J.Jトムソンは、1879年に電子の比電荷の測定に成功しました。電子の比電荷とは、電子の質量をm、電子の電荷(電気量)をeとすると、e/mつまりe÷m です。トムソンによってまず電子の比電荷が測定され、次にミリカンの実験によって電子の電荷が求められ、最後に電子の質量が計算で求められました。
では、電子の比電荷はどのような実験によって求められたのでしょうか。
適切な図が見当たらなかったので、自家製の雑ぱくな図でかんべんしてください。
まずは、電子が飛び出す必要があります。フィラメントという金属に電流を流し加熱し電圧を加えると、フィラメントから電子が飛び出します。このまま何もしなければ電子は直進しAのポイントで蛍光を発します。ここで上の図のような位置に電圧を加えると(電場を作ると)、電子はマイナスの電荷を帯びているので、上に曲がります。そうして、電場から外へ出ると等速直線運動をして、蛍光面にぶつかり、Aから上にズレたところで蛍光を発します。加える電圧の大きさを変えると蛍光とAとのずれの大きさが変わります(ちなみに、これがブラウン管テレビの原理です)。
では、この実験装置でどうやって比電荷が求められるのか、次回に数式を使って具体的に見てゆきましょう。
ざっくりと言えば、荷電粒子の比電荷は,電場・磁場内におけるその粒子の軌道を測定すれば求めることができます。
高校物理解説講義:「電子の発見」講義3