2月21日 編集手帳
国民性はジョークのタネになる。
世界的によく知られるものの一つがこれだろう。
豪華客船が沈み始め、
船長は外国人乗客に脱出を促すことになった。
さてどうやるか?
アメリカ人へ。
「飛び込めばあなたは英雄ですぞ」。
イギリス人へ。
「飛び込めばあなたは紳士ですよ」。
ドイツ人へ。
「飛び込むのがこの船の規則です」。
イタリア人へ。
「飛び込むと女性にもてますよ」
このなかの国の一つが従来のスマートなイメージをか細く見せていることは確かだろう。
イギリスである。
3月29日に迫る欧州連合(EU)からの離脱を巡り、
混迷が深まっている。
英下院では先ごろ、
離脱条件などを定めたEUとの協定案が圧倒的多数で否決された。
貿易ルールも定まりかねる国から、
企業が相次ぎ撤退するのは当然だろう。
さながら沈み始めた伝統と格式ある客船から逃げようと、
海に飛び込む光景に見えなくもない。
そこにホンダが欧州唯一の工場を閉鎖すると表明し、
さらに波しぶきを立てた。
ほかの日系企業の動向も注視されよう。
ちなみに前述のジョークの日本人版は、
「みんな飛び込んでますよ」である。