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索引の重要性、索引作りの大変さ━━活動報告に代えて━━

2018年07月24日 | サ行

      ━━活動報告に代えて━━

 『小論理学』の四校(!)を出版社に返送しました。いくら何でもこれ以上の校正はないでしょう。ですから、この本もついに、遅くとも8月には出ることになるのでしょう。本当に、本当に、大変でした。

 メモを見て整理しますと、原稿の完成から四校の返送までの日時は次の通りです。

2015年06月15日、原稿の完成。

2016年06月12日~2016年11月21日、初校(5か月余り)
2016年12月23日~2017年07月31日、再校(7か月余り)
2017年11月25日~2018年04月22日、三校前半(5か月弱)
2018年06月09日~2018年06月19日、三校後半(10日間)
2018年07月10日~2018年07月22日、四校(13日間)

 今回考えたことは、「索引の校正は本文の校正より一段階後になる」ということです。なぜなら、索引は初校が出てから、その頁番号が分かって初めて作り始めることが出来るからです。

しかし、索引を作りながらの校正(初校)はとても有益でした。なぜなら、「これに関係した事はどっかに書いたよなあ」と気づいた時、その「どこか」がすぐに分かるからです。そのために、不要な重複を避けることも出来ましたし、説明を詳しくできたこともありました。

 第二に考えたことは、「再校以降で本文に沢山加筆したり、逆に大きな削除を行ったりすると、索引の頁番号も変えなければならず、大変だ」ということです。逆に言い換えますと、「大きな加筆や削除は初校までにするべきだ」ということです。

 今回はこの上に、「単なる索引ではなく、大項目、例えば『ヘーゲル』などの項は、たくさんの参照箇所がありますので、それを内容的に分けて小見出しを付けて分類した(単純な頁順の索引ではなかった)という事情が加わりました。その「分類」と「小見出し」が正しいかも校正段階で再検討しましたので、三校(索引に関しては再校)が大変でした。

 何はともあれ、終わりました。

 私の本は「付録」というのが付くことになっていますが、今回は、付録1としては「『パンテオンの人人』の論理」、付録2は「昭和元禄と哲学」、付録3は「ヘーゲル論理学における概念と本質と存在」の3つを付けました。付録3だけは書下ろしです。

 索引は、「総索引」のほかに「箴言の索引」と「例解の索引」と「ヘーゲル受容史の年表」の3つがあります。題名から内容は推察できるでしょう。ヘーゲルの箴言的な言葉には有名なものがかなりあります。それ以外に本訳書に出てくる箴言的なものもみな、集めました。

 「ヘーゲルは難しい」という通説は「具体的事例で説明してくれないから」というのがその根拠でしょうが、そしてそのこと自体は正当だと思いますが、ヘーゲルはヘーゲルなりに結構具体的事例で説明もしているのでして、それをまとめてみました。それが「例解の索引」です。私(牧野)が例解したものも入っていますから、玉石混交という所でしょうか。

 最後の「ヘーゲル受容史の年表」も題名どおりですが、こうしてまとめてみますと、ヘーゲル哲学とがっぷり四つに組んで格闘したものがいかに少ないか、いや、ほとんど無い事が、分かります。

 「鈍足のマラソンランナー」が60年走り続けてようやくここまで来ました。まだ走り続けるつもりですが、自然の法則には従わなければなりません。気を付けて、末永く頑張るつもりです。何か矛盾した発言になりましたが、正直な感慨です。

2018年07月24日、牧野紀之


   関連項目

索引の意義2013年04月18日