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時代背景(年表)の作り方

2019年05月23日 | サ行
      時代背景(年表)の作り方

 私は『小論理学』では付録の1つとして、「ヘーゲル受容史の年表」というのを作りました。今回の『フォイエルバッハ論』では「時代背景(年表)」というのを作りました。

 先ず第1に「何時から何時まで」を取り上げるかが問題になりました。この翻訳はマルクス主義ないし唯物史観を総合的に捉え、批評しようとするものですから、「資本主義の勃興から第1次世界大戦で社会主義国家が出来るまで」としました。

 次に取り上げる事件ないし事柄をどうするかです。私は「時代背景」を知るには政治的な事柄や経済的な動きだけではまずい、ないし不十分だと考えました。私がよく参照します湯浅光朝の『解説・科学文化史年表』(中央公論社)では、年代によって少し違いがありますが、大体、科学史、技術史、思想史、社会文化史、と分けて横に見るようになっています。

 私の年表はそれほど詳しいものではありませんから、こういう分類はせずに、すべての事柄を対象として、時代背景を知るのに必要なものを取り上げようと考えました。もちろん政治が中心ですが、経済も技術も社会的出来事も小説や音楽でさえ大きなものは取り上げました。
 恥ずかしながら、つい最近、NHKの番組で「来年(2020年)がベートーベン生誕250周年で、既に記念行事が始まっている」ことを知りました。つまり、彼は1770年に生まれているのです。そして、1770年と聞けば、私にはすぐにヘーゲルの生まれた年だと気付きます。二人は同じ年に生まれていたのです。二人の大業績に時代の雰囲気が作用していなかったと、誰が言えるでしょうか。

 さて、この4月から朝日テレビ系で「やすらぎの刻(とき)」というドラマが始まっています。これは昨年の4月から9月まで放映されて好評だった「やすらぎの郷(さと)」の続編のようですが、かなり違うので面食らっています。

 それはともかく、先日の回で、脚本を担当している倉本聰の分身と思われる脚本家(石坂浩二)が、「今回の書き方はいつもと違ってしっまたなあ」と反省して、「いつもは自分で作ってある年表を取り出して、登場人物の年とを平行させて、時代背景を確認し、この人が20歳だった年にはこういう事があったのだと確認して、不自然でないような行動を想像するのだから、これからはそうしよう」と考える場面が出てきたのです。しかるに、その年表が事柄の性質で分けてなく、大きな出来事ならどんな事件でも一緒に書き込んであるものだったのです。

 我が意を得ました。ほくそ笑みました。(2019年5月23日)

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