メイおばさんの料理帖

「メイおばさんの宝箱」からはみ出してしまった料理や食べ物や食文化のお話を世界のいろいろな場所から楽しくお届けします。

「Pike Place Chowder」物語

2015-10-03 12:37:50 | シアトルレストラン

さてさて前回おしゃべりした
シアトルの人気スポット「Pike Place Chowder」の続きです。

この路地の小さなチャウダー屋さん
壁の賞状が示すように
たくさんのコンテストで優勝してきました。

無名のチャウダー屋さんが
今や行列ができるチャウダー屋さんにまでなった
そのストーリーがなかなか面白いのです。

「Pike Place Chowder」のサイトに掲載されていた創業者、Larry Mellum氏の言葉をお借りしますね。
写真ともどもお店におことわりして、メイおばさん流の和訳でご紹介させていただきます。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
よく聞かれるんだよ、「あんなに色々な賞を総なめにするレシピをいったいどうやって編み出したんですか?」ってね。
今日はそんなところから始めようか。

今から30年以上も前の1991年、僕はビジネスパートナーと一緒に、ウエストシアトルに小さなレストランを開いたんだ。
それが人気を呼んで、たった125席しかないところに1週間で4500人ものお客が足を運んでくれるようになった。

この店をオープンした時に、僕たちは「Soup of the Day」(日替わりスープ)をメニューに加えようと思った。
金曜日は「ニューイングランド・クラムチャウダー」にした。

僕は僕で、絶対に行けると思うレシピを持っていた。
シェフはシェフで、僕のよりいい!と言うレシピを持っていた。
コックはコックで、お袋さんが金曜日になると決まって作ってくれたレシピを持っていた。

そこで僕らはお客さんに決めてもらうことにしたのさ。
金曜日ごとに、それぞれのクラムチャウダーを順番に出していってね。
結果は明らかだった。

一番人気があったのは、僕のでもない、シェフのでもない。
船乗りの叔父さんに教えられ、何代ものおばあちゃんたちに受け継がれてきたという
コックのお袋さんのチャウダーだったのさ。

以来、僕らは「お袋さんのチャウダー」を作り続けてきた。
シアトル中から、並ぶのも厭わずに客が食べに来てくれるようになった。

もちろんパイクプレースマーケットの野菜やスパイスのおかげで
味はどんどん改善されて来たけれど
基本的には最初のあのチャウダーと変わりはないさ。

そして、、、、

「たしかに我々のチャウダーは人気がありますよ。
でも、もっと大きなチャレンジをしてみませんか?」

と言うコックの言葉に触発されて、僕たちはいくつかのコンテストに出ることになったんだ。
その結果、いくつもの賞を取った。
でも誰かが言った。

「そう言ったって、おたくら、東海岸で賞を取ったことがないでしょうが。
 アメリカで最高のチャウダーと言ったらやっぱり東海岸だよ。」

その通りかもしれないと思った。
けれども、僕は仲間たちに言った。

「東海岸まで3500マイル(5600キロ)も旅をするのはお金がかかり過ぎる。
ぼくらはしょせんは小さなカフェに過ぎないのだから。」

けれども、彼らはひるまなかった。

「もしも何千ドルも稼いだらどうします?」

絶対に不可能だとは思ったけれど、ぼくは言った。

「わかった、できるかどうかやってみるか!」

するとみんなどうしたと思う?
勇みこんで車を洗い、ケーキとクッキーを焼き、ガレージセールで寄付金を集め始めたんだ。
みんな、このクレージーな冒険に夢中だったよ。

お金を集めた僕たちは、無謀にもロードアイランド州ニューポートの大会に出場した。

ニューポートと言えば、世界中から毎年2万人ものチャウダー愛好家が集まる世界随一のコンテストさ。
しかも20年間、ニューイングランド(東海岸東部6州の総称)以外のレストランは賞を取ったことがないというのにさ。

BUT, WE DID!

でもやったんだ!
3年も続いて「Nation’s Best Chowder」(アメリカ最高のチャウダー)の栄誉を手に入れた。
4年目には、もう十分と思ってコンテストに出るのは止めた。

そして2003年、世界的に知れたシアトルのパイクプレースマーケットにこの店を開いたというわけさ。(終わり)


読んでくださってどうもありがとうございました。
こちらの方もどうぞよろしくお願い致します。
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