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美津島明編集「直言の宴」

政治・経済・思想・文化全般をカヴァーした言論を展開します。

小保方晴子氏は、常に正直者であり続けてきた (美津島明)

2016年05月23日 17時32分13秒 | 科学


いまさら、という気がしないでもないのですが、みなさんとごいっしょに小保方晴子氏の二〇一四年四月九日の記者会見のハイライトを観直してみたいと思います。その前に、踏まえるべき背景や最低限の基礎知識に触れておきたいと思います。

同会見のポイントはいろいろあるとは思いますが、当時の一般人からすれば、「STAP細胞なるものが本当にあるのかないのか、本人の口からじかに聞きたい」というのが本音でしたから、最大のポイントは「STAP細胞の有無」でしょう。

アメリカのハーバード大学が世界各国で特許を出願していることが判明した現段階において、「STAP細胞の有無」問題に関しては決着がついているというよりほかはありません。世界トップレベルの頭脳集団が、ありもしないものを特許申請するとは到底考えられないからです(ちなみに理研は、二〇一四年六月二六日、STAP細胞の存在をはっきりと否定しています。それが理研の公式見解ですhttp://www.nikkei.com/article/DGXLASGG26H0W_W4A221C1MM0000/ )。

小保方氏は、当記者会見でも、また、今年の一月二八日に上梓した手記『あの日』においても、終始一貫して、STAP細胞は存在すると主張しています。

「私が発見した未知の現象は間違いがないものであったし、若山研で私が担当していた実験部分の『STAP現象』の再現性は確認されていた」(238ページ)
http://www.huffingtonpost.jp/2016/01/28/obokata-note_n_9104078.html

では、氏が主張しつづけてきた「STAP細胞」とは、いったい何なのでしょうか。

哺乳類(ほにゅうるい)の体細胞に外部から刺激を与えるだけで、未分化で多能性を有するSTAP細胞に変化するというもの。これまで発見されたES細胞(胚性幹細胞)やiPS細胞(人工多能性幹細胞)といった多能性細胞と比較して作製法が格段に容易であり、またこれらの細胞にはない胎盤への分化能をも有することで、今後、再生医療等への貢献の可能性が大きいと期待された。
(コトバンク「STAP細胞 とは」より)


マウスの脾臓から取り出した「T細胞」と呼ばれる細胞を弱酸性の溶液に浸した後に培養すると、一週間で多能性を持つ細胞になり、それがSTAP細胞と名付けられたのです。

で、STAP細胞のままでは増殖せず、再生医療へ応用できないため、増殖する能力を持つSTAP「幹」細胞を培養する必要があります。

前者を担当したのが小保方氏であり、後者を受け持ったのが氏の上司であった若山照彦氏でした。小保方氏は、後者の『STAP「幹」細胞』と区別される前者の『STAP細胞』の実在を主張し続けてきたのです。

以上を踏まえたうえで、動画をごらんください。

小保方晴子 「STAP細胞はあります!」 会見まとめ (HD)


どうでしょうか。氏が、世間の攻撃的な好奇の視線の矢を受けとめながら、気力を振り絞って、自分の心からの思いを吐露していることが、いまなら多くの人にも分かるのではないでしょうか。有名な「STAP細胞はあります!」という宣言をした直後、記者の無責任な空っとぼけた質問を受けときにも、再現性の重要性に触れるほどの科学者としてのまっとうな理性をキープしているのは、正直驚きです。研究への情熱だけが、そのときの氏を支えていたのではないでしょうか。当時の世間は、やれ役者だとか、やれ妄想はもうやめろとか、空っとぼけるなだとか、ずいぶんひどい言葉を孤軍奮闘の氏に投げつけていたのです。

FB友達の今井進氏が、長時間の同会見を観終わって私が抱いた感想といまの思いを代弁してくれています。ご紹介します。

私は、小保方さんの会見を見て「あぁ、この人は真っ直ぐな人だ。嘘はつかない人だ」と感じていました。やはり、そうでした。嘘つきか嘘つきでないか?それを見る「目」を備えることなく、マスコミやご立派な肩書の持ち主の言うことに騙される人の多さに驚きます。嫉妬がエネルギー源の每日新聞の須田記者、NHKの捏造番組を制作したクズ、その番組に雁首を並べてごにゃごにゃ話していたロクでもない「大学教授」という肩書のアホ達。こいつらが揃って日本を代表する科学者笹井さんを自殺に追いやってしまいました。特に、決定打となったNHKの番組。重罪です。

「でも、小保方氏は、記者会見後に何度も再現実験を試みて失敗しているのだろう?」という疑問が残りますね。

それについて、理研・バカマスコミ総がかりの「小保方バッシング」の動きに終始一貫抗し続けてきた武田邦彦氏が、次のようなことを音声動画で言っています。すなわち《若山氏は、マウス細胞をスライスする超一級の腕前を持っていて、それが小保方氏に提供される。つまり「STAP細胞」は、ふたりの共同作業の賜物なのだ。ところがなぜか、検証のための再現実験のとき、すでに若山氏は理研を去っていて、同氏の協力が得られないまま、小保方氏は事実上ひとりで検証実験を実施しなければならなかった。その段階ですでに、検証の結果は、失敗が運命づけられていたのだ》というふうに。つまり理研は、その段階ですでに、組織防衛のために小保方氏の科学者としての生命を断つことに決めていたのです。そういう理研のひどさについては、もうすこしきちんと勉強してから発表したいと思っております。日本のために、また日本の科学のために、理研は一度潰してしまわなければならないのではなかろうか、という思いを強めております。
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STAP騒動の最終勝利者は、アメリカである (美津島明)

2016年05月21日 12時34分11秒 | 科学


昨日私は、あの小保方晴子氏の全面的名誉回復を望むという趣旨の文章をアップした。

しかしSTAP細胞をめぐる事態は、そういう、一個人の名誉の問題を超えた世界規模の展開を示していることが分かってきた。次の記事を見ていただきたい。

「STAP細胞の特許出願、米ハーバード大学が世界各国で…今後20年間、権利独占も」http://biz-journal.jp/2016/05/post_15184.html

『これまで理化学研究所の公式発表では、「STAP細胞論文はほぼ事実ではなかった」「STAP細胞の実験結果はES細胞の混入したものによる」として、その存在は完全に否定された。

 しかしハーバード大は日本の「STAP細胞は存在しない」という大合唱を他所に、粛々と特許の申請を進めていた。』


これを読んで、私は、空いた口がふさがらなかった。理研がSTAP細胞の存在を否定し、NHKを筆頭とする日本のバカマスコミが、異物排除の百姓根性丸出しで、小保方晴子氏をウソつきよばわりをし、ES細胞を盗んだ泥棒扱いし、言葉による集団リンチに没頭していたとき、アメリカは、着々とSTAP細胞の特許申請の準備をしていたのである。

特許が認定されると、出願後20年間の工業的独占権を認められるという。また、特許の出願は、日本(!)、米国、EPO(欧州特許庁)、カナダ、オーストラリアなど世界各地で行われているというから、認定後、アメリカは、どれだけのマネーを獲得するのか、素人の私には想像もつかない。おそらく天文学的な巨額のマネーを手にするのだろう。

つまり日本は、小さなコップのなかでつまらない不毛なバカ騒ぎをすることで、アメリカさまに大きな儲け口を属国よろしく献上したことになる。底なしの愚かさである。以前、SEALDsやオタク憲法学者を担いで「戦争法案」のトチ狂ったバカ騒ぎを演じることで、侵略国家・中共を喜ばせたように、今度は、STAP細胞をめぐる死人を出すほどのバカ騒ぎで、マネー国家・アメリカを大いに喜ばせたわけである。日本はやはりチンケな百姓国家なのだろう。少なくともその側面が存在することは否みようがない。

繰り返しになるが、理研・早稲田大学・NHKを筆頭とするバカマスコミは、可及的速やかに小保方晴子氏の全面的名誉回復のためにできることをすべてなせ。贅言は無用である。事態は急を要する。そうして、バカマスコミが作り出したおろかな空気に付和雷同した人々は、自分たちのチンケな百姓根性によって、ひとりの天才科学者の命さえも奪いかねなかったことを思い返していただきたい。積極的に氏を擁護できなかった私も、そういう人々と大同小異であることはもちろんである。

そうすることで、自らの愚行によって失った莫大な国益が戻ってくるわけではないが、いまはできることをなすよりほかにすべがないだろう。それさえもできなかったら、日本はほんとうにダメである。
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小保方晴子氏の全面的名誉回復を望む (美津島明)

2016年05月20日 12時19分33秒 | 科学


マスコミは、あえて大きく取り上げようとしませんが、あの小保方晴子氏の全面的名誉回復をすべき時期が到来しています。以下に、その契機となるふたつの出来事に触れた、自分自身のFB投稿を掲げます。

ひとつめ。


STAP現象の確認に成功、独有力大学が…責任逃れした理研と早稲田大学の責任、問われるhttp://biz-journal.jp/2016/05/post_15081.html

あの日、「STAP細胞は、あります!」と、小保方氏は、孤立無援の状況のなかで言い切った。それが、正しかったことを証明する強力な援軍の登場である。ドイツの名門大学、ハイデルベルク大学の研究グループが、スタップ細胞の確認に成功したというのだ。小保方氏の、一日も早い、科学者としての名誉回復が望まれる。具体的には、理研と早稲田大学理工学部は、氏に対して深く陳謝し、氏に対する不当な処置のすべてを撤回しなければならない。大宅健一郎氏の不屈のジャーナリスト魂に、私は感動している。それにしても、若山氏は、ずいぶんと罪深い所業をなしたものだ。

文中の若山氏の「罪深い所業」とはなにか。要するに、小保方氏にとっての当時の直属の上司・リーダーであった若山氏が、STAP細胞をめぐる、ありもしない罪を小保方氏になすりつけようとした(と強く疑われる)ことです。詳細については、次のふたつめの記事と私のコメントをごらんください。


STAP問題、小保方氏犯人説を否定する検察判断…嘘広めたNHKと告発者の責任問われるhttp://biz-journal.jp/2016/05/post_15165.html

神戸地検は、1年あまりの捜査の結果、小保方氏が若山研究所のES細胞を盗んだとする刑事告発を不起訴とし、「窃盗事件の発生自体が疑わしく、犯罪の嫌疑が不十分だ」という異例の強い調子の声明を出した。検察の立場から、小保方犯人説を強い調子で否定した のである。と同時に、告発者である若山教授サイドを厳しく難詰している とも受け取れる。先日私は、ドイツの研究機関が、小保方氏が公表したプロトコルを参考にしてSTAP細胞の存在を確認する実験に成功したことにも当FBで触れた。STAP細胞が存在することと、小保方氏がES細胞を盗んだ事実はないことを、いずれも権威ある機関が明言したのである。理研、早稲田大学、NHKを筆頭とするバカマスコミは、小保方氏の名誉回復のために、なしうることをすべてすべきである。見苦しい言い訳をすべき段階ではもはやない。さっさとやんなさいな。それと、当時の満身創痍状態の小保方氏の渾身の「STAP細胞はあります!」発言をネタにして、面白半分にからかうような軽口をたたいた一般人も、心のどこかで恥じ入る気持ちくらいは持ってもいいのじゃないだろうか。別に自慢するわけではないが、私は一貫して「隠れ小保方派」であり続けてきた。あの記者会見を長時間ずっと見ていて、氏がウソをつくような人だとは、どうしても思えない、という素朴な印象を捨てきれなかったからだ。

上記URLの記事を書いたのは、大宅健一郎氏です。氏は、小保方氏が世間から冷たい目で見られ孤立無援の状態であったとき(実は、いまもそうなのでしょうが)から、一貫して、事実を積み重ねることによって同氏を擁護し続けてきました。不屈のジャーナリスト魂の持ち主である、としか言いようがありません。敬服します。

最後に、私のふたつめのFB投稿にコメントをくださった渡辺純央氏とのやり取りを掲げておきます。氏は、ヴィジュアル業界人ならではのユニークで鋭い指摘をなさっています。

〔渡辺 純央〕 勝負ありましたね。NHKは自己検証番組が必要なレベルです。それと、発表直後から狂ったように叩きまくったネットやメディアの背後には何があったか?
こっちを捜査して欲しいぐらいです。

〔美津島明〕 おっしゃるとおりですね。これは、いろいろな意味で大問題だと思います。なあなあですましたがる日本人にとっては、なるべく小さく扱いたい問題なのでしょうが。

〔渡辺 純央〕 私はこれ、ザハデザインたたきとよく似ている、と感じてます。
生物学方面のことはよくわかりませんが、デザインの事なら多少は分かるので、違和感バリバリでした。日本型ムラ社会。そこに一番大きな問題がある、と。ザハさんはもう亡くなってしまいましたが、小保方さんは生きてるのでまず、本人の救済が先決でしょう。まあ、国内で受け入れるガッツのある研究機関など、無いでしょうが…マックス・プランク研究所とか、いかがでしょ?

〔美津島明〕 なるほど。ザハ・ハディッド氏のことは生前よく知らなかったのですが、BBC放送で追悼番組をやっているのを観て、毀誉褒貶の多い建築デザイン家であることを知りました。私の素人目に、氏のデザインは、規格外の天才の産物と映りました。国立競技場だって、いくらかかろうが関係ないじゃん、といいたくなるくらいに、確実に世界をもっと面白くしてくれる類の天才を感じました。そのときは、ザハの名を特に意識しませんでしたが。思いっきり差別用語を使ってしまいますが、「鈍感な百姓どもが、けちなソロバン勘定をして、しのこの言うんじゃない」という感想が、正直なところでした。「日本型ムラ社会」。そういうことなのでしょう。小保方氏もまた、科学畑における規格外の天才科学者の一員なのでしょう。チンケな百姓どもに囲まれてかわいそうに、と思います。


国立競技場ザハ・デザイン

〔渡辺 純央〕 わが国には色んな所に風通しの悪い、ムラ(既得権益集合体)が存在していて、異物を排除しています。建築の世界にもそれはあり、毎度毎度、醜い争いをしてることは、私のような周辺分野にいると漏れ、聞こえてくるわけです。ザハさんの場合、まず国内ゼネコンとのつながりがない(当たり前)。女性で、非欧米人。審査委員長が建築界の異物にして天才、安藤忠雄、という条件が重なってました。こうなってみると小保方さんの条件も、似たようなところがあったのかな?と。

〔美津島明〕 理研も、ずいぶん風通しの悪いムラ社会のようですからね。笹井氏は、ムラ社会・理研と異形の天才肌の小保方氏とのはざまで、圧力に耐えきれなくなって自殺したのでしょうか。そうしておそらく、若山氏が、生命科学のムラ社会の権化のような存在の少なくともひとりであることは間違いないようで、小保方氏の存在に対して、脅威を感じたのでしょう。で、潰しにかかった、と。バカマスコミもまた絵に描いたようなムラ社会なので、ムラ社会を脅かす小保方氏のような存在を、とにかく叩いておこうという百姓の本能に従った、という面があるのでしょうかね。


テレビ業界は電通ムラ、言論界は知識人ムラ、経済学会は主流派経済学者ムラ、憲法学会は護憲ムラ。知っているだけで、すぐにこれだけ列挙できます。やはり日本はムラ社会のようですね。で、この件に関して、ムラ社会特有の「なあなあ」は許されません。
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ペンギンの話

2014年01月02日 08時03分52秒 | 科学
ペンギンの話

私は、昨年末の31日にFBのプロフィール写真を、マンダラからペンギンに変えました。自分としては、マンダラもけっこう気に入っていたのですが、どうもあまりウケがよくないような感触があった(「いいね!」をいただく回数が少なくなった)ので、そうしたのです。それにちなんで、次のような短い文章もアップしました。

私は、ペンギンが大好きです。陸上に上がったときのあの頼りないよちよち歩きと、水中でのあのシャープで力強い泳ぎとの落差のはなはだしさが、私の自然体の想定を快く打ち破ってくれるからです。また、鳥類であることの自由闊達さを大空においてではなくて水中で表現する、というシュールさも魅力です。さらには、陸上で親ペンギンが子どもペンギンを慈しむ姿にも、同じく子どもに対する深い情愛を示す哺乳類の一種である人間として、共感を覚えます。

もしかしたら、ペンギンが鳥類であるというお話を意外に感じた方がいらっしゃるかもしれません。しかし、オーストラリアに生息する「キーウィ」は翼が完全に退化していて、飛べないどころか小指の先ほどの「翼の痕跡」しか残っていないそうです。それでも「キーウィ」は鳥類に分類されます。ましてや、翼がちゃんと残っているペンギンが、鳥類に分類されていけないわけがありません。



キーウィ

大空を飛べない鳥であるペンギンは、水中をいわば「飛ぶ」ことができる。そのことに、私なりの自由へのあこがれの思いを託しているのかもしれません。人生って、しがらみだらけですからね。

まことに勝手な言い分になりますが、あの強烈な生臭さだけはなんとかならないものか、とは思います(笑)。


おおむね好評だったようで、「いいね!」が四つつきました。それにのほほんと気を良くしていたのですが、ひょんなことから、ペンギンの進化過程が気になってしかたがなくなってきたのですね。

それで、ネットでいろいろと検索してみたところ、ちょうどいい感じのサイトが見つかりました。http://www.pen-t.com/shinka/umidori.htm




同サイトによれば、南半球のペンギンと北半球のオオウミガラスとは、(ちょっと難しい言葉になりますが)平行進化をしてきたそうです。平行進化とは、同じ種類ではないのに、南北両半球において、同じ生活条件の元で、同じような食生活を営んでいる(つまりニッチが同じ)海鳥が、同じような姿、生活形態を示すように進化することを言います。

表の見方ですが、空中での飛行にだけ翼を使う「段階A」にある海鳥は、南半球ではウミツバメ類、北半球ではカモメ類、というふうに横に対応させます。次に、水中での潜水と空中での飛行の両方に翼を使う「段階B」にある海鳥は、南半球ではモグリウミツバメ類、北半球ではオオハシウミガラスです。そうして、もっぱら潜水のためにだけ翼を使う「段階C」にある海鳥(潜水型海鳥)は、南半球ではペンギン類、北半球ではオオウミガラスとなります。

ちなみに、南半球のペンギンは十七種類だそうです。http://www.pen-t.com/bunnrui/shikibetu.htm個人的な感想ですが、見た目が立派でめざましい感じがするのは、キング・ペンギンとエンペラー・ペンギン、超絶の愛くるしさで人間どもを虜にしてしまうのは、身長30㎝のコガタペンギンではないでしょうか。



エンペラーペンギン

コガタペンギン

ところで気にかかるのは、北半球のオオウミガラスです。北半球に、南半球とそっくりなオオウミカラスがいるなんて話は、聞いたことありませんよね。それで不審に思って調べてみたところ、次のような事実が判明しました。該当箇所から引きましょう。ちょっと長くなりますね。http://www.pen-t.com/gaisetu/name-of-penguin.htm


オオウミガラス

上の絵のように、このオオウミガラスは非常にペンギンに似ている。現在のペンギンと同じように海鳥で、空は飛べない。体長は約75cm、体重5kg。

この鳥は二五〇年もの間、人間に乱獲(らんかく)され続けた。珍しくもない鳥だったので、研究もされていなかったし、満足な標本もなかった。全くの産業用、食用だったのだ。

乱獲の結果、急激(きゅうげき)に数が減り、初めて絶滅の危機(ぜつめつのきき)に気づいたのである。

そのため各地の博物館などで標本が必要になり、コレクターにも高値(たかね)で売れるようになった。その行為(こうい)がますます絶滅に手を貸してしまったのだ。

最後の数十羽は細々とアイスランドのエルディと呼ばれる小さな岩礁(がんしょう)で生息していた。

イギリス人は死体であっても高値をつけ、捕獲(ほかく)のために漁師をやとって容赦(ようしゃ)なくとり続けた。 そのエルディで、この世に残った最後の二羽のオオウミガラスが抱卵中(ほうらんちゅう)であった。そこを捕獲のために上陸してきた漁師におそわれた。オオウミガラスは卵をあきらめて逃げようとしたがそれもかなわず、最後の二羽は殺された。そして抱卵中だった最後の卵も漁師にふみつぶされてしまった。

漁師たちは、それが最後の個体だということは知らなかった・・・

こうして、かつて北半球で「ペンギン」と呼ばれていた「オオウミガラス」は一八四四年六月四日に完全に絶滅したのである。

オオウミガラスは、人間の商業的な捕獲(ほかく)によって絶滅した最初の鳥であった。

卵は食用に、羽毛は防寒(ぼうおん)の保温材(ほおんざい)とするために、手当たり次第に殺されて、船に山積みにされ、ヨーロッパへと運ばれていたのだった。

人類の蛮行(ばんこう)によって絶滅させてしまったオオウミガラス。その反省をこめて、アメリカ鳥学会の会誌には、「オオウミガラス」を意味する『Auk』という名称(めいしょう)がつけられている。


あまり物知りではない私は、この事実を目の当たりにして少なからずショックを受けました。そうして、ひとりのペンギン好きとして、とても悲しい思いに襲われました。五〇男がしょげかえってしまったのです。これでは、せっかくの正月気分が台無しです。

解説者は、「人類の蛮行」と言っていますが、私はここを、「アングロサクソンの蛮行」と書きかえたいと思います。

そうして、話はいささか野暮になりますが、二〇〇八年のリーマン・ショックを引き起こした欧米金融グローバル資本の強欲さにも、さらには、現在進行中のTPP交渉においてゴリ押しをしようとするアメリカ側の胸の内にも、この、オオウミガラスを絶滅に追いやったアングロサクソン民族の強欲であるがゆえの「蛮行」のDNAが埋め込まれている、という印象をどうにも払拭できないのです。

周りを海に囲まれた日本列島は、文化的には、天敵のいないガラパゴス島のような状態が室町時代まで続きました。それゆえ、獰猛でこすっからい外来種的な行動様式に対する防御において、日本人は、どこか脆弱な面があります。比喩的に言えば、文化の古皮質レベルにおいてそうなのです。だから、アングロサクソンの強欲追求の魔の手から逃れようと、よちよち歩きをするオオウミガラスの姿が、私には、ひとごととはどうしても思えません。なんとも絶望的な逸話ではありませんか。絶滅する最後の瞬間のオオウミガラスの悲しそうな目が、私には鮮明に浮かんできます。一神教的な言い方をすれば、その悲しみはほとんど、造物主としての神のそれと重なります。

そう考えるにつけ、ペンギンを慈しむ気持ちがますます深くなってきます。
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水素は、万物の祖先である―――放射能考  (イザ!ブログ 2013・7・23 掲載)

2013年12月18日 08時06分12秒 | 科学
いまから138億年前、ビッグバンという大爆発が起こりました。原子や物質だけではなく、時間も空間もすべてはこのビッグバンによってはじまったというのですから、想像がつかないほどに大規模な爆発ですね。「その前は?」という疑問が過ぎりますが、それはこの場合措いておきます。


ビッグバン http://homepage2.nifty.com/AXION/note/2006/note_200609.html より

このときに散らばった″宇宙の素″の一滴一滴のほとんどすべてが水素原子(原子番号1番)で、ほんの少しがヘリウム(原子番号2番)だったそうです。

できたばかりの宇宙には水素原子が均一に漂い、充満しました。そのうちに、濃いところと薄いところができました。そうして、濃いところは重力によってさらに引き合って高密度になり、熱を発し、高温となりました。

その結果、原子番号1の水素原子Hどうしが融合して原子番号2のヘリウムHeになる核融合反応が起きました。小さくて高エネルギーの原子が融合して大きくて安定した原子になれば、その間のエネルギー差である余分なエネルギーが放出されます。その結果、水素原子集団は膨大なエネルギーを生み出すことになり、こうこうと輝いてまわりじゅうにエネルギーを放出するようになりました。これが恒星です。そうしてもちろん、私たち地球の住人にとっては、太陽がいちばん身近な恒星です。


http://www.nifs.ac.jp/kids/qa/qa_02_01.html より

恒星にあるすべての水素がヘリウムになると、今度はヘリウムどうしが核融合して、原子番号4のベリリウムBeになります。このようにして、次々と大きな原子が誕生しました。だから恒星は、原子の誕生の地なのです。そうして、核融合とはもちろん原子核反応です。また、原子核反応から生じるエネルギーとはもちろん原子力エネルギーです。つまり、原子の誕生の地には、原子力エネルギーが満ちあふれていたのです。

ところで、核融合反応は次々と新たな原子を産み出しますが、それにも限りがあります。というのは、核融合がエネルギーを生み出すのは、質量数(原子核の陽子数と中性子数の合計)60程度の鉄の同位体までです(同位体というのは、原子番号が同じでも中性子の個数が異なる元素どうしのこと。ただし、原子番号=陽子の数は同じ)。そこまで核融合が進行すると、それ以上の核融合をしてもエネルギーは生産されなくなるのです。


恒星の終わり http://nationalgeographic.jp/nng/magazine/0703/fea...より

エネルギー生産を停止した恒星は膨張力を失い、反対に重力の働きにより収縮をはじめます。この収縮は凄まじいもので、ミクロレベルで原子核のまわりに雲のように存在していた電子雲までもが原子核のなかに押し込められるそうです。

その結果、マイナス電荷をもった電子とプラス電荷をもった原子核が反応して、中性子が生まれます。すなわち、収縮した恒星が、一個の原子がまるごと中性子だけでできた星、中性星になるのです。原子核をピッチャーマウンドに置いたパチンコ玉だとする(本当はそれよりずっと小さいですよ、もちろん)と、それをつつむ原子雲は、東京ドーム二個をハンバーガーのような形に合わせたほどの広がりがあります。だから、東京ドーム二個分の体積を持っていた電子雲が、まるまるパチンコ玉のなかに押し込められることになるのですね。

その結果、星の密度は、一立方センチメートルあたり数十億トンというおそろしい数値になります。それによってもたらされる重力は光をも飲み込むほどのすさまじさになります。これが、有名な(というのも変ですが)ブラック・ホールです。


ブラック・ホール http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1109080017/ より

さて、恒星の最期はブラック・ホールだけではありません。その姿は、大きさによってさまざまですが、大きな恒星はその最期にエネルギーと質量とのバランスを失い、突如きらめくような大爆発を起こします。これを超新星爆発といいます。

このときに発生する巨大なエネルギーによって瞬間的に誕生したのが、鉄Feより大きな原子なのです。


超新星爆発 http://www.wallpaperlink.com/bin/0602/01980.htmlより

ちなみに、自然界に存在する元素の種類はおおむね90程度です。しかし、周期表の原子番号は118までありますね。その差を埋めるのが、原子炉や加速器で人工的に作り出された人工元素です。これらは一般に超ウラン元素と呼ばれています。これらはおおむね核分裂反応で得られるものです。

このように、大きい原子も小さい原子も、すべて夜空に輝く恒星を舞台に、まばゆいばかりの光とめくるめくような無尽蔵のエネルギーのなかで誕生しました。

そのような原子が何万光年という遠距離を旅することで、一箇所に集まって地球という惑星が作られ、それらが分子となり、有機物となり、そうして、私たち人間をふくむ生命体がつくられたのです。生物の進化などと言っても、その壮大な宇宙のドラマの寸劇のようなものなのです。

目をわれらが太陽に転じましょう。太陽は恒星ですから、そこでは、水素(質量数1=陽子1)の原子核が反応して、重水素(質量数2=陽子1+中性子1)になり、それがまた反応してヘリウム(質量数4=陽子2+中性子2)になります。

この一連の原子核反応で、原子力エネルギーが解放されて電子の運動エネルギーとなり、太陽光エネルギーとなって四方八方に放出されます。その一部が地球に降りそそぎ、植物や微生物を育て、それが化石となって、石油・石炭・天然ガスとして、人間にとっての重要なエネルギー源を供給します。

また、太陽光で育つ植物と、それを食べる動物は、人間の食物という形で、重要なエネルギー源になります。

さらに、目を地下に転じてみましょう。私たちが踏みしめている、いわゆる「大地」なるものは、地殻と呼ばれるもので、地球の直径1万3千mに対してわずかに30kmの厚さに過ぎません。人間で言えば、皮膚のようなものです。これは「冷たい大地」などと形容されることもありますが、それより深いところは信じられないほどの高温なのです。地殻の下のマントルは熱いところ(下部マントルの最深部)で3000℃にまで達し、地球の中心あたりの内核では8000℃にまで達するほどです。

では、地球の内部はなぜこれほどに熱いのでしょうか。地球が誕生したとき、地球は、宇宙から降り注いだ隕石の衝撃熱や摩擦熱で溶けていたといわれます。その余波がいまだに残っているのでしょうか。しかし、それは48億年も前の話です。いまとなっては、熱は宇宙に放散して冷え切っているはずですね。数千℃の熱をいまだに保っているのは、自分で熱を出していると考えるよりほかにはありませんね。

実は、地球の内部では絶えず原子核反応が生じているのです。つまり、地球は一個のとほうもなく巨大な原子炉のようなものなのです。

だから、当然のことながら、この巨大な原子炉から、放射性物質が漏れてきます。そのひとつがラドンRn(原子番号86)です。ラドンは、地殻中にある放射性物質であるラジウムRa(原子番号88)が壊れることによって発生するものです。だから当然のことながら、ラドンは放射線(α線:ヘリウム原子核)を放出します。それが温泉に溶けたものがラジウム温泉として人気を博することになったりするのです。ラジウム温泉とは、要するに放射能温泉です。


地球の内部のイメージ http://www.kankyo-sizen.net/blog/2012/09/001194.html より

こうやって、宇宙の始まりから、人間の生命の誕生・維持にまでに思いを致してみると、ふたつのことがおのずと浮かんできます。

ひとつは、宇宙の始まりとともに生まれた水素こそが、人類をはじめとする森羅万象に共通の祖先であること。まったくもって、感謝、感謝ですね。

もうひとつは、核融合反応によるまばゆいばかりのエネルギーの放出が、生命の本質に深く関わっているということ。ここで、「核融合反応によるまばゆいばかりのエネルギーの放出」とは、要するに、放射能のことです。というのは、放射能とは、放射線を放出する能力のことであるからです。つまり、放射能こそが、もしかしたら、生命の本質なのかもしれないのです。この真実からかたときも目を離さずに、原発問題を考え抜く姿勢がいま求められているように、私は感じています。


参考 『知っておきたい放射能の基礎知識』齋藤勝裕 Soft Bank Creative

   『ビックリするほど原子力と放射線がわかる本』 江尻博素 同上

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