映画覚書38 ~パッセンジャーズ~

2011-09-06 23:01:49 | 映画

最近、めっきり映画鑑賞できてないんですよねぇ。
時間ができれば読書ばかりです。

以降、ネタばれ満載のレビューなのでご注意を。

たまたま1号の帰宅時間の関係で、
午前中で仕事を切り上げたことがあって、
ちょっと時間があったのでつけたCSでやっていた映画。
作品自体の存在を知らなかったので、
そのため、一切の予備知識なしで鑑賞しました。

結論から言うと、なかなかいい映画だと思います。
ミステリーといえばミステリーとも受取れますが、
どちらかというと、ラブストーリーというかヒューマンストーリーというか。

オチがね。
シックスセンスやアザーズと同じなんですよ。
自分が死んでいることに気付いていない主人公。
作品終盤で自分の死に気付く。
何のヒネりもなく、そのまんまです。
そのため、受け入れられ難くなってしまうと思うのですが、
観終わった後に、やさしい気持ちになれるというのが、
他の作品との違いです。

自分の死に気付いてそれを受け入れた主人公アン・ハサウェイの見せる、
穏やかで優しい表情。
気付いていない死を自覚させようと、
彼女の周りに現れる、彼女が好きだった人々。
穏やかに優しく、死を自覚するアン・ハサウェイ。
死って、ひょっとするとそんなに恐れることではないのかも、
と思えるようなラストに仕上げられています。

2番煎じ、3番煎じだと酷評されがちですが、
個人的にはこの作品にはまた別の良さがあると思います。
ハートウォーミングなラストのため、
ミステリーにカテゴライズされることに抵抗を感じるんですよね。
ミステリーとしてはおっしゃるとおりなのかも知れませんが。

ただ、主人公とその彼氏のベッドシーンは必要だったのか。
そこをとっても疑問に思います。
そりゃ、一男性としては嬉しいのですが、
脚本としてはほのめかすだけで十分だったと思います。
全てを描くことによって、作品が陳腐になってしまいました。

まぁ、作品どうのこうのもいいのですが、
アン・ハサウェイはキュートですねぇ。
そう、キュートという言葉がぴったりなんですよねぇ。
機会があれば、彼女の他の作品を見てみようと思います。
では。


映画覚書37 ~アバター~

2010-04-24 17:38:18 | 映画
やはりこの作品は外せませんよね。
今も公開中の劇場があるようなので、ネタバレは・・・できるだけないようにいきます。

巨匠ジェームズ・キャメロンの最新作。
構想14年、製作4年、上映時間164分の超大作。
個人的には初めての3D作品鑑賞です。
と、喜び勇んで映画館に乗り込んだところ、
その映画館では“通常版”と表現された2Dしか上映していないとのこと。
“通常版”なんぞがあるとはつゆ知らず、
ショックのあまり2Dなら意味がないと断じて
“パラノーマルアクティビティは上映されてますか?”と聞いてみたものの、
ソチラも上映していないとの係のお姉さんのお返事だったので、
シブシブですが通常版のアバターを鑑賞してきたのです。

でも、まったくもって問題なかったですね。
通常版でもスクリーンは充分な迫力で迫ってきますし、
作品のスケールの大きさと、VFXは見事なものです。
“まるでそこにいるような感覚”とまではいきませんが、
これを僕のようなおっさんが3Dで鑑賞したら、
どこかの国であったようにショック死しかねない印象です。

舞台は“パンドラ”と呼ばれる惑星。
その星では先住民ナヴィが自然のネットワークの中で、
自然と同一化しながら暮らしています。
その星で採掘できる鉱物を欲する人間。
人間がナヴィとの意思疎通を図るために、
ナヴィの遺伝子と人間の遺伝子を組み合わせて創造したアバター。
元海軍兵士がナヴィとの交流を通じて、心通わせます。

にしてもジェームズ・キャメロンはスゴいですねぇ。
何もかも新しい世界を作り出してますから。
自らをデザインオタクというだけあって、
登場する植物や動物はすべてゼロからデザインされたもの。
もちろん、ベースとして地球の動植物があるとは思いますけど。

とんでもなく長い作品なので、ストーリーは省略しますが、
観終わったときに強く感じたのが、
“『もののけ姫』と『マトリックス』を足して2で割ったような作品”です。
鉱物が必要なために、必要悪として自然を破壊する人間と、
自然とともに暮らし、
生命のネットワークに組み込まれたナヴィの対立軸は『もののけ姫』そのものですし、
脳波を送ってアバターになり切るとか、
救世主として扱われる主人公という設定は『マトリックス』です。

正直、ストーリー的に真新しい!という映画ではありませんが、
CGの表現力や映像の圧倒的な迫力など、
映画館でしか味わえない醍醐味が、たくさん詰まっています。
他人にオススメできるかと問われれば、間違いなくできる映画です。
映画館でこそ、という映画だと思いますので、
どうしよっかな~と迷われている方は是非。
では。


映画覚書36 ~大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説THE MOVIE~

2010-01-12 21:46:57 | 映画
劇場公開中の作品です。
ネタバレしますので、これから鑑賞するという方はお読みいただかないほうがいいかと。

ウルトラマン関連の映画を観るのは初めてのことでした。
もちろん、ウルトラマンは子どもの頃から馴染みが深く、
ウルトラマン、ウルトラセブン、帰ってきたウルトラマンは夢中でテレビにかじりついてました。
再放送でしたけどね。
なので、劇場で観るウルトラマンに興味津々でした。

オープニングで青と赤の光の玉がぶつかりながらとある惑星に降り立ちます。
青い玉が怪獣ベムラー、赤い玉がウルトラマンメビウス。
この登場シーンは、ウルトラマン第1話のオマージュですね。
のっけからオールドファンを惹きつけてくれます。

一方、宇宙牢獄にウルトラマンに姿を変えたザラブ星人が現れ、
牢獄に幽閉されている悪のウルトラマン、ベリアルを解放し、
一緒に宇宙を征服しようともちかけますが、ベリアルにあっさりと倒されてしまいます。
かつてベリアルは強さのみに憧れ、そのために悪を犯し、
M78星雲を追放されたところに、レイブラッド星人によって悪の強大な力を手に入れたウルトラマン。
強さのみを求めて正義を伴わない力を手に入れる危うさ。
しばしば利用される設定です。
姿形は・・・微妙ですね。
エラからアゴにかけての張り出したラインと、
縦長の目がとっても悪者の印象を与えます。
正直ね、レイブラッド星人が誰なのか、予備知識が一切なかったので、
このへんの展開はなんのこっちゃだったんですけど。

このベリアル、めちゃくちゃ強いです。
数々のウルトラ戦士をもってしても、到底かなわないくらいの強さ。
この戦闘シーンがスゴいです。
まるでカンフー映画を観ているかのような迫力のアクション。
光線などの飛び道具よりも肉弾戦に重きを置いて描かれています。
ワイヤーアクションも随所に取り入れて、
重力に反するウルトラマン達の動きを描写しています。

今作に登場するメジャーどころのウルトラマンは、
全員マントをまとっています。
これがまたカッコイイんですよね。
ウルトラマンにはマントが似合います。

格闘の末、光の国のエネルギーの源であるプラズマスパークを手に入れるベリアル。
エネルギーを失った光の国は、すべてのものが凍てついて氷の国へと姿を変えます。
この状況を打破するにはベリアルを倒して、プラズマスパークを取り戻す必要がある。
では、ウルトラマンベリアルを倒すにはどうすればいいのか。
メビウスは同じくレイブラッド星人の血を引くレイという成年に協力を依頼します。
毒をもって毒を制す。
レイはレイブラッド星人であるため、怪獣を操ることができます。
彼のパートナーはゴモラ。
何とあの大阪城を粉々にしたゴモラを、ポケモンのように使っちゃいます。
最近はウルトラマンじゃなくって、大怪獣バトルとかの題名でテレビ放送されているようなので、
その延長線上の映画だということですね。

ここまでのところで気になった、というかものすごく違和感があったのがウルトラの母のあてレコ。
ウルトラの母が話すと幼稚園の学芸会ですよ。
他のウルトラマンのすばらしいあてレコのおかげで映画にのめり込んだ心を、
一気に冷めさせてくれるひどさ。
これは、非常に残念でした。
母の声を務めたのは長谷川理恵さん。
ウルトラの母は戦士達を優しく包み込む包容力がある方なんですが、
棒読みセリフでは、その包容力は表現できませんねぇ。

物語はやがて、怪獣墓場での大戦闘に向かいます。
生き残りのウルトラ警備隊とレイのゴモラvsベリアル率いる怪獣軍団。
世紀の大バトルが始まります。
バトル中に現れるウルトラマンセブンの息子ウルトラマンゼロ。
追い詰められたベリアルが、様々な怪獣と合体して現れる究極の怪獣ベリュドラ。
ジャリ男も僕も大興奮。
惜しむべくはベリュドラをCGで描いているからなのか、
合体している一体一体の怪獣がよく見えないんですね。
アップになるシーンも少なかったですし。

ところで、ウルトラマンといえば、ミニチュアで町や自然を再現して、
そこで着ぐるみを着たアクターが暴れまわるというのが定番でしたが、
今作は背景をすべてCGで作成し、よりリアルに戦闘を描いています。
確かにCGの背景はリアルで迫力あるのですが、
70年代のウルトラマン世代には、やはりミニチュアのちゃっちさを懐かしく思います。
子ども心でもミニチュアであることはわかっていますし、
それでもやっぱりウルトラマンに心酔したものです。
がんばって手作りされたセットを豪快にぶち壊す怪獣たち。
生気のない手作りの町。
それはそれで味があるものですよね。

エンドロールで、とんでもなくびっくりしたことがありまして。
ウルトラマンキングのあてレコをされたのが、小泉純一郎元総理だったんです。
映画が終わってから、嫁さんに興奮して話すと、
そういえば何かの情報番組でやってたのを見たことがあるとのこと。
どうりで、映画の最後にウルトラマンキングが演説するシーンがあるんですが、
声優さんの割にはかつぜつが悪いなと思いながら聞いていました。
でも、声量も威風堂々とした話し方も、
とってもがんばっておられたんじゃないかと感じました。
さすが、一国を率いた経験をお持ちの方です。

ジャリ男と一緒の映画鑑賞。
そりゃもう期待以上に楽しむことができました。
もうすぐシンケンジャーvsゴーオンジャーの封切です。
こちらは家族全員で鑑賞することになるでしょう。
楽しみです。
では。


映画覚書35 ~崖の上のポニョ~

2008-09-15 18:37:03 | 映画
泣く子も夢中になる宮崎駿監督作品。
前作『ハウルの動く城』から4年ぶりの新作です。

個人的には3日連続劇場鑑賞シリーズ最終作品です。
こちらも『カンフーパンダ』に引き続いて家族全員で鑑賞。
つまり2日連続で一家で映画館へ足を運んだということです。

僕の中では宮崎作品は『もののけ姫』で完結してまして、
『千と千尋の神隠し』や『ハウルの動く城』はオマケでした。
『崖の上のポニョ』もオマケ以上に期待はしていなくて、
それでよかったな、というのが感想です。

物語はデンマークの童話『人魚姫』をモチーフに描かれています。
主人公ポニョが5歳の男の子宗介に助けられたことを機に、
人間になりたいと考えます。
海なる母(この表現がよくわからん)グランマンマーレの子のポニョは強力な魔法を持ち、
また、人間を辞めた父フジモトの生命の水の力によって、
ポニョのわがままが海と空のバランスを崩しながら暴走します。

宮崎作品に共通して感じるのですが、とにかく主人公が走ります。
今回の主人公ポニョもよく走りますよ。
圧巻は荒れた海の波の上を、ピョンピョンと波を移動するように走ります。
走って走って、大好きな宗介にたどり着くのです。

印象に残ったのは、作品を通して“母”がキーワードになっていることです。
ポニョの母であるグランマンマーレは海なる母(やっぱり意味わからん)ですし、
宗介の母は強く、テキパキとして情に厚い。
その母同士が話し込んでいるシーンがあるのですが、
会話は一切聞こえません。
このシーンで2人が何を話していたのか。。。
僕的にはこれが作品の中で最も気になりました。


上映時間104分。
適度な時間かと思ったのですが、
1号は“短すぎ!”と文句を垂れていました。
もっとポニョや宗介の冒険を見たかったのでしょう。
2号は波の生命体のようなものが出てきたときに、
“こわい、こわい”とシクシク泣いていましたが、
それも一時的なことであって、全編を興味深く楽しんでいたようです。
ジャリ男は昼寝時間だったこともあり、
“眠い、でもポニョ観たい・・・”という強烈なジレンマに陥っていたようです。
それでも最後までがんばって鑑賞し、
ときどき“フンガーッ”とか声を出すこともありましたが、
劇場を出なければならないようなことにならなかったのはエラいと思います。

ほんとにほんとにどうでもいいことですが、
♪ポーニョポニョポニョさかなのこ~
って、この映画の主題歌なのですが、
僕はこれを口ずさむと必ず、途中から工藤静香の歌に変わってしまいます。
♪ポーニョポニョポニョさかなのこ~、か~すかに~ウーン 色~っぽい~
うれしはずかしなつかしの“MUGO・ん・・・・色っぽい”ですな。
似てない・・・・・っすかねぇ。。。

親子で映画鑑賞。
我が家に新しい楽しみができました。
もちろん、僕にはウェルカム過ぎる楽しみです(笑)
では。


映画覚書34 ~カンフーパンダ~

2008-09-13 19:04:47 | 映画
友人からタダ券をいただいたので、家族全員で鑑賞しました。

実は鑑賞したのは『ハムナプトラ3』をひとりで観た次の日。
そしてこの次の日には『崖の上のポニョ』を観たので、
何と3日連続で映画館で映画を観たことになるのです。
その前が1年以上前でした。
同一性の法則。まさしくそのままですね。

さらにこの作品は“家族全員ではじめて劇場鑑賞した映画”ということになり、
ジャリ男が映画館デビューを果たした記念すべき作品です。
3歳になっていないジャリ男が劇場で静かにしていられるか不安でしたが、
さすが、場の雰囲気を読むことにかけては卓越した能力を持ったジャリ男です。
両親も落ち着いて鑑賞できるくらいに静かにしていてくれました。
というか作品に夢中だったのでしょう。

さて、本作『カンフーパンダ』は『シュレック』シリーズや
『マダガスカル』シリーズを生み出したドリームワークスの手がけるCGアニメーション映画です。
何と言っても声優陣がスゴいですねぇ。
ジャック・ブラック、ジャッキー・チェン、ダスティン・ホフマン、アンジェリーナ・ジョリー、
その他にもメジャーな俳優さんばかりでガッチリ固められています。
でも、鑑賞したのはもちろん日本語吹き替え版。
こちらも中尾彬、木村佳乃なんかの有名俳優さんが多数参加されています。

舞台はもちろん中国。
カンフーですから。
そういえば『ハムナプトラ3』も中国でしたっけ。
ラーメン屋の息子である主人公のパンダが偶然(ではないのでしょうけど)龍の戦士に指名され、
桃源郷を破壊しにやってくる悪役をやっつけるまでを、
ユーモア、師弟愛、親子愛、友情を随所に散りばめながら見せてくれます。

物語のプロットはいたってシンプル。
絶対的な悪があって、民衆を守る善があって、
その善は最初は頼りないのですが、修行を積むうちに強くなっていく。
ただ、ちょっとヒネってあるのは修行をそんなにつらいものと表現していなくて、
食い意地の強い主人公パンダのポーと食べ物の争奪戦を繰り広げるように修行させます。
主人公は食べ物を争っているうちに強くなる。
なので、修行シーンは長くありません。
一瞬で強くなった感覚です。
子どもでも楽しめるようにとの配慮でしょう。
2歳のジャリ男でも楽しめるほどですから。

もちろん、メインとなるカンフーシーンも秀逸です。
スピード、迫力、技、どれを取ってもレベルが高い高い。
監督は長年、カンフーを研究されてきたそうですが、
そういう方でないと作れない完成度の高さだと思います。

さらに、エッセンスとして“信じる心”が散りばめられています。
シーフー師匠がウーグウェイ導師を信じる心。
シーフー師匠がポーを信じる心。
ポーがシーフー師匠を信じる心。
ポーと同じシーフー師匠の弟子マスターファイブがポーを信じる心。
ポー自信が自分を信じる心。
それらの“信じる心”が揃ってはじめて悪役を倒すことができるわけです。

またウーグウェイ導師の深い言葉の数々も印象に残ります。
桃の花びらの散るなかで、
ウーグウェイ導師はシーフー師匠、ポーにこんこんと語ります。
“この世の中のできごとすべては、偶然ではない”
作品を観ていただければ、その深さに気付くかも知れません。

中尾彬氏の悪役は圧巻でした。
声量・演技、ともに声優さんに負けていないのではないでしょうか。
声優さんでない方々が主要な役の吹き替えを担当されていますが、
どの方もレベルの高い発声をされていて、満足度は高いです。
もののけ姫』の石田氏とはえらい違いです。


家族全員で鑑賞した初めての映画。
記念すべき映画にふさわしい、完成度の高い作品でした。
子ども達も、めちゃめちゃ楽しんでくれたようです。
どうも続編が作られるようですね。
次回作も、家族全員で鑑賞します。
では。