日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

野生動物を守れ オーストラリア マリア島の試み

2019-03-15 07:00:01 | 報道/ニュース

2月22日 キャッチ!世界のトップニュース



近年多くの人が写真をSNSソーシャルネットワークに投稿・共有しているが
“インスタ映え”などと呼ばれる特別な写真を撮るために行き過ぎた行為に及ぶ人も少なくなく
野生動物がその被害にあっている。
そうした野生動物の被害を少しでも防ごうと
オーストラリアの観光地ではある試みが始まっている。

大自然の中で記念写真を撮る人々。
タスマニア州のマリア島。
イギリスの植民地時代に流刑地として使われ
今でも手つかずの自然が残されている。
広さ115㎡の島全体が国立公園に指定されていて
カンガルーをはじめとした有袋類や珍しい鳥などが生息している。
こうした動物との自撮りなど観光客が撮影した写真がSNSで人気を呼ぶなど
ここ数年で訪れる人が急増。
2017年度は年間3万1,000人と
3年前より50%近く増えた。
(観光客)
「ウォンバットが大好きで
 どうすれば会えるか調べてきました。」
「素晴らしい島です。
 自然を体験でき
 子どもにカンガルーなど見せられます。」
しかしその一方でいま野生動物との写真撮影が新たな問題になっている。
動物に異常に接近したり
むやみに触ったり
自撮り棒で追いかけたりするため
動物にストレスが加わり
その生態への異教も懸念されているのである。
とりわけ被害にあっているのが島に100匹あまり生息している有袋類のウォンバットである。
(国立公園 担当者)
「“触らないで”と言っても5分後には同じことをしています。
 写真を撮るためです。
 動物を悩ませ苦しめる危険性があります。」
そうしたなか去年末
行き過ぎた撮影などから動物を守ろうという試みが始まった。
それが観光客に野生動物を尊重してもらう「マリア島宣誓」の導入である。
宣誓文には
自撮り棒で追いかけたりしません
取り囲んだり抱き上げたりしません
責任感を持って探し回ることを誓います
など
ウォンバットを中心に島の動物に不適切な行為をしないことが盛り込まれている。
宣誓を導入した地元観光グループのトゥービーさん。
罰金を科して行き過ぎた行為を防ぐよりも
観光客に自ら動物のことを考えてもらいたいという。
(地元観光グループ トゥービーさん)
「誰でも休暇中は前向きな体験がしたいし
 強制的に行動を指図されたくありません。
 動物保護について人々を啓発するために
 宣誓がより良い方法になればと思いました。」
観光案内所などに協力を求めてきたトゥービーさん。
この日は宣誓をPRするためウォンバットが描かれたバッチを届けた。
観光客がバッチに興味を示したところでタブレットを使って宣誓について説明する。
どのような行為が動物に悪影響をもたらすのか教えると
その場で署名してもらえた。
(観光客)
「宣誓を支持します。
 島で出会う動物との接し方について考えるきっかけになると思います。」
「宣誓を守り
 美しい島と生息する動物を守らなければいけないと思いました。」
トゥービーさんは
今後
島へ渡る船を予約する際に宣誓を促す仕組みづくりなども進めていきたいと考えている。
(トゥービーさん)
「島に向かう全ての人が宣誓を受け入れ
 動物たちを悩ませたり
 自撮り棒で追い回さないようになれば
 うれしいです。」
トゥービーさんたちの活動を受け
国立公園の管理当局でも観光客への働き掛けを強めている。
その1つが島へ渡る船での動物紹介である。
当局のレンジャーがウォンバットの剥製を持ち込み
特徴や接し方を説明したうえで宣誓を促している。
剥製を使って感触を確かめてもらうことで
生きている個体に近づきたい欲求を抑え
宣誓を守りやすくするのが狙いである。
さらに島では観光客が宣誓をしたか声をかけて確認している。
特に気にかけているのが英語を母国語としない外国人観光客である。
中国語を話す観光客が増えていることから
スマートフォンを使って
宣誓が中国語で書かれたページを紹介し
理解を求める。
その場で快く署名する人も。
(観光客)
「宣誓は重要です。
 ウォンバットにさわれないことは知りませんでした。
 ウォンバットは大事にすべきです。」
(当局のレンジャー)
「“マリア島宣誓”は島でしてよいことと悪いことを教える本当に良い方法です。
 観光客も島の生態を守り
 動物を尊重することができます。」

 

コメント

席を譲る人のやさしさ、譲られる人のやさしさ

2019-03-14 13:15:00 | 編集手帳

 2月22日 編集手帳


詩人の吉野弘さんが実際に目にした光景と思われる。
「夕焼け」という詩に、
電車の中でお年寄りに席を譲った若い女性の姿を描写する。

<…としよりは次の駅で降りた
 娘は坐った
 別のとしよりが娘の前に
 横あいから押されてきた
 娘はうつむいた
 しかし
 又立って
 席を
 そのとしよりにゆずった>。
ところが二度あることが三度に。
お年寄りが駅で降り娘が座ると、
別のお年寄りが目の前にきた

<可哀想に
 娘はうつむいて
 そして今度は席を立たなかった
 次の駅も
 次の駅も
 下唇をキュッと
噛かんで
 身体をこわばらせて>

親切な心の持ち主ゆえの困惑だろう。
かといって譲られる側にも葛藤がある。
東京都内の82歳の女性から最近こんな手紙をいただいた。
<皆さん疲れているのに、
 席を譲られると申し訳なく思います。
 代わってもらった人の近くでいてもたってもいられなくなり…>

吉野さんの詩の後段に次の一節がある。
<やさしい心に責められながら
 娘はどこまでゆけるだろう>。
この娘さんと同じく、
手紙をくれた女性の惑いもやさしさゆえである。
どちらもすてきだと思います。



 

コメント

「豪華客船から脱出をうながす」ジョークに国民性

2019-03-13 07:00:00 | 編集手帳

2月21日 編集手帳



 国民性はジョークのタネになる。
世界的によく知られるものの一つがこれだろう。
豪華客船が沈み始め、
船長は外国人乗客に脱出を促すことになった。
さてどうやるか?

アメリカ人へ。
「飛び込めばあなたは英雄ですぞ」。
イギリス人へ。
「飛び込めばあなたは紳士ですよ」。
ドイツ人へ。
「飛び込むのがこの船の規則です」。
イタリア人へ。
「飛び込むと女性にもてますよ」

このなかの国の一つが従来のスマートなイメージをか細く見せていることは確かだろう。
イギリスである。
3月29日に迫る欧州連合(EU)からの離脱を巡り、
混迷が深まっている。
英下院では先ごろ、
離脱条件などを定めたEUとの協定案が圧倒的多数で否決された。
貿易ルールも定まりかねる国から、
企業が相次ぎ撤退するのは当然だろう。
さながら沈み始めた伝統と格式ある客船から逃げようと、
海に飛び込む光景に見えなくもない。
そこにホンダが欧州唯一の工場を閉鎖すると表明し、
さらに波しぶきを立てた。

ほかの日系企業の動向も注視されよう。
ちなみに前述のジョークの日本人版は、
「みんな飛び込んでますよ」である。



コメント

河口湖町 リチェッタ (RICETTA)

2019-03-12 07:30:00 | グルメ

 
  

                          (食べログより)



http://www.ricetta-jp.com/

河口湖駅から3,427m

 

コメント

香港 チャイナドレスに魅せられて

2019-03-12 07:00:00 | 報道/ニュース

3月21日 おはよう日本


中国の伝統衣装の1つチャイナドレス。
かつては広く普段着としても着られていたが
動きやすくて値段も安い洋服に押され街中で見かけることはほとんどなくなった。
そうしたなかチャイナドレスを見直そうという動きが香港で広がっている。

チャイナドレスで着飾った女性たち。
「チャイナドレスこの会」の集まりである。
ドレスを着る機会を増やそうと月に1,2回メンバーの自宅などで会合を開いている。
いま香港ではこうしたグループがいくつも設立されている。
「チャイナドレスで外出すると注目されます。」
「東洋の女性らしさが出てエレガントに見えるから好きです。」
香港でチャイナドレスが全盛期を迎えたのは1960~70年代。
当時 中国本土では文化大革命の真っただ中。
華美なチャイナドレスは批判の対象となった。
このため多くの仕立て屋が香港に移り住みドレスを作るようになったのある。
当時を知る仕立て屋のひとり 封さん(73)。
約60年前 同じく仕立て屋だった父親とともに上海から移り住んだ。
封さんにように上海からの職人は今では5人ほどになってしまった。
封さんは今でも昔ながらに全て手縫いで仕立てている。
縫い目が見えないようにするなど
細かなところまで気を配るためである。
体にぴったり合ったラインが特徴のチャイナドレス。
仕上げるまでに少なくとも2回は試着してもらい
そのたびに糸をほどいて縫い目の位置を微調整する。
1着作るのに3週間。
こうした丁寧な仕事をする職人はほとんどいなくなったという。
(封さん)
「われわれ職人が香港に移ってきたので
 中国の伝統衣装を残すことができました。
 しかし今は後継者がほとんどいません。」
封さんは3年前から仕立て教室を開いている。
もっと多くの女性たちにチャイナドレスに触れる機会を持ってほしいと考えたからである。
この日集まったのは20~50代の初心者の女性たち。
半年間にわたって作り方を1から教える。
(生徒)
「おばさんたちが着るイメージがありましたが
 尊重されるべき文化だと思いました。」
(封さん)
「みんながこんなに一生懸命学んでくれて満足しています。」
チャイナドレスの歴史的な価値に注目して保存しようという人も出てきている。
袁さんは10年ほど前から亡くなった人の遺品や着なくなった古いドレスを譲り受けている。
金の糸で豪華な刺しゅうを施したドレス。
今では見られなくなった貴重なものである。
収集を始めるきっかけとなったのがチャイナドレスを着た祖母の若いころの写真である。
美しく輝く祖母の姿に衝撃を受けたという。
(袁さん)
「いつも会っていた祖母のイメージがチャイナドレスですっかり変わりました。
 あの写真のおかげで中国の服装に興味を抱くようにです。」
この日袁さんに保存してもらおうと
母親から着なくなったドレスを預かってきたが男性がやって来た。
「これはパーティー用に作ったそうです。
 1970年代のものです。」
「上質な素材で作られていますね。」
(男性)
「母はチャイナドレスの良さを文化として大事にほしいと願っていました。」
これまでに袁さんが譲り受けたチャイナドレスは1,500着。
香港随一のコレクションとなり
特別展などで展示されるようになった。
袁さんは今後さらに多くの人に見てもらおうと
常設の博物館を作りたいと考えている。

 




コメント

川口チャイナタウン 意識改革に挑む中国人

2019-03-11 07:00:00 | 報道/ニュース

2月19日 国際報道2019

東京の池袋で最近増えているのが日本人ではなく近くに暮らす中国人を相手にした店。
レジも中国と同じように現金のやり取りはほぼゼロである。
各国の中国人社会を研究している 立正大学の山下清海教授は
こういた中国人が中国人を支えるチャイナタウンが日本にも急増している
と指摘する。
(立正大学 山下清海教授)
「改正入管法が施行されると
 さらに多くの国々から日本にやってくる。
 遅れてきた移民たちがチャイナタウンの周辺に店を開く。
 そしてだんだん拡大していくという傾向がみられる。」
日本でも今後その数が増えると予想されるチャイナタウン。
埼玉県川口市では地域社会との共存を図るため
中国人自ら新たな取り組みを始めている。

12年前に来日し西川口の駅前で中国料理店を営む呉さん(36)。
店の周辺には10年ほど前から中国の食材などを売る店が立ち並び
しだいにチャイナタウンが出来上がって来たという。
店を営む傍ら慶応大学大学院で経営学を学ぶ呉さん。
周辺で暮らす中国人のマナーの悪さが指摘されるたびに
街のブランドイメージも悪くなると心を痛めてきた。
(呉さん)
「中国人にも迷惑かけると思う。
 日本人に対し中国人として恥ずかしい部分
 そういうところの意識が薄い。」
人口およそ60万の川口市。
もともと中国人が集まっていた池袋から電車で20分という便利さもあり
中国人の数はこの10年でおよそ2倍に増えている。
そして今ではおよそ2万人の中国人が駅前を中心にチャイナタウンを作り暮らすようになった。
その一方で市は
日本語を話さず近隣の日本人とのコミュニケーションにも消極的なチャイナタウンの人々の対応に苦慮してきた。
2年前に市が行ったアンケート調査からは
日本のマナーや生活習慣が理解できずトラブルになるケースがあることも分かってきた。
(川口市 協働推進課)
「ひとつひとつ現場に行きトラブルを解消する取り組みをしているが
 追いついていないのが正直なところ。
 日本人側からだけの対応では限界がある。」
こうしたなか呉さんは
チャイナタウンに暮らす中国人自らが意識を変える必要があると
ある取り組みを始めた。
それが月に1度のゴミ拾い。
去年の3月に呉さん1人で始めたという。
(呉さん)
「これでよかったのかなと自分を疑ったこともある。
 よけいなことかなと。」
ひとりで黙々とゴミを拾う呉さんの姿を目の当たりにしたチャイナタウンの人々。
しだいに協力する人が増え今では40人ほどが集まるようになった。
(参加者)
「私たちも清潔好き。
 西川口の環境を守るため自分たちの力を発揮したい。」
「まだゴミが多いのでみんなの努力が必要だ。」
呉さんの目的はゴミを拾うことだけではない。
“街をきれいにすれば利益につながる”と説くことで
チャイナタウンの人々の心を動かそうとしている。
「清掃活動のチラシを張れば店の印象が良くなりますよ。」
チャイナタウンの内側で始まった意識改革。
呉さんの思いが街の姿を変えようとしている。
(呉さん)
「きれいで活気あるチャイナタウンを作っていくのが私の夢。
 中国人と日本人が感謝しあえる
 そういう世界を作っていきたい。」





コメント

インドネシア大統領選の行方

2019-03-10 07:00:00 | 報道/ニュース

2月19日 キャッチ!世界のトップニュース


東南アジアで最も人口が多く
堅調な経済成長を続けるインドネシア。
誰が次の5年の舵を取るのか注目されるが
2期目を目指すジョコ大統領の対立候補は元軍人のプラボウォ氏である。
この2人の選挙戦が本格化するなか
ジョコ大統領が就任以降実施してきた政策の成果が問われている。
再選を狙うジョコ大統領が
この5年間 力を入れ成果を上げてきたと主張するのが貧困対策である。
この日は貧困層が多く住む地域を訪れ
自身が始めた支援プログラムの利用状況を視察した。
このプログラムは資金がない人たちに政府が低金利でお金を融資する制度。
新たな事業を始めて生活を安定させてもらおうというものである。
(インドネシア ジョコ大統領)
「皆さん 仕事に一生懸命取り組んでください。
 また数年後 お会いできるのを楽しみにしています。」
この制度を利用しているルムシーさん。
夫と2人の子どもの4人家族である。
夫はこの地域で盛んな魚やエビの養殖業を営んでいるが
ひと月の収益は日本円で2万円程度。
天候によっては魚が育たないこともあり収入は不安定である。
(ルムシーさんの夫)
「時期によっては収入が全く無くなることもあります。」
そうした状況から抜け出そうとルムシーさんは4年前
プログラムの融資を受けて自宅食料品や日用品の販売をする売店を始めた。
(ルムシーさん)
「店の収入で生活をよくしたいです。」
受けた融資額は合わせて4万円。
返済は週にわずか500円程度なので大きな負担ではないという。
支援プログラムのおかげで生活が大きく改善されたと感じているルムシーさん。
次の5年もジョコ大統領に政権を担ってほしいと考えている。
(ルムシーさん)
「この地域の人たちはジョコ大統領支持だと思います。
 子どもが教育を受け
 貧困から脱してほしいです。」
ジョコ大統領が貧困対策とともに力を入れているのがインフラ開発。
海外からの投資の誘致である。
近年 中国からの投資が伸びているインドネシア。
投資額はジョコ大統領が就任した2014年と比べると3倍に増えているが
一方で問題も起きている。
スラウェシ島中部のモロワリ。
ニッケルなどの天然資源が豊富にあることで知られている。
この地域ではジョコ政権誕生後
中国からの投資を受けて地元企業と中国企業が合同でニッケルの採掘・加工施設の操業を始めた。
関連工場で働いていたチェンドラさん。
中国の投資によって地元の人たちは必ずしも恩恵を受けていないと話す。
(チェンドラさん)
「政府はここで起きていることに目を向けていないのです。」
工場で働く人たちが撮影した内部の映像。
多くの中国人労働者や中国人向けの宿泊施設が確認できる。
インドネシアでは国内で外国人の単純労働者が働くことは禁止されている。
しかしモロワリには中国から単純労働者が大量に流入し
地元の雇用を奪っているとチェンドラさんは訴える。
さらにインドネシア人の給料は3万円ほどだが
中国人労働者はそれを大幅に上回る給料が支払われているという。
(チェンドラさん)
「同じ仕事をしている中国人の友人は10万円以上の月給があると話していました。
 賃金のことを会社は公開しないのです。」
チェンドラさんたちは1月24日
工場の前で賃上げを要求するデモを行った。
参加者はジョコ大統領の政策を批判し
対立候補プラボウォ氏への支援を訴える声も上がったという。
こうしたなか17日に開かれた大統領選のテレビ討論会。
対立候補のプラボウォ氏は
“天然資源の開発はインドネシア自らの手で進めるべきだ”と主張した。
(大統領選候補者 プラボウォ氏)
「私たちが抱えている問題は
 私たちの資源が私たちの手にないということだ。」
(チェンドラさん)
「プラボウォ氏の主張ならば
 もっと雇用が生まれることになります。
 海外からの投資は社会によい影響を与えるものでなければいけません。」
 




コメント

アルゼンチン 通貨安の光と影

2019-03-09 07:00:00 | 報道/ニュース

2月18日 国際報道2019


南米第2の経済大国アルゼンチン。
通貨安による急激なインフレが市民生活を直撃し
危機的な経済状況に陥っているアルゼンチン。
アルゼンチンは人口4,400万。
国土は日本の約7,5倍の面積で
農業や畜産業を主要産業とする南米第2位の経済大国である。
ここ10年ほどのGDP国内総生産の実質成長率をみると
2010年には経済が好調の隣国ブラジルの恩恵を受け高い伸びを記録していた。
しかしその後ブラジル経済の成長が鈍るとアルゼンチンもともに低迷していく。
さらに経済低迷の要因となっているのが為替レートである。
アルゼンチンの通貨ペソは
10年前は1ドルに対し3ペソ台だったが
2016頃から政府の財政緊縮にアメリカの利上げが重なり一気に通貨安が進行。
昨年には一時1ドル40ペソにまで
現在も1ドル30ペソ後半と
10年前の約10分の1という低い水準での取引となっている。
その影響で物価指数の上昇。
前年同月比で50%も高くなっている。
八方ふさがりにも思えるアルゼンチン経済。
しかし今ある変化が見え始めている。

首都ブエノスアイレスにある印刷会社。
企業向けにカレンダーや会計用の書類などを印刷しているが
2010年に1,400社あった取引先が
今では400社にまで減るなど業績が落ち込んでいる。
(印刷会社 経営者)
「注文の量が激減しました。」
去年から今年にかけて人件費を減らすため12人いた従業員のうち4人を解雇した。
それでも通貨安により輸入する紙やインクの価格が2倍以上に跳ね上がり
厳しい経営を強いられている。
(印刷会社 経営者)
「今後よくなる見通しはありません。
 今はじっと耐える時期なのかもしれない。」
通貨安に苦しむアルゼンチンの人々。
ところが今その通貨安をチャンスに変える動きが出始めている。
ブエノスアイレス中心部にあるステーキ店。
最高級の肉やワインを楽しもうと連日多くの人が訪れ長蛇の列となっている。
人気の秘密は安さである。
最高級の牛肉のステーキは500g20ドル。
日本で注文すれば1万円以上するワインを一緒に頼んでも合わせて50ドル程度。
1年前の半分くらいの価格で楽しめる。
客の多くは外国からの観光客である。
(オーストラリアからの観光客)
「おいしい!
 大きくて誰かと分けてもいいくらいだわ。」
(アメリカからの観光客)
「すばらしい!
 柔らかくて最高だよ。
 完璧だ。」
(店長)
「いろいろな国から客が来ています。
 観光が好調で飲食業も繁盛しています。」
急激な通貨安は多くの外国人観光客を呼び込み
ここ3年その数は右肩上がりに伸びている。
観光客増加の流れを軌道に乗せようと行政も動き出している。
ブエノスアイレス市が企画したツアー。
元大統領夫人で国民の親しまれたエビータなど著名人のお墓をめぐるものである。
このツアー以外にもアルゼンチン料理の体験教室など50以上のツアーを企画し
できるだけ長く観光客に滞在してもらい
外貨獲得につなげていこうとしている。
(ブエノスアイレス観光担当者)
「ドル相場の変動は大歓迎です。
 観光業も増え
 我々には好都合です。」
観光に加えて外貨獲得のため今アルゼンチン政府が力を入れようとしているのが輸出の拡大である。
(アルゼンチン マクリ大統領)
「輸出の機会を増やしたい。
 輸出はこの国の鍵だ。」
政府の政策を受け
主要産品である牛肉など肉類の輸出は去年前の年と比べて39,8%も増えた。
さらに新たな輸出の動きも。
ブエノスアイレス郊外にある豚肉の加工工場。
アルゼンチンではこれまで豚肉の加工品は主に国内だけで消費されていた。
この会社には
通貨安で競争力のある今こそ海外へ売り出すチャンスだと
目を付けた日本企業が海外事業への参入を持ち掛けている。
(三井物産アルゼンチン)
「ここから輸出をして外貨を獲得することはアルゼンチン政府の制作でもあるので
 政府とも利害が一致していることをやっていきたい。」
(生ハム工場 責任者)
「今は輸出にとても有利な為替相場なので
 もっと商品の輸出に力を入れなくてはならない。




コメント

体の負担 最小限に “飛脚走り”

2019-03-08 07:00:00 | 報道/ニュース

2月16日 おはよう日本



沖縄県で開かれたマラソン大会。
1日で100キロを走り抜く過酷なレースである。
この大会に出場した群馬県安中市の田村雄次さん(61)。
一見どこにでもいる熟年ランナーだが
足元はわらじ。
自ら開発した“飛脚走り”を体当たりで実践しようというのである。
かつて日本中を駆け巡った飛脚。
1日に150キロ近く走った人もいたと言われ
田村さんはその走り方を再現しようとしている。
医師の田村さんがこの走り方に注目したのはおよそ10年前。
趣味のランニングでふくらはぎにけがをして走れなくなったことがきっかけだった。
何とかランニングを再開したいと考えていた田村さん。
休日 家庭菜園に向かう自分の姿にハッとした。
「そのまま飛脚ではないかと思い浮かんだ。」
棒を担ぐと自然と姿勢がよくなり
脇が締まる。
走ってみると棒が上下しないように無駄な上下の動きをしないようになった。
わらじや地下足袋にも秘密が。
現代のスポーツシューズと比べてクッション性がない分
足への衝撃を減らそうと小股で足を上げない走り方になったのである。
田村さんは
これこそ体の負担を最小限に抑える究極のフォームだと研究を重ね
“飛脚走り”と名付けた。
いまでは各地の大会に出場し
“怪我をしにくい省エネの走り方”として広めようとしている。
沖縄の100キロマラソン。
20キロを過ぎたところでようやく夜が明けた。
レースでは棒は担がないがフォームは体が覚えている。
「ちょうどフルマラソンの距離に来ました。」
40km地点(スタートから約4時間半後)。
ここでも疲れた様子は見えない。
快調なピッチでほかのランナーを抜いていく。
折り返し地点(スタートから約6時間後)に来た。
笑顔で会話を楽しむ余裕がある。
80km地点(スタートから約10時間半後)。
ここで田村さんは棒を担ぐポーズ。
疲れた時こそ基本のフォームを確認する。
「棒がないときも時々思い出して担ぐ格好をすると
 またいつもの形になれる。
 楽に走り始められるという感じがする。」
ゴール地点(スタートから約13時間半後)。
出場者の3割以上は脱落した。
田村さんは見事ゴール。
還暦を過ぎたランナーがわらじで100キロ完走した。
田村さんは今後もこの“飛脚走り”を多くの人に伝えたいと考えている。
(田村雄次さん)
「故障するランナーも多い。
 やめてしまうのが一番もったいない。
 走り方は人それぞれだが痛みが出にくいことと
 年をとってもこのくらいは走れるという走り。
 自分でももっと突き詰めていきたい。」




コメント

伝統を尊ぶ韓国の旧正月

2019-03-07 07:00:00 | 報道/ニュース

2月15日 キャッチ!世界のトップニュース


韓国では旧正月に親族一同が集まって新年を祝うのが伝統の習わしとなっている。
独特な礼儀作法や慣習は
国外から韓国に嫁いできた女性にとって大きな壁となっている。

旧正月を1週間後に控えたある日
韓国の旧正月の作法について学ぶ教室が開かれていた。
参加していたのは日本など5つの国から来たおよそ20人。
韓国人の男性と結婚して韓国に来たばかりの人から10年以上住んでいる人まで様々。
共通の悩みは旧正月の礼儀作法がよくわからないことである。
(ウズベキスタン出身の女性)
「難しい旧正月のあいさつを習いに来ました。」
(ベトナム出身の女性)
「旧正月について学べば韓国での生活にとても役に立ちます。」
儒教の影響が色濃く残る韓国では
目上の方を敬う伝統的な挨拶がとても大切にされている。
しかし近年 核家族化が進んだり国際結婚をする人が多くなったため
古いしきたりにふれる機会が少なくなり
挨拶の仕方を知らない人も増えている。
そのためこのような教室が人気を集めているという。
「背筋はまっすぐ伸ばして
 そのまま頭を下げます。
 肘を床につけるように。」
1回のおじぎにも細かな決まりがたくさんあって意外に大変である。
韓国人の男性と結婚して5年目になる活美さん。
3歳になる娘とともに
これまで見よう見まねで行ってきた韓国の伝統的な挨拶をきちんと習いたいと参加した。
(活美さん)
「“セベ”は新年のあいさつなんですが
 きょうはいちから学ぶことができたので
 娘も旧正月で今年はできるんじゃないかと思う。」
活美さんは韓国の文化に慣れてこれまで以上に夫の家族に溶け込みたいと考えている。
待ちに待った旧正月の連休。
活美さん一家は忠清南道(チョンチュンナムド)にある夫の実家にそろって帰省した。
夫の父親は7人兄弟。
その家族が旧正月には総勢50人近く集まる。
しかし一般的には韓国では親戚同士の結びつきが以前ほどなくなり
大人数で集まる家は少なくなっているという。
旧正月を祝う料理の買い出しも50人分となると大変である。
用意した食材は大量である。
食事は夫の伯母の指揮のもと親類の女性全員が協力して作る。
(活美さん)
「私は嫁という立場なので自ら進んで台所仕事を見つけて
 可愛がってもらえるようにするのが少し大変でした。」
(夫の叔母)
「一生懸命まねをしながら学ぼうと努力してくれました。
 教えなくてもよくできていましたよ。」
(活美さんの夫)
「僕の奥さんも韓国文化に慣れて
 大家族の1人になって
 楽しんでいる様子を見るのも本当に僕の喜びです。」
旧正月の当日。
まずは先祖を迎え入れるための供え物の準備をする。
供えるのは焼き魚や蒸し鶏など約20種類。
活美さんをはじめとする女性たちが1日かけて作った。
そして新年のあいさつである。
年長者の祖父母にみんなが順番に行う。
最初は祖父母の7人の息子たち。
次に7人の息子の妻。
続いて孫たちの番である。
活美さんも娘と一緒に教室で習ったばかりの韓国伝統のあいさつをする。
旧正月に欠かせない食事は
韓国もお餅である。
お餅を食べることによって1歳年とると言われている。
(活美さんの夫)
「お餅を食べながら新年に1歳年をとって
 元気でいられるよう願って
 家族と食べます。」
活美さんは親類一同で集まるこの時こそ
夫の家族の一員であることを実感できるという。
(活美さん)
「これだけ集まるのはなかなかないので
 大事にしていきたいと思います。」

 

コメント

空から考える 女性リーダー像

2019-03-06 07:00:00 | 報道/ニュース

2月13日 おはよう日本


アメリカ サンフランシスコ国際空港。
ユナイテッド航空の機長 デブラ・マッカウさん。
乗客300人の命を預かる究極のリーダーである。
マッカウさんは34年前にユナイテッド航空に入社。
当時パイロットはほとんどが男性だった。
(ユナイテッド航空 機長 デブラ・マッカウさん)
「女性であるために十分な経験もないのに採用されたと言われ憤りを感じていた。」
2児の母親として家事や子育てを両立させながら着実に経験を積み上げ
10年ほど前に大型機の機長になったマッカウさん。
リーダーとして大切なことは?
(ユナイテッド航空 機長 デブラ・マッカウさん)
「沈着冷静・親しみやすさ・自信
 相手との上手なコミュニケーションが大事。
 それらを大事にしたことで機長という全体を決める立場になることができた。」
飛行中にはリーダーの決断力が問われる場面がある。
以前 フライト中に乗客の中に急病人が発生。
最も近くかつ最短時間で再び目的地に向かうには
どこに緊急着陸するのがベストか。
マッカウさんは空港側とも緊密に連携を取り迅速に決断。
そして乗客の側に立ったアナウンスを心掛けたという。
(ユナイテッド航空 機長 デブラ・マッカウさん)
「機内に自分の家族・友人が乗っていると想像してアナウンスをした。
 どんな内容を知りたいか
 正直に情報を出す
 その結果 安心してもらえればと思っている。」
去年マッカウさんは日本を訪問。
女性のキャリア形成に関するシンポジウムで若者にメッセージを送った。
(ユナイテッド航空 機長 デブラ・マッカウさん)
「自分に自信を持ち
 自分がしていることを愛してください。」
世界の空を飛び続ける
リーダーは良い聞き手であることが最も重要だという。
(ユナイテッド航空 機長 デブラ・マッカウさん)
「部下がリーダーに質問するのが怖いという状況を作らないことが大事。
 そしてリーダーは部下から質問されることを恐れないこと。
 リーダーはお互いコミュニケーションを気軽にできる環境を作ることが大事。」



コメント

ドイツ ロシア パイプラインをめぐる米との攻防

2019-03-05 07:00:00 | 報道/ニュース

2月12日 キャッチ!世界のトップニュース



新たな天然ガスのパイプライン ノルドストリーム2
バルト海の海底を通ってロシアとドイツを直接結ぶ
全長11,200キロ余のパイプラインである。
ロシア最大の政府系ガス会社ガスプロムが西ヨーロッパの大手エネルギー企業5社とともに
今年末の稼働開始を目指して整備を進めている。
このパイプラインの完成に大きな期待をかけてきたのがドイツである。
(ドイツ メルケル首相)
「ノルドストリーム2はヨーロッパのガス供給に大きな役割を果たすでしょう。
 ロシアとの交渉は喜ばしいことです。」
産業界も政府の方針を支持してきた。
ドイツ東部で合成樹脂などを製造している化学工場。
使用する電力は輸入した天然ガスによる自家発電などで賄っている。
この工場では樹脂を製造する過程で人口3万人の都市の年間使用量に匹敵する大量の電気を消費する。
そのコストは売り上げの7%にのぼり
経営を左右。
そのため価格の安いロシア産のガスは不可欠になっているという。
(化学メーカー 社長)
「ガスの供給量が増えれば価格はさらに下がります。
 ノルドストリーム2の建設は良い決定だと思います。」
こうしたドイツの姿勢に不信感を募らせているのがロシアと距離を置く東ヨーロッパの国々である。
ロシアへの警戒感は5年前のロシアによるクリミア併合をきっかけに急激に高まった。
去年11月にはクリミア沖でウクライナの艦船がロシアに拿捕される事件が起き
プーチン大統領の強硬な姿勢に軟化の兆しはない。
ロシアは過去にウクライナとの対立から天然ガスの提供をたびたび停止。
ウクライナ経由でロシアからガスを輸入している東ヨーロッパの国々を中心に
天然ガスが不足する事態もあった。
そのためドイツの隣国ポーランドはロシアへのエネルギー依存から脱却を図ってきた。
クリミア併合を受けてLNG(液化天然ガス)の輸入基地を建設。
4年前に中東のカタールから
そして一昨年アメリカからLNG(液化天然ガス)の輸入を始めた。
ポーランド政府はノルドストリーム2の建設はこうしたポーランドの努力に逆行すると考えている。
(ポーランド グリグラス議員)
「ロシアは隣国にガスを使って脅かしをかけているのです。
 ポーランドの経験を見ればガスの調達先を多様化すべきことがわかるでしょう。」
こうした東ヨーロッパ諸国の不満をバックに
今回のパイプライン計画に強く反対しているのがアメリカである。
トランプ大統領は2017年
大統領選挙へのサイバー攻撃やウクライナ情勢をめぐり
ロシアへ制裁を科す法案に署名。
ロシアがエネルギーを輸出するパイプラインの建設にかかわる企業に対し制裁を科すことが盛り込まれ
建設に圧力をかけてきた。
それでも計画を進めるドイツに対しトランプ大統領は
ドイツがロシアへのエネルギー依存を強めれば“安全保障上の脅威となる”と
繰り返し批判してきた。
(アメリカ トランプ大統領)
「これは悲劇だ。
 ドイツなどから何億ドルもの金がロシアの国庫に入る。
 これではロシアの言いなりだ。」
こうしたなかアメリカは1月
ドイツに駐在するアメリカ大使が
パイプラインの建設に資金を提供するドイツのエネルギー会社2社に直接書簡を送り
“制裁を科す可能性がある”と警告したのである。
ドイツの経済界の代表は書簡に不快感を示しつつ“アメリカとの対話が必要だ”としている。
(ドイツ財界東方連盟 ハルムス会長)
「対話で共通の立場を見出していくことが
 警告や制裁という脅し文句より好ましいです。」
パイプラインをめぐって深まるアメリカとの溝。
そしてヨーロッパ内の対立。
しかしメルケル首相は「建設は続ける」と繰り返して表明している。
(ドイツ メルケル首相)
「私たちはロシアだけに依存したいとは決して思っていませんが
 ロシアは冷戦中も重要なガス供給国であり
 これからのそれは変わらない。」

 

 

コメント

出世猫 さんじゅーろーの冬

2019-03-04 07:00:00 | 報道/ニュース

2月12日 おはよう日本


備中松山城城主 猫のさんじゅーろー
高さ430mの山の頂にある備中松山城は
その幻想的な姿から「天空の城」とも呼ばれている。
鎌倉時代から続く歴史ある城である。
お城まで歩いて30分から1時間はかかるが
さんじゅ―ろーを見ようと多くの人が訪れる。
「横浜から来ました。」
「住んでいるところは静岡の浜松で
 さんじゅーろーくん目当てで来ました。」
余は野良猫から城主になったんじゃ。
これまでのいきさつと日常を語ろうかのう。
どこで生まれたんかは覚えとらん。
ちょっとは人の世話にもなっとったけど基本的にはのんびり過ごしてきたんじゃ。
あれは去年の7月。
豪雨が街を襲ったんよ。
もうびっくりしてワケわからんうちにたどり着いたんがこの城じゃ。
城に呼ばれたんかのう。
豪雨災害の影響で城の観光客は激減した。
そこに現れたのが1匹の猫。
自由気ままな姿が話題になり
城は活気を取り戻した。
城のスタッフは「さんじゅーろー」と名付けて大切にもてなした。
そして去年12月
招き猫としての功績が認められ城主の座に就いた。
城主自ら客と触れ合う。
岡山市に住む中学2年生のまい子さん。
さんじゅ―ろーにひそかに思いを寄せてきた。
幼いころ猫アレルギーだったまい子さん。
以来 猫は苦手だった。
(祖母)
「猫を触ると湿疹が出ていたのですごくかわいそうでした。」
将来 学校の先生を目指しているまい子さんは
苦手なものを1つでもなくしたいと考えていた。
去年の秋 新聞に載っていたさんじゅ―ろーの写真を見て
“子猫だったら触っても大丈夫かもしれない”と思った。
初めてさんじゅ―ろーのもとを訪れた。
近づくまい子さん。
さんじゅ―ろーを抱きしめる。
猫の苦手意識を克服したばかりでなくすっかり虜になった。
(まい子さん)
「特別なものになったと思います。
 もっと自分に自信をもって頑張っていきたいです。」
推定3歳
オスの猫 さんじゅ―ろー。
城主としての務めは始まったばかりである。
みんな
城で待っとるぞよ。

さんじゅ―ろーは午前10時と午後2時に城の見回りを行っている。





コメント

イラン革命40年 文化通じた民間交流

2019-03-03 07:00:00 | 報道/ニュース

2月12日 おはよう日本


アメリカがイランへの経済制裁を強め
日本企業も事業の縮小を余儀なくされるなか
イランと日本の間では伝統文化を通じた草の根の交流が脈々と続いている。

美術品をめぐって様々な事件が巻き起こる人気漫画「ギャラリー・フェイク」。
その中でイランを代表する幻の陶器としてとりあげられたのがラスター彩(さい)である。
ペルシャ陶器の最高峰とされ
歴代の王朝に愛されてきたが
異民族による侵攻などで長い間その技法は途絶えてきた。
この技術を復活させたのは日本人だった。
人間国宝で2005年に亡くなった陶芸家の加藤卓男さんである。
20年の及ぶ試行錯誤の末の偉業だった。
技術を継承したのが長男の加藤幸兵衛さんである。
2016年にイランで展示会を開いたところ予想を超える反響があったという。
(陶芸家 加藤幸兵衛さん)
「一般市民からも反響があった。
 大勢の陶芸家も“ぜひ勉強したい”と
 “日本人が復元したラスター彩を教えてほしい”と。」
その後加藤さんはイランの陶芸家たちを日本に招きラスター彩の技術を伝える取り組みを始めた。
加藤さんはこうした交流を続けていくことが日本とイランにとって大切だと考えている。
(陶芸家 加藤幸兵衛さん)
「今はイスラム革命後40年で
 イスラム教の戒律を重視する社会的な風潮だが
 文化交流 政治交流を含めて
 お互いその地域のリーダーシップをとる国。
 関係を密にしていきたい。」
ビジネスを通じてイランの文化を日本に広めたいと活動する人もいる。
ペルシャじゅうたんなどを販売する大熊直子さん。
月に1度イランに買い付けに訪れている。
いま注目しているのがイラン南部の遊牧民伝統のギャッベである。
幾何学的な模様ではなく大自然をそのまま描いているのが特徴である。
(ペルシャじゅうたん販売 大熊直子さん)
「柄から見ても
 世代関係なく若い人から高齢者まで受け入れてもらえる柄。」
帰国した大熊さんはギャッベを多くの人に紹介しようと日本各地で展示会を開いている。
「遊牧民の人たちが思いを込めて織っているじゅうたん。」
大熊さんはイランが国際的に孤立している今だからこそ
民間での交流が両国の関係の土台になると考えている。
(ペルシャじゅうたん販売 大熊直子さん)
「イランの商品
 きれいなじゅうたんを日本に紹介する。
 また今回こういうじゅうたんが日本の人に喜んでもらえたと
 イラン側に伝えるのが私の仕事。」
 
 

コメント

米 好景気で“幽霊”ぞろぞろ

2019-03-02 07:00:00 | 報道/ニュース

2月7日 おはよう日本



アメリカ西海岸 ロサンゼルス。
幽霊の出没が相次いでいる。
街の人は・・・
「“幽霊”になった人を知っている。」
「“幽霊”は珍しくないよ。」
この幽霊
“ほかにもっと待遇がいい職場があるから”と
連絡せずにいなくなる従業員のことを意味する俗語である。
アメリカのFRB(連邦人美制度理事会)までもが地域経済報告書でこの言葉を使っている。
“人手不足が深刻な状況で
 ゴースト(幽霊)の被害にあったという企業も報告された”と指摘している。
被害にあったハンバーガーチェーン。
現在3つある店舗を拡大中で従業員の確保が課題となっている。
(「ブランドパワー・ファーストフード」創業者)
「ファーストフード店の従業員は初めて働くような若者が多い。
 うちでも“幽霊”が出て残念だよ。」
28歳のバクタさん。
去年ネット通販の倉庫や日用品の量販店などを会社に告げずに相次いで辞めた
筋金入りの“幽霊”である。
(筋金入りの“幽霊” バクタさん)
「仕事で“幽霊”になるのはごく自然。
 おもしろくなければすぐに辞めるさ。
 ほかにもっと待遇のいい職場があるのではないかと思っちゃうよね。」
(母親)
「仕事にはしっかり集中して責任感を持たないとだめよ。」
企業は人手不足への対応に追われている。
警備会社は頻繁に就職説明会を開いているが間に合っていない。
(警備会社 採用担当)
「いまロサンゼルス西部だけで60人を募集している。
 常時 採用を受け付けている。」
一方サンフランシスコのレストランは
従業員を引き留めるためスマホアプリを活用している。
最大の特徴は“みんなの前で褒める”ことができる点。
進んでほかの人を手伝った時には“素晴らしい仕事だ”というメッセージが全員に伝わる。
モチベーションアップにつなげるのが狙いである。
(従業員)
「アプリで褒められると
 誰かの役に立っていると感じてうれしい。」
(レストラン「キタヴァ」オーナー)
「人手不足でよい人材を確保し続けるのは難しい。
 従業員に感謝を伝えるためコミュニケーションをとることが大切だ。」
いまは景気がいいアメリカだが先行き不安も出ている。
若者たちが“幽霊”でいられる日々はそう長くはないかもしれない。


 

コメント