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脱原発のドイツ 進む蓄電技術

2017-02-10 07:15:00 | 報道/ニュース

1月24日 キャッチ!


2011年に発生した東京電力の福島原発の事故を受けて
ドイツでは脱原発政策を進めている。
原発で発電された電力は全体の13,1%に減少する一方で
再生可能エネルギーによる発電の割合は29,5%と過去最高を記録した。
ただ風や太陽に頼る再生可能エネルギーは発電量が安定しないのが最大の欠点といえ
電力の安定供給をどう保つかがいま大きな課題となっている。

デュイスブルグにあるドイツの大手電機会社の敷地に並ぶコンテナ。
ドイツ西部で12月に稼働した大型の蓄電池施設である。
コンテナの中にはずらりと蓄電池が並んでいる。
この企業は約1億ユーロ(120億円)かけて6か所に蓄電池施設を設置した。
合計の出力はドイツで最大規模の9万キロワットにのぼる。
この蓄電施設は電力の安定供給のために使われている。
電力の供給は需要に合わせることが常に必要で
供給と需要のバランスが大きく崩れると
最悪の場合大規模な停電が起きて市民生活に大きな影響が出る。
気象条件によって発電量が大きく変動する
太陽光や風力などの自然エネルギーによる発電が拡大しているため
電力供給の調整がより困難になっている。 
そのためこれまでは発電量の制御がしやすい火力発電所が使われてきたが
最近はそれに加え
開発が進んだ蓄電池への期待が高まっている。
(電力会社責任者 ミヒャエル・ミュール氏)
「火力発電所も蓄電池と同じように電力安定化の役に立ちますが
 蓄電池の方が柔軟に対応できます。」 
蓄電池の分野で急成長している企業がドイツ南部にある。
ドイツ語で太陽を意味するゾンネン社。
家庭用のリチウムイオン電池と制御装置の一体化システムを製造している。
蓄電池の価格がこの5年で約5分の1になったことや
蓄電池の購入に政府の補助金がもらえることなどから
これまでにドイツ国内で1万台以上売り上げたという。
7年前の創業時に5人だった従業員は160人になった。
去年秋に太陽光パネルとゾンネン社のシステムを購入したトーマス・フルーガーさん。
妻と子どもの5人家族である。
設備すべての購入費は約290万円。
このうち23万円ほどは政府からの補助金である。
太陽光で作って使い切れなかった電機は蓄電池に貯め
夜間や雨の日に使うことができるようになった。
家庭で使う約8割の電気を自給できるようになり
電気代が年間17万円安くなるという。
顧客が自家発電で賄いきれない電気はゾンネン社が通常より安い価格で販売する。
なぜ電気代を安くできるのか。
ゾンネン社の顧客の蓄電池はネットワーク化され一般の送電線とつながっている。
送電線に電力が余剰に流れ込んだ時はネットワーク内の蓄電池に電力を貯め
足りない時はそこから電力を提供する。
そうすることで一般の送電線の需給バランスを安定させ
電気料金を抑えることができるのである。
(ゾンネン社CEO オリバー・コッホ氏)
「ドイツには送電網の安定化についての電力市場があるので
 利益を顧客に還元できるのです。」
さらに蓄電池よりも安く大量のエネルギーを貯める新たな方法の研究開発も進んでいる。
ドイツ最大の研究機関が目をつけたのは海上の風力発電施設の近くの海底である。
海底に設置するのは
中に海水を貯められる直径30メートルの巨大なコンクリートの球体。
電力の需要が低い時には
余剰電力でポンプタービンを回して海水を外部へ出す。
反対に電力の需要が高い時には
自然に内部に入る海水の力でポンプタービンを回して発電するという仕組みである。
いわば水の出し入れでエネルギーをためるこの方法。
すでに陸上では貯水池に水をくみあげて行う発電がおこなわれているが
水中ではまだ無い。
去年11月には
実際の大きさの10分の1の直径3メートルのコンクリートの球体を使って
南部のボーデン湖で実験が行われた。
研究機関によると
実験ではコンクリートボールが想定通り発電することを確認したということである。
今後は規模を拡大してさらに実証実験を行い
10年後の実用化を目指したいとしている。 
(フラウンホーファー研究所 ヨッヘン・バート氏)
「費用対効果に優れたこの技術には大きな可能性がありますし
 世界中の海岸で設置できる場所もわかっています。」





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