抜擢

2022-06-27 12:57:46 | リーダー
前回の更新が2021年2月。
あれから1年半が経過した。
長い間、このブログを更新する気にもならなかった。
なぜか。
おまえも知ってのとおり、私は抜擢された。
2020年は課長という立場ではあったが、決して忙しいわけではなく、重責を負っているわけでもなかった。
そんなお気楽とんぼだったからこそ、お気楽にリーダー論を書くことができたし、本来業務とは異なるプロジェクトを完遂できた。
ところが、それからしばらくして、私は抜擢されたのだ。
わが社で最も強い権力を握る組織の課長に。
これまでのその組織の課長は、その組織での実務経験を持っている者に限られていた。
私にはその経験は、一切ない。
だから、正直、私がその組織の課長になることはないと思っていたし、正直、私の性格に合う組織ではないので、なりたくもなかった。
なのに、会社でエリートコースと言われる組織の課長を任されることになった。
聞くところによると、経験のない者がその組織の長になるのは30年振りだそうだ。
そのおかげで、私は、ブログのことを思い出すことすらないくらい追い込まれる日々を過ごしていた。
その所属へ赴任する前に、会社のトップと直接話をする機会があった。
社長は特に私を抜擢した理由は語らなかった。
ただ、細かなことは期待していないから、大きな目線で物事を見るように言われただけ。
もともと、社会や組織をミクロで語ることに興味がなかった私なので、その要請は渡りに船だった。
私は、少しの興奮と大きな不安を抱えて着任した。
そして、激動の一年が過ぎた。
今、思うのは、とんでもなく大変な1年だったが、かけがえのない時間でもあったということ。
何もかも初めてのことばかりなのに、課長という立場ゆえ、決断を迫られる。
その決断がもたらす結果も、軽いものばかりではない。
時には私の手に負えないこともあった。
経験も知識もない状態で、表舞台に立たなければならなかった。
表舞台に立って、スポットライトを浴びる主役を演じなければならなかった。
プレッシャーとストレスが大きな波となって、私を飲み込んだ。
私は飲み込まれるしかなかった。
抗う術も武器も持っていないからだ。
おそらくは、抜擢された私を妬む者もいたに違いない。
そんな人たちは、私がひのき舞台で失敗することを心で笑っていたことだろう。
逆に、そんな私を気の毒に思って、心配してくれる同僚も多かった。
正直、うまくいくことばかりではなかった。
この一年間の出来事は、また改めて少しずつここに書き留める。
おまえのこれからの人生に、影響を与えようとか考えているわけではない。
こんな考え方もある、と知ってほしいだけだ。
激動の一年を終えて、2年目は少しだけ、昨年よりも余裕をもって業務にあたっている。
これが成長するということなのかも知れない。
この年になっても、必要に迫られれば成長せざるを得ないものなのだと感心する。