美津島明編集「直言の宴」

政治・経済・思想・文化全般をカヴァーした言論を展開します。

欧米社会において、赤毛は差別の対象である  (イザ!ブログ 2013・9・6 掲載)

2013年12月21日 23時00分56秒 | 文化
欧米社会において、赤毛は差別の対象である



今日のBBC放送で、赤毛の人々が一堂に会するイベントの模様が放送されていました。そのなかで、参加者の幾人かがインタヴューに応えていました。彼らは、「赤毛なのは自分だけじゃないんだと思った」とか「これからは赤毛であることを誇りに思って生きていきたい」などと言っていました。そういう発言に触れてはじめて、私は気づきました。「へえ、赤毛って、欧米社会では差別されているんだ」と。これまで私は、赤毛が差別の対象であることをまったく知らなかったし、ましてや、そのことについて考えたこともありませんでした。赤毛も栗毛も金髪も、そんなに違いがあるとは、アジア人である私の目には映りません。

赤毛は本当に差別されているのか。そうして、差別されているとすれば、それはなぜなのか。また、どんなふうに差別されているのか。疑問が、どんどん湧いてきます。

Wikipediaには、赤毛について次のような記載があります。

赤毛の人を指す英語にginger、ginga(ジンジャー)という呼び方があるが、これは差別的な意味合いを含んだ悪い言葉である。古くからイギリス人の間には、赤毛の人に対する根強い偏見があった。赤毛の者は皮膚のメラニン色素が少ないため、一般的な白人と比べて皮膚の色が薄く顔色が青白い傾向にある。体質的に紫外線に対して過敏なため光線過敏になりやすく、顔面のそばかすや体のシミができ易い。これらの要因が元となって昔からイギリスでは、「赤毛は体質的に虚弱になりやすく、遺伝的にハンデがある」といった事実から来る差別が根付いていた。イギリスほどではないが、イギリス文化の影響を受けたアメリカやカナダでは、「赤毛のアン」の赤毛の主人公の扱いに見られるように赤毛に対する偏見が残っていたようである。

英国を中心に、欧米社会ではやはり赤毛に対する差別感情が古くからあるようです。その理由も上の記述からうかがえます。赤毛の人は、一般的に顔色があまりよくなくて、しかも顔のそばかすや体のシミができやすい、という見た目のハンディが、どうやら理由のようです。そういえば『赤毛のアン』の女主人公は、自分の赤毛を嫌っていて、しょっちゅう嘆いていますね。また、青白くて、そばかすだらけの顔をしていると描写されています。彼女が金髪ではなくて黒髪に憧れているのはちょっと意外な気がしますけれど。そう思うのは、私の白人コンプレックスのなせる業でしょうか。

また、赤毛に対する差別感情には、宗教上の理由も考えられるとのこと。嫉妬にかられて弟のアベルを殺したカインや、イエス・キリストを銀貨三〇枚で時の権力に売った裏切り者のイスカリオテのユダが赤毛であったという伝承があるそうです。このふたりは、キリスト教圏であまり評判が良くないので、そのことが赤毛への差別感情につながったとのこと。確か聖書にはそういう記述はなかったはずなので、逆の事態も考えられます。つまり、もともと赤毛を蔑視する感情があったので、嫌われ者のカインとユダは赤毛であることにされてしまった、というふうに。また、中世における魔女狩りの対象となった女性に赤毛が多かったとも言われています。

いずれにしても、赤毛に対する差別感情は歴史的にとても古いことが分かります。BBC放送によれば、イギリスで赤毛率がもっとも高いのはスコットランドだそうで、うろ覚えですが、確か10人に1人は赤毛とのこと。もしかしたら、イングランドとスコットランドの長い角逐の歴史が、赤毛蔑視に影を落としているのかもしれませんね。

インターネットで、「燃えるような赤毛とそばかすキュートな赤毛美女の写真」というのを探しましたので、参考までにそのURLを掲げておきます。http://www.inspiration-gallery.net/2012/01/05/red-hair-beauty-107/ この写真を見るかぎり、上のWikipediaの引用文中にあるとおり、赤毛の女性にはそばかすのある人が多いようです。私としては正直なところそばかすがキュートとはどうしても感じられません。けれどなかには、はっとするような超色白の赤毛美女がいることも確かです。私としてはやはり、文化圏が異なるので当然のことなのでしょうが、赤毛と差別感情とはどうしても結びつきません。日本では、縮れ毛に対する漠然とした蔑視があるような気はしますけれど。ちなみに、私の中学時代の大親友だったKくんとSくんはいずれもはげしい縮れ毛でした。

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