マキペディア(発行人・牧野紀之)

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西遠女子学園の皆さんへ

2020年07月05日 | サ行
    西遠女子学園の皆さんへ

 1,創設者母校でも募金活動(朝日新聞の記事)

 コロナ禍で苦しむ「劇団たんぼぽ」を支援しようと、創設者である小百合葉子さんの母校・西遠女子学園(浜松市中区)の生徒が募金活動を始めた。劇団もクラウドファンディング(CF)を呼びかけ、存続に向けた活動が本格化している。
 「おはようございます。募金に協力をお願いします」。5月10日朝、同学園生徒会メンバーが募金箱を持って正門と西門に立った。登校する生徒だけでなく、教職員も寄付をしていた。
 大庭知世校長は「小百合さんの行動力やあきらめない精神を知って欲しい」とブログで紹介、講話でも話した。
 募金活動を企画した生徒会の会長で中学3年の山下真央さんは「創設者が先輩ということは校長先生の話で初めて知った。素晴らしい人。劇団存続の力になりたい」と話した。
 劇団の公演は8月までキャンセルされ、秋以降も危うい。収入がなくなったため、団員はアルバイトを始め、けいこも中断されたままだ。4月から地元の信用金庫の口座への募金を始め、約300万円集まったが、さらに広く呼びかけようとCFを始めた。目標は300万円で寄付は劇団HPからできる。 (朝日、静岡版、2020年6月16日。長谷川智)

 2、牧野の考えた事

 ウーン、生徒の皆さんの純粋な気持ちは尊いし、その行動力も素晴らしいと思います。しかし、しかし、しかし、です。この行動は本当に正しいでしょうか。真の解決になるでしょうか。無条件に支持できるでしょうか。私は、疑問を持ちます。
 どこに疑問を持つかと言いますと、こういう問題を知って、そこからこういう行動を起こすまでの間にどれだけの調査研究と、仲間内での議論と、親や先生との話し合いがあったのか、それが分からないのです。
 立派な事をしている人たちが金銭的に困っていると分かった場合、「それ!募金だ!」と走り出せばそれで解決するほど世の中は単純ではないのです。そうして走り出してはみたものの、すぐに壁にぶつかって、挫折した例は沢山あります。私のような60年安保世代には、闘争に敗れて自殺した人もいます。多くの学生はその後就職し、政府の「所得倍増政策」の先兵になりました。
 話が大きくなりすぎましたので、今回の劇団たんぽぽの問題に戻りましょう。
 今回のコロナ問題では、多くの人々が経済的に追い詰められています。しかし、その原因は様々です。又、困る程ではない人々もいると思います。増収増益の会社さえあります。
 私は前からこの劇団の事は知っていました。この朝日の記事の執筆者である長谷川智(さとし)の長期連載企画「遠州考」はもう何年にもなり、その一部は本にもなっています(羽衣出版)が、その連載でつい最近、劇団たんぽぽと小百合葉子の事がテーマになり、3回にわたって紹介されたので、ますます興味を持っていた所でした。
 楽ではないその経営は十分に推察できましたから、少し前に市長宛に質問状を送り、ブラジル人とペルー人のための学校であるムンドデアレグリアと二つの劇団への補助金はいくらか、と質問したくらいです(「市長への質問と回答」2019年⒑月11日)。前者は年に560万円、劇団への補助金はゼロ、という回答をもらって、どうしようかな、と考えていたところでした。
 ですから、生徒の皆さんの募金活動と劇団自身のクラウドファンディングを知って、更に考えました。「どうしようかな」と。そして、このブログ論文を発表することにしました。

 私は非常勤とはいえ、教師をしていましたから、西遠女子学園出身の生徒を何人も知っています。皆、しっかりした優秀な生徒でした。ですから、この学校には好い印象を持っています。そこで、「仮に私が今、西遠で教師をしていたら、どうするだろうか」と考えました。
 答え・授業で正式のテーマとして取り上げます。そして「劇団でも必ずしも困っていない所もあるのではなかろうか」と問題を提起します。「なるべく親とか大人の知人とかに聞いてみて下さい。それを手掛かりにして、更にインターネットなどを使って調べて来て下さい」と言うでしょう。
 次回の授業からは、私見を交えて、又考えてもらいます。私見の中心は以下の通りです。
この問題の根本は浜松市と静岡県の文化行政の問題だと思います。今日7月4日、ラジオで聞いた所によると、ウイーン少年合唱団でさえ、公演が出来なくて困っているとの事でしたから、地方公共団体が支えてもいる団体でさえ、今回の被害は大きいようです。
 しかし、浜松市は劇団に対しては補助金をぜんぜん出していないのです。みなさんは、これをどう考えますか。ムンドデアレグリアに対する補助金でさえたったの560万円です。それに対して、ピアノ・アカデミーへの補助金は1300万円のはずです。
 こう考えてみると、静岡県の予算を考えるのは中高生には少し難しいとするならば、この際、一度、浜松市の予算は本当に適正に使われているだろうかと調べてみるのは、必要かつ可能な事であり、社会科教育として大いに意義のある事だと思います。
 一例をあげますと、浜松市議は46人います。その手当は月64万8000円です。ボーナスは年に2回ですが、合計約400万円弱ですから、年俸は約1150万円です。実際にはその他にも得ている人もいますが、それは無視するとしても、政務調査費というのが大きいです。これは会派に対して出るものですが、一人あたり月15万円出ています。つまり、毎月の政務調査費が全体で、月690万円、年間で8280万円も出ているのです。市議で、これで調査した結果を報告している人がいるでしょうか。それより、その月額690万円を半分ずつにして、劇団たんぽぽとムンドデアレグリアに配るべきではないでしょうか。
 このように問題提起して、又考えてもらいます。数人ずつで話し合ってももらいます。その結果を30分くらいかけて、レポートにまとめてもらいます。それを次回の教科通信に発表します。
 あとはこれの繰返しで考えを深めてゆきます。私は、生徒が自分の考えを発展させるのを手伝うのが教師の仕事だと考えていますから、私見を押しつけることはしません。毎回、新しい材料を提供するだけです。
 みなさんは、こういう考えと授業をどう思いますか。意見がいただけたら嬉しいです。

 参照項目・浜松市長への質問と回答
 




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