『実るほど頭を垂れる稲穂かな』
リーダーが肝に銘じておかなきゃならない言葉をひとつ選ぶとすれば、この言葉を選ぶ。
私事であるが、仕事での成果が出たとき、組織としての難局を乗り切ったとき、私は自分の能力を過信する。
そして油断する。
そして、当然のように頭をハンマーで打たれるような失敗をする。
必ずだ。
過信した後の油断に伴う失敗。
公式のように必ずだ。
先日、株主総会ではないが、組織として業務の正当性やこれからの方針を監査的な組織に説明することがあった。
これに関してはしっかり準備して、自分で納得できる対応ができた、と思っている。
これまでの方針を転換させる説明内容であったため、委員からどのような反応があるか、部下達は不安だったようだが、私にとってはこれしかないという選択肢だったため、不安を抱えながらも自分の考えに突き進めた。
結論として、成功だったと思っている。
この成功に気をよくした私は、やはり自分のやり方が間違っていなかったと慢心した。
いや、頭を垂れることを忘れちゃいけない気持ちがあったので、謙虚に成功を受け止めるよう努力していた。
それでも慢心してしまっていたのだと思う。
数日後に、別の監査役への説明の準備が十分でなく、会議の席上で大きな失態を犯した。
ごくごく単純な質問に答えられず、把握できていませんと回答せざるを得なかったのだ。
慢心から来る油断。
回答してからの私には、この言葉が重く重くのしかかっていた。
残りの会議も上の空。
絵に描いたような基本をおろそかにしたことによる大失態。
困難な事案を自分の力で解決できたと感じたとき、慢心が生まれる。
そんなときに冒頭の言葉を思い出し、うまくいったことを忘れて、真摯に次の課題に取り組む姿勢が必要だ。
口だけでいい気になっちゃいけないと言うことには意味がない。
次から次へとやってくる事案に対して、まっすぐ向き合い丁寧な対応をする。
実際にそれができなきゃならない。
これは、調子乗りの私にはとっても難しいことだ。
すぐに自分の力を過信してしまう愚か者だからな。
お前はどうだ?
できるか?