2月26日 キャッチ!世界のトップニュース
1980年代から
カナダやアイルランド
チリなど
世界各地で相次いで明るみに出たカトリック教会の聖職者による性的虐待。
去年8月には
”アメリカ東部で合わせて301人の聖職者が
70年近くにわたり1,000人を超える未成年者に性的虐待をしていた”
と地元の検察が発表し
世界的に大きなニュースになった。
バチカンではフランシスコ法王自らが先頭に立ってこの問題に向き合おうとしている。
聖職者による未成年者への性的虐待をテーマに開かれた会議。
世界各国のカトリック教会の司教ら約190人が参加して対策を話し合う初めての機会となった。
会議を呼び掛けたフランシスコ法王。
冒頭から強い危機感とともに性的虐待の問題に取り組む決意を表明した。
(ローマ・カトリック教会 フランシスコ法王)
「求められているのはありきたりな非難の言葉ではなく
具体的で効果的な対策です。」
会議では
教会が説明責任を果たすことや対応の透明性を確保することの重要性を議論。
過去に虐待を隠ぺいしてきたことへの反省の声も出た。
(フィリピンの枢機卿)
「教会や加害者を守るために被害者を拒否し虐待を隠したことは
被害者の苦しみに十分にこたえられなかっただけでなく
我々が奉仕すべき人々を深く傷つけました。」
今回の会議は多くの面で異例づくしとなった。
主催したローマ法王庁は
世界各国から集まった記者向けに毎日ブリーフィングを実施し
透明性をアピール。
さらに会議に合わせて特設のjサイトを開設。
性的虐待の被害者と実際に会って話を聞いた聖職者がその経験を語るビデオを公開するなど
被害者に寄り添う姿勢を強調した。
しかしカトリック教会に注がれる目はかつてなく厳しくなっている。
会議に合わせて行われた抗議デモ。
主催したのは過去に聖職者による性的虐待を受けたという被害者たちで作る団体である。
ドイツやイタリア、ニュージーランドなど
各国から被害者と関係者が参加した。
掲げたのは数字の「0」が描かれたプラカード。
“性的虐待を一切許さない”という意味を込めている。
過去に虐待や隠ぺいを行った聖職者に対し厳しい処分をするよう声を上げた。
デモに参加した被害者のひとり
イタリア北部で暮らすバッタリアさん。
(バッタリアさん)
「教会は内部で起きる性的虐待を止められません。
教会に対してもう希望はありません。」
バッタリアさんが地元の司祭から性的虐待を受けたのは15歳のときだった。
司祭の家で宗教行事の準備を手伝った後に襲われたという。
信心深い家庭に育ったバッタリアさん。
地元で信頼の厚い教会の司祭に虐待されたことを誰にも言えず悩み続けた。
告白できたのは18歳になってからだった。
自殺を図り運ばれた病院で初めて家族や警察に伝えた。
(バッタリアさん)
「大変つらい3年間でした。
私の地元は聖職者による虐待の事実を認めませんでした。
どうしたらよいかわからなかったんです。」
バッタリアさんの訴えを受けて警察は捜査を開始。
ミラノの裁判所は去年9月
無実を主張していた司祭に対し
性的虐待の罪で
禁錮6年4か月の有罪判決を言い渡した。
一方で内部調査を約束したローマ法王庁は
司祭に処分を下したのかどうかも含め
今も何も明らかにしていない。
会議の最終日
法王は性的虐待を“悪魔”になぞらえ
虐待の根絶に全力を挙げる姿勢を強調した。
(ローマ・カトリック教会 フランシスコ法王)
「必要な対策をすべて導入して“悪魔”の根絶に取り組む時がきた。」
法王の演説を読むバッタリアさんたち。
しかし厳しい処分など自分たちが求めた具体的な対策は書かれていなかった。
(バッタリアさん)
「ローマ法王の演説は陳腐な言葉と役に立たない内容ばかり。
満足できません。
これは私が信じてきた教会ではありません。」