古典力学と量子力学の考え方の主な違いは、次の三点です。
一つ目。古典力学が「エネルギーなどのすべての物理量は、連続量である」と考えるのに対して、量子力学は「エネルギーは、連続量ではなく、とびとびの値しかとりえない」と考えます。連続量ととびとびの値の違いは、アナログ時計とデジタル時計を思い浮かべれば分かりやすいのではないでしょうか。
二つ目。古典力学が「光は波の一種である」と考えるのに対して、量子力学は「光は波であるが粒子としてもふるまう」と考えます。
ニュートン以来、光は粒子であるという考え方が主流でした。ところが1800年の「ヤングの実験」によって光が干渉することが発見されました。お互いに強め合う場所と弱めあう場所が生じる干渉は、波特有の現象なので、当実験をきっかけに「光は波である」という考え方が主流となったのです。
で、19世紀末に、金属の表面に光を当てると電子が飛び出す「光電効果」という現象が周知されることになり、「光は波である」という古典物理学では、その現象をうまく説明することができませんでした。
1905年、アインシュタインは、光は粒子としてもふるまうという内容の「光量子仮説」を発表し、「光電効果」をうまく説明できるようになりました(詳細については、いずれ触れましょう)。
三つ目。古典物理学が「物質は粒子でできている」と考えるのに対して、量子力学は「物質は粒子であるが波としてもふるまう」と考えます。
以上のように、古典物理学の考え方は、マクロな世界に生きるわれわれの常識感覚に合致しますが、目に見えないミクロな現象をうまく説明することができないのです。それに対して、量子力学の考え方は、われわれの常識感覚に反するのですが、ミクロな世界を説明することができます。
高校物理解説講義:「量子力学の概論」講義2
高校物理解説講義:「量子力学の概論」講義3