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災害医療 海を越えて

2017-02-01 07:15:00 | 報道/ニュース

1月18日 国際報道2017


震災から生まれた日本の災害医療のあり方が
いま海を越えて東南アジアの国々でも共有され始めている。

タイの首都バンコクの近郊で行われた災害医療の訓練。
ASEAN各国の関係者が参加した。
大規模な洪水が起きてけが人が次々に搬送されてきたという想定の訓練では
東南アジア各国の医療関係者が共に治療の手順を確認。
この訓練を企画したのはタイのウィワット・スィータマノ医師である。
(ウィワット医師)
「ASEAN各国の医師が一緒に訓練するのは初めてです。」
ウィワットさんがこの訓練を行おうと思ったのは
インド洋大津波での苦い経験があったからである。
22万人以上が犠牲になった2004年のインド洋大津波。
当時 ウィワットさんが勤務していたタイ南部のプーケットでも多くの死者が出た。
たくさんの医療関係者が集まっていたにもかかわらず
災害現場という過酷な状況での医療行為のノウハウを持っていなかったのである。
(ウィワット医師)
「多くの人が亡くなり
 家族や大切な人を失いました。
 災害医療の知識がなく十分な支援ができなかったからです。」
被災地の現場で適切な治療を行うことができれば
避けられた災害死があったのではないか。
ウィワットさんは9年前に日本でJICA国際協力機構が行った災害医療の件数に参加した。
そこで知ったのが
災害医療の専門の知識を持つ医師や看護師のチームDMATの存在だった。
阪神淡路大震災で災害医療の知識が不足していたために医療活動が遅れた
という指摘から全国に作られた。
ウィワットさんは仲間の医師に呼び掛け
タイ版DMATを創設。
現在ではタイ全域に訓練を受けた医師たちが配置され
洪水や土砂崩れなどの被災地で活躍している。
今回の目標は東南アジア全体の災害医療のレベルアップである。
ラオスやカンボジアなど一部の国では災害医療の経験がほとんどない。
訓練では自然災害特有の怪我に対する応急処置の方法を確認。
またホワイトボードや共通の記入用紙を使うことで
混乱した現場でも負傷者の情報を共有する方法などを学んでいった。
(ラオスからの参加者)
「災害時に負傷者を助けるために
 共通のシステムが必要なことを学びました。」
(ウィワット医師)
「レベルの高い国もあれば
 そうでもない国もあります。
 これからの災害医療の共通基準や連携体制を作り
 個々の医療関係者のスキルアップをしていかなければなりません。」
避けられた災害死をなくしたい。
過去の反省を生かそうとウィワットさんたちの挑戦は続いている。



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