2月22日 キャッチ!世界のトップニュース
近年多くの人が写真をSNSソーシャルネットワークに投稿・共有しているが
“インスタ映え”などと呼ばれる特別な写真を撮るために行き過ぎた行為に及ぶ人も少なくなく
野生動物がその被害にあっている。
そうした野生動物の被害を少しでも防ごうと
オーストラリアの観光地ではある試みが始まっている。
大自然の中で記念写真を撮る人々。
タスマニア州のマリア島。
イギリスの植民地時代に流刑地として使われ
今でも手つかずの自然が残されている。
広さ115㎡の島全体が国立公園に指定されていて
カンガルーをはじめとした有袋類や珍しい鳥などが生息している。
こうした動物との自撮りなど観光客が撮影した写真がSNSで人気を呼ぶなど
ここ数年で訪れる人が急増。
2017年度は年間3万1,000人と
3年前より50%近く増えた。
(観光客)
「ウォンバットが大好きで
どうすれば会えるか調べてきました。」
「素晴らしい島です。
自然を体験でき
子どもにカンガルーなど見せられます。」
しかしその一方でいま野生動物との写真撮影が新たな問題になっている。
動物に異常に接近したり
むやみに触ったり
自撮り棒で追いかけたりするため
動物にストレスが加わり
その生態への異教も懸念されているのである。
とりわけ被害にあっているのが島に100匹あまり生息している有袋類のウォンバットである。
(国立公園 担当者)
「“触らないで”と言っても5分後には同じことをしています。
写真を撮るためです。
動物を悩ませ苦しめる危険性があります。」
そうしたなか去年末
行き過ぎた撮影などから動物を守ろうという試みが始まった。
それが観光客に野生動物を尊重してもらう「マリア島宣誓」の導入である。
宣誓文には
自撮り棒で追いかけたりしません
取り囲んだり抱き上げたりしません
責任感を持って探し回ることを誓います
など
ウォンバットを中心に島の動物に不適切な行為をしないことが盛り込まれている。
宣誓を導入した地元観光グループのトゥービーさん。
罰金を科して行き過ぎた行為を防ぐよりも
観光客に自ら動物のことを考えてもらいたいという。
(地元観光グループ トゥービーさん)
「誰でも休暇中は前向きな体験がしたいし
強制的に行動を指図されたくありません。
動物保護について人々を啓発するために
宣誓がより良い方法になればと思いました。」
観光案内所などに協力を求めてきたトゥービーさん。
この日は宣誓をPRするためウォンバットが描かれたバッチを届けた。
観光客がバッチに興味を示したところでタブレットを使って宣誓について説明する。
どのような行為が動物に悪影響をもたらすのか教えると
その場で署名してもらえた。
(観光客)
「宣誓を支持します。
島で出会う動物との接し方について考えるきっかけになると思います。」
「宣誓を守り
美しい島と生息する動物を守らなければいけないと思いました。」
トゥービーさんは
今後
島へ渡る船を予約する際に宣誓を促す仕組みづくりなども進めていきたいと考えている。
(トゥービーさん)
「島に向かう全ての人が宣誓を受け入れ
動物たちを悩ませたり
自撮り棒で追い回さないようになれば
うれしいです。」
トゥービーさんたちの活動を受け
国立公園の管理当局でも観光客への働き掛けを強めている。
その1つが島へ渡る船での動物紹介である。
当局のレンジャーがウォンバットの剥製を持ち込み
特徴や接し方を説明したうえで宣誓を促している。
剥製を使って感触を確かめてもらうことで
生きている個体に近づきたい欲求を抑え
宣誓を守りやすくするのが狙いである。
さらに島では観光客が宣誓をしたか声をかけて確認している。
特に気にかけているのが英語を母国語としない外国人観光客である。
中国語を話す観光客が増えていることから
スマートフォンを使って
宣誓が中国語で書かれたページを紹介し
理解を求める。
その場で快く署名する人も。
(観光客)
「宣誓は重要です。
ウォンバットにさわれないことは知りませんでした。
ウォンバットは大事にすべきです。」
(当局のレンジャー)
「“マリア島宣誓”は島でしてよいことと悪いことを教える本当に良い方法です。
観光客も島の生態を守り
動物を尊重することができます。」