前回の総選挙の直後に、私は以下の文章を「毒を喰らわば……」と題し、自分のミクシィ日記(現在は開店休業状況)に書きました(平成21年8月31日)。
読み返してみて、我ながら案外、民主党政権とその後の日本政治の展開の「読み」として、間違いがなかったことに少し自信を持ちました。
そこで読みにくい箇所に少し手を加え、美津島明さんのブログに改めて投稿します。
*******
「毒を喰らわば……」
総選挙は下馬評どおり、民主党の大勝、自民党の歴史的惨敗に終わった。事前予測で民主党の議席三百越えがマスコミで大騒ぎされていたので、別に驚きもしなかったけれど、一度も政権を担当したことのない党に、フリーハンドを渡すことに不安を覚える保守層の揺り返しも若干あろうかとも思った。が、前回の「小泉選挙」同様、勝ち馬に嬉々として乗るのが当世風なのだろう。
まぁー、麻生さんに同情する立場から見ても、選挙のタイミングを逸して土壇場になって解散に踏み切って大失敗だったという観は拭えない。民主党は単独で衆議院の安定多数を取ったのだから、当分は総選挙はないのだろう。そうなると保守派の一部で危惧されている外国人参政権問題や、現代の「治安維持法」人権擁護法の制定、国会図書館に「先の大戦」での日本の戦争犯罪を暴き立てるという「恒久平和調査局」を設置する案などは、どうなるのだろうか?
靖国神社と別個の無宗教国立戦没者墓苑の設立は選挙期間中にすでに次期(鳩山)首相が表明していたが、民主党内の保守派はこれに協力するのだろうか? 今はとりあえずその動向を見守るしかない。
安全保障面の不安も保守派から提出されている。連立を組む予定の社民党が非核三原則の法制化を、「悲願」だかなんだか知らないが提唱している。日本を「敵」と勝手に見なしている北朝鮮が核ミサイルを実戦配備しようというご時世にこんな浮世離れした提案をどうあしらうか? その辺で民主党の実力が問われそうだ。核政策で今の日本政府ができる、一杯一杯の政策は、核を「持たず、作らず、持ち込ませず」の、「持ち込ませず」を本当のような、そうでないような、やっぱり核となんらかの形でつきあっているというニュアンスを示すぐらいだろう。それともかつてアメリカが戦慄した「キューバ危機」のような状態に、本気で「空想的平和主義」のみで対峙するだけの気力があるのだろうか?
「緊密で対等な日米関係を築く」という民主党のマニフェストに不安を覚える向きもある。しかし、これは考えたら主権国家として当たり前の主張で、ではそれをどういう文脈で主張しているかという点に眼を向けるべきだ。たとえば現在、アメリカが日本からグアムへの膨大な米軍移転費用の負担を、日本に押しつけようとしている。こんなものは精査して、日本側が負担せざる得ないものと、そうでないものを、ちゃんとアメリカ側に説明すべきである。
別にアメリカは慈善事業で日本に軍事拠点を置いてきたわけではない。アメリカの世界戦略の必要から米軍基地を置いてきたまでだ。もちろんそれが日本の国益になるならそれはそれで仕方がないが、そのために日本の自主防衛体制が疎かになるのなら、なんの国益か解らなくなる。
自民党の安全保障政策には確かにそのきらいがあった。昨今、中国が毎年異常な軍事費増強を続けている。これに対し、近年日本の防衛費の削減が続き、この調子では数年後にはもはや中国の量を日本の質で守ることすらできない危機的状況にあるという。
これらのことはすべて自民党政権下で進んだことだ。そして更によく考えてみれば先に危惧された外国人参政権問題云々のことも、すでに自民党内で議論されてきたものだ。はっきりいって今の自民党と民主党に程度の差はあれ、どこに本質的違いがあるのだろう?
もっと言えば、所詮、政治屋(政治家にあらず)は、国民のレベルに合わせないと国会議員に成り上がれない。ということは、国民の「民度」の問題となってくる。
勝手な放言のようだけれど、実際ここまで来れば、「行き着く先まで歩いてみるしかないなぁー」、と考える。これからは、かつては日本的美質でもあった「日本的あいまいさ」ではすまない新たな世界へと、我が国も乗り出すしかないのだろう。
〔付記〕
私は、安倍晋三総裁に率いられた自民党が大勝したことを喜ぶ人間です。
経済には疎い者ですが、美津島さんのブログから教えられるように、今のデフレ不況を脱却するために安倍総裁がインフレターゲット政策を積極的に掲げていることに共感を持ちます。そして何よりも、安倍総裁の外交安保政策の多くの部分は、自分の考えと重なっています。
しかし、上記の「毒を喰らわば……」のなかで、民主党が社民党と連立を組んだおかげで、最初に安全保障政策で躓き、これがケチの付き初めとなって、やることなすことすべて裏目に出たように、「自公政権」という枠組みで、安倍総裁の政策のどれだけが実行できるか、不安も覚えています。
今回、先の文章を再び人の眼に晒そうと思ったのも、「自己満足」をしたかったからではまったく無く、安倍政権が、前民主党政権の轍を踏むことのないように願い、投稿しました。
読み返してみて、我ながら案外、民主党政権とその後の日本政治の展開の「読み」として、間違いがなかったことに少し自信を持ちました。
そこで読みにくい箇所に少し手を加え、美津島明さんのブログに改めて投稿します。
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「毒を喰らわば……」
総選挙は下馬評どおり、民主党の大勝、自民党の歴史的惨敗に終わった。事前予測で民主党の議席三百越えがマスコミで大騒ぎされていたので、別に驚きもしなかったけれど、一度も政権を担当したことのない党に、フリーハンドを渡すことに不安を覚える保守層の揺り返しも若干あろうかとも思った。が、前回の「小泉選挙」同様、勝ち馬に嬉々として乗るのが当世風なのだろう。
まぁー、麻生さんに同情する立場から見ても、選挙のタイミングを逸して土壇場になって解散に踏み切って大失敗だったという観は拭えない。民主党は単独で衆議院の安定多数を取ったのだから、当分は総選挙はないのだろう。そうなると保守派の一部で危惧されている外国人参政権問題や、現代の「治安維持法」人権擁護法の制定、国会図書館に「先の大戦」での日本の戦争犯罪を暴き立てるという「恒久平和調査局」を設置する案などは、どうなるのだろうか?
靖国神社と別個の無宗教国立戦没者墓苑の設立は選挙期間中にすでに次期(鳩山)首相が表明していたが、民主党内の保守派はこれに協力するのだろうか? 今はとりあえずその動向を見守るしかない。
安全保障面の不安も保守派から提出されている。連立を組む予定の社民党が非核三原則の法制化を、「悲願」だかなんだか知らないが提唱している。日本を「敵」と勝手に見なしている北朝鮮が核ミサイルを実戦配備しようというご時世にこんな浮世離れした提案をどうあしらうか? その辺で民主党の実力が問われそうだ。核政策で今の日本政府ができる、一杯一杯の政策は、核を「持たず、作らず、持ち込ませず」の、「持ち込ませず」を本当のような、そうでないような、やっぱり核となんらかの形でつきあっているというニュアンスを示すぐらいだろう。それともかつてアメリカが戦慄した「キューバ危機」のような状態に、本気で「空想的平和主義」のみで対峙するだけの気力があるのだろうか?
「緊密で対等な日米関係を築く」という民主党のマニフェストに不安を覚える向きもある。しかし、これは考えたら主権国家として当たり前の主張で、ではそれをどういう文脈で主張しているかという点に眼を向けるべきだ。たとえば現在、アメリカが日本からグアムへの膨大な米軍移転費用の負担を、日本に押しつけようとしている。こんなものは精査して、日本側が負担せざる得ないものと、そうでないものを、ちゃんとアメリカ側に説明すべきである。
別にアメリカは慈善事業で日本に軍事拠点を置いてきたわけではない。アメリカの世界戦略の必要から米軍基地を置いてきたまでだ。もちろんそれが日本の国益になるならそれはそれで仕方がないが、そのために日本の自主防衛体制が疎かになるのなら、なんの国益か解らなくなる。
自民党の安全保障政策には確かにそのきらいがあった。昨今、中国が毎年異常な軍事費増強を続けている。これに対し、近年日本の防衛費の削減が続き、この調子では数年後にはもはや中国の量を日本の質で守ることすらできない危機的状況にあるという。
これらのことはすべて自民党政権下で進んだことだ。そして更によく考えてみれば先に危惧された外国人参政権問題云々のことも、すでに自民党内で議論されてきたものだ。はっきりいって今の自民党と民主党に程度の差はあれ、どこに本質的違いがあるのだろう?
もっと言えば、所詮、政治屋(政治家にあらず)は、国民のレベルに合わせないと国会議員に成り上がれない。ということは、国民の「民度」の問題となってくる。
勝手な放言のようだけれど、実際ここまで来れば、「行き着く先まで歩いてみるしかないなぁー」、と考える。これからは、かつては日本的美質でもあった「日本的あいまいさ」ではすまない新たな世界へと、我が国も乗り出すしかないのだろう。
〔付記〕
私は、安倍晋三総裁に率いられた自民党が大勝したことを喜ぶ人間です。
経済には疎い者ですが、美津島さんのブログから教えられるように、今のデフレ不況を脱却するために安倍総裁がインフレターゲット政策を積極的に掲げていることに共感を持ちます。そして何よりも、安倍総裁の外交安保政策の多くの部分は、自分の考えと重なっています。
しかし、上記の「毒を喰らわば……」のなかで、民主党が社民党と連立を組んだおかげで、最初に安全保障政策で躓き、これがケチの付き初めとなって、やることなすことすべて裏目に出たように、「自公政権」という枠組みで、安倍総裁の政策のどれだけが実行できるか、不安も覚えています。
今回、先の文章を再び人の眼に晒そうと思ったのも、「自己満足」をしたかったからではまったく無く、安倍政権が、前民主党政権の轍を踏むことのないように願い、投稿しました。
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