
が強く促進されていると推定できる。人の進化では、遺伝子の
突然変異に帰すことができない人類の結びつき、全地球的な
ガイアの連関が重要な役割を果たしている。意味論的場に注目
することで諸問題の解決の方向が見えてくる。


意味論的布置の共進化

2008-01-27 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(10-4)>

第10章:ハーディが心物問題に意識の観点から取組む
(4)意味論的布置の共進化

人格は複雑な意味論的場であり、つねに生成を繰りかえす
意味論的布置構成をなしている。たとえば芸術家の布置は、
創造的であるとか、風景を楽しむとか、芸術家に典型的な
諸々の組織状態からなっている。ある芸術家と別な芸術家は
それぞれ、その典型的な組織状態をもっているので、意味論
上の類似布置となり、相互作用を行なう。

その相互作用状態にある2つの系は、一部の意味深い同期に
によって、全体が複合状態になり、新しい状態が自己組織化
される。これはまさに共進化である。


ネットワーク力学的創発

2008-01-26 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(10-3)>

第10章:ハーディが心物問題に意識の観点から取組む
(3)ネットワーク力学的創発

クリスティン・ハーディによると、心と脳のギャップを埋める
のは、自己組織化の力学原理だという。

理論的には、神経回路網(ニューラルネット)モデルと、
複雑系のカオスモデルを合わせた考え方である。心と脳の
2つのシステムが出会うところで、相互にコミュニケーション
がなされ、共進化が起きるのである。


まず心と物とのギャップを埋めよう

2008-01-25 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(10-2)>

第10章:ハーディが心物問題に意識の観点から取組む
(2)まず心と物とのギャップを埋めよう

クリスティン・ハーディによると、超心理学が心に関する科学である
とすると、何らかの認知理論を基盤にすべきだと主張する。

古典的な認知理論は大きく2つであり、(1)心とは脳の挙動に
他ならないとする唯物論か、(2)それらは別々の存在であると
する心脳二元論である。後者には、心をソフトウェアと考える
計算主義、スーペリー(1978)の主張に代表される相互作用論
などがある。どれも心と脳(物)の間の関係、その間の深い溝を
埋めるには十分でない。

主観的体験の「私」のレベルと、客観的な脳の化学反応のレベル
の双方が存在し、相互作用すること、そして心の諸性質が説明
できることが必要である。それには新しい理論的枠組みが不可欠
である。


超心理は意味論的水準にある

2008-01-24 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(10-1)>

第10章:ハーディが心物問題に意識の観点から取組む
(1)超心理は意味論的水準にある

クリスティン・ハーディによると、超心理現象は、心と物が入り組んだ
意味論的水準(ユングのサイコイド=無意識心の現実)に発生している。
物理的事象を、時空を超えた意味の次元がつむぐのだ。

超心理現象は被験者の心理的な要因に左右されるうえに、実験者効果
に代表されるように、社会的要因にも影響される。また、電磁場のような
減衰効果や遮蔽効果が見られないことから、通常の物理場が介在して
いるとは思われない。

そこでは、意味の近接、頻度、強度、関連などによって特徴づけられる
意味論的場が機能しているのだ。解明には意味の究明が肝要なのだが、
無意識に埋もれていることが、研究を難しくしているのである。


ハーディが心物問題に意識の観点から取組む

2008-01-23 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(10-0)>

第10章:ハーディが心物問題に意識の観点から取組む

クリスティン・ハーディは、意味論場理論を提唱し、心の概念と
物の概念を融合させようとしている。そのなかでは意識が重要な
役割を担っており、超心理現象もおのずと説明される。

進化のうえで意識を身に着けた我々は、複雑な情報系である
課題解決認知システムにもとづいた「共創造」によって諸問題を
解決できるのだ。

※からみあう心たち(30)で多少紹介した。


ストームによる将来展望:必要諸条件

2008-01-22 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(9-5)>

第9章:ストームによるサイコプラクシア理論の再検討
(5)将来展望:必要諸条件

サイコプラクシア理論の必要諸条件は、因果的観点からの
精査が必要である。超心理現象のたんなる誘因を見つける
のは比較的容易であるが、絶対的な必要条件や十分条件
を見つけるのは難しい。しかし、それらが現に存在すると
特定されることこそが、科学的に期待される点である。

超心理現象が起きないグループにおいて、何らかの必要
条件が欠けているのでは、という観点で取り組むと良い。


ストームによる将来展望:順応態度

2008-01-21 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(9-4)>

第9章:ストームによるサイコプラクシア理論の再検討
(4)将来展望:順応態度

サイコプラクシア理論の順応態度には、将来的に明確にすべき
次のようなポイントがある。

順応態度の査定法として、意識部分については尺度構成(無意識
部分については生理指標)などの方法を確立する必要がある。
また、意識と無意識の順応態度が互いに対立する場合、それらの
大きさを比較できるのが望ましい。

神経フィードバックと脳科学の手法によって、順応態度を意識する
こと、それを無意識化すること、他の順応態度と競合させること、
などを可能とする道があるかもしれない。

さらに順応態度の持続時間について考察が必要だ。順応態度が
どのくらい続くことで、目標達成するのか、興味深いテーマである。
金属曲げなどの現象で、被験者による施術を終えてもなお曲がり
続けたという、複数の報告があるが、それと順応態度はどのような
関係になっているのだろうか。


ストームによる心理学的・哲学的検討:必要諸条件

2008-01-20 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(9-3)>

第9章:ストームによるサイコプラクシア理論の再検討
(3)心理学的・哲学的検討:必要諸条件

サイコプラクシア理論の必要諸条件の働きは、魔術的あるいは
目的論的な因果関係であるが、ドミノ倒しのような順次作動で
超心理現象が起きると描写している。ところが、その諸条件の
リストは未完であり、また目標となる課題に応じて諸条件も
異なる(さらに否定的に働く条件まである)としている。

この現状では、必要条件を完全に特定することも、理論を検証
(反証)することもできない。リラックスは超心理の明らかな誘因
であるが、リラックスしてもできない場合も多く、未知の諸条件が
特定されないあいだは、リラックスさえも必要条件と断言できない。


ストームによる心理学的・哲学的検討:順応態度

2008-01-19 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(9-2)>

第9章:ストームによるサイコプラクシア理論の再検討
(2)心理学的・哲学的検討:順応態度

サイコプラクシア理論の順応態度には、意識的なものと無意識
的なものとが両方含まれている。ギャンブラーは、意識的には
当たりを期待しているが、無意識には金儲けに対する倫理的
抑制がかかるから超心理現象が起きない、などと説明される。

おまけに、周囲の人々の順応態度も集合的にかかわり、実験
の再現性が低くなると言う。超心理の逃避的性格(たとえば、
ケネディーの2001年JPの掲載論文)は説明できたとしても、
妥当な実験の企画につなげるには、さらに順応態度概念自体を
理論的に掘り下げなければならない。


ストームによる心理学的・哲学的検討:自己

2008-01-17 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(9-1)>

第9章:ストームによるサイコプラクシア理論の再検討
(1)心理学的・哲学的検討:自己

自己というと、経験主体としての自我に相当する意識的部分と、
その背後に広がる精神分析の対象となるような無意識的な部分が
少なくともある。フロイトの理論ではもっと細分化される。

サイコプラクシア理論の自己は、そのような多様な概念をひとつの
「自己」と称してあいまいに扱っている。概念によって要因となる
構造は違っているはずだ。生理学で、動くことの主要要因が筋肉
であり、考えることの主要要因が脳神経であるように、究明が進む
にしたがって分離されるべきである。そうした意味で「自己」とは、
当面の作業仮説なのである。


ストームによるサイコプラクシア理論の再検討

2008-01-16 | 21世紀の超心理学
<21世紀の超心理学(9-0)>

第9章:ストームによるサイコプラクシア理論の再検討

ストームが、サイコプラクシア理論について、
心理学的・哲学的検討を次の点で加えている。
(1)自己
(2)順応態度
(3)必要諸条件

さらに、次の点に分けて将来展望をしている。
(4)順応態度
(5)必要諸条件